その他

□月明かりの下
1ページ/1ページ

常陸院邸の中は、まるで誰もいないかのように静かだ。



2階の1番奥の部屋、光と馨の寝室だ。



ベッドの上で光が寝返りをうつ。



「ハルヒ〜・・・」



光がふと目を覚すと馨がいない。



眠い目をこすりながら「馨?」と誰もいない部屋に問いかける。



「馨〜」光は、ベッドからおり、部屋を見渡した。



だが部屋の中に馨は、いない。



ふと窓に目をやると窓が開いていた。



カーテンが風に吹かれゆらゆらゆれている。



光は、ベランダに出た。



すると馨が悲しそうな目で夜空を見上げている。



「馨?」光が言うと、馨が「何?」と、ころっと表情を変え微笑みながら言った。



「何してんのさ」



「なんでもない」



「嘘付け!こんな夜中にベランダに出るやついるかよ!!」



「ぷっ」馨は、手を口にあてながら笑った。



「何笑ってんだよ」



「いや、光は、僕の事なんでもわかるな〜って・・・」



「ってか馨ぢゃなくても普通わかるだろ。で?何してたんだよ?」



「ん?ちょっと流れ星待ってるんだ」馨は、また優しく微笑んだ。



「流れ星?なに?願い事でもあるの?」



「うん。お金では、絶対買えないコト」



「何?その願い事って・・・」



「んー・・・秘密」



「何だよケチー」光は、少し怒った顔で言った。



静かな夜空の下・・・、2人の声だけが聞こえていた。



「あ!!」光が大声で言った。



「何?大声出して」



「今、流れ星が!!」


焦りながら言う光の発言に馨は驚きく



「え?嘘?」



「ほんとほんと」



「あーあ、見逃しちゃったー」馨は、残念そうな顔をして言った。



「そういえばさ、流れ星が流れている間に、願い事を3回言うと叶うって誰が考えたんだろねー?」



「たしかに、誰が考えたんだろ?」



『プッ』2人は、同時に笑った。



『バカだよねー』



「そんなわけないのに」光が笑いながらが言った



「まぁ、やるだけやってみよ!」



「うん。まぁ、静かに待ってればすぐ気付くよ」



その時!また流れ星が流れた。



2人は、同時に目をつぶり手をくんだ。



何秒か経ち2人は、目を開けた。



馨が「光、何願ったの?」と光に聞いた。



光も「馨は?」と馨に聞き返した。



「秘密〜」



「ぢゃぁ僕も!」



「僕たちさ、ずっとこのままでいれるかな?」馨は、また悲しそうな顔をした。



「どういう意味?」



「いや、光は、どこにも行かないよね?って事」馨は、また微笑んだ。



(光は、僕の所から離れて行かないよね?)



「行くわけないぢゃん。僕らは、ずっと一緒だよ。」光は、ニコッと馨に笑いかけた。



「ふふっ、そうだよね」


(そうだと・・・いいど・・・)



「ねぇ、何願ったの?やっぱ気になる!!」



「秘密って言ったぢゃん」



「気になるんだよー」光は、子供のようにだだをこねた。



「しょうがないなー、じゃぁ光も言ってよ?」



「うん!同時に言お!!」光は、とても嬉しそうな顔をした。



『せーの・・・!!』



『これからも2人で一緒にいられますように』



2人は、目を丸くして合わせた。



『ぷっ!!あはははは!!やっぱ同じ事願ってたんだ♪』



2人は、左手をお腹に、右手を口にあて笑った。



2人の笑い声だけが聞こえていた。



月明かりの下で・・・





fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ