その他

□甘い罠
1ページ/1ページ



「まったく、呼び出した本人が来てないなんて・・・」

誰も居ない時計塔の中でセリオスは一人呟いた

「と言うか何で時計塔なんだ?書類を届けるくらいだったら職員室でも良かったんじゃないのか?・・・あいつの考えてる事はいまいちわからないな」

ブツブツ独り言を呟いてると何処からか足音がしセリオスが今文句を言っている人物が現れた


「遅れて悪いね、寂しかったかい?」

「そんなわけないでしょう、・・・ほら、頼まれた書類です」

そう言いセリオスはフランシスに書類を手渡す

「ありがとう」

「もう用はないんでしょう?帰らせてもらいます」

さっさと帰ろうとするセリオスの腕をフランシスが掴む

「待ちなよ」

「ッ!?・・・何ですか?まだ用があるんですか?」

「君、僕が何でこんな人の居ない所に呼んだかわからないのかい?」

「?此処に呼んのに理由なんてあったんですか?」

そう言い首を傾げるセリオスを見て何て鈍感な子なんだ、とフランシスはため息を吐く

「・・・・こうするために、呼んだんだ」

きょとんと首を傾げていたセリオスの唇をフランシスが素早く奪った

「!!?」

突然の出来事にセリオスは混乱するもその優秀な頭脳を使いすぐに今の状況を理解する

「〜!!!」

相手の胸板を力一杯押すがフランシスはビクともしない

セリオスがフランシスから逃れようと必死に頑張っていると口内に自分以外の舌が入ってきた

「ん、ふぅ・・・」

フランシスのテクニックは相当なモノでセリオスは身体に力を入れられない状態になっていく

暫くしてフランシスはちゅ、と音を立てながら唇を離した
すると2人の口元から銀の雫が名残り惜し気につっ・・・と糸を引く

セリオスの顔は真っ赤に紅潮し瞳からは大粒の涙がポロポロと溢れ出していた


「・・・・これで、呼び出した理由がわかったかい?」

「わか、らな・・・」

何処まで鈍感なんだか、と呆れるもその鈍感ささえ愛しく思えてしまう

「好きってことだよ・・・」

すっかり力の抜けきったセリオスの身体を優しく抱きしめながら耳元で囁く

「す、き・・・?」

「あぁ」

「・・・・・・」

「驚かしてすまないね」

フランシスは苦笑しながらそう言うとセリオスを自分の腕から解放する

「・・・いや、良いですよ・・、嬉しかった、から//」

そう言いセリオスは顔を真っ赤にさせフランシスの胸に顔をうめる

「!」

一瞬セリオスの行動が理解できなかったフランシスだがすぐにその行動の意味を理解する

「両思いって事かい?」

自分の胸にぎゅーっと顔を埋めているセリオスの頬に手をそえ自分の方へ顔を向けさせフランシスは問う

「す、好きに取って下さい!///」

恥ずかしいのかセリオスはフイッと顔を逸らしてしまう
そんな様子を見ながらフランシスは苦笑し再度セリオスを抱きしめる


「好きだよ」

「・・・・・・///」

そしてもう一度甘いキスをかわすのだった




fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ