花帰葬

□好きと嫌い
1ページ/2ページ

「黒鷹なんて嫌いだー!!」



「ちょ、待ちなさい玄冬!」

後ろで黒鷹の声が聞こえる、でも玄冬はそんなの無視


「…っ、……はぁ、はぁ…、ここまで、これば…もう‥見つからない、よな…」

キョロキョロと周りを確認しながら独り言のように呟く玄冬


「こうなったのも、あいつのせいだ…ッ」

玄冬がなぜ家を飛び出たかと言うとそれは数日前…ー




「黒鷹、たまには野菜も食べろ」

「玄冬、鷹は野菜を食べると死んでしまうんだよ?」

「嘘つくな、…野菜は身体に良いんだぞ?」

「そんな青臭いモノが身体に良いわけないだろう」

黒鷹はそう言いテーブルの上にあるサラダ見るなり眉間に皺を寄せる

玄冬はそんな黒鷹の様子を見て野菜について語りだす


それでも結局黒鷹は一口もサラダを食べてくれなかった


玄冬は本気で黒鷹の身体が心配だったのでその日を境に野菜料理の勉強をし始めた
たくさん本を読んで、実際に作ってみて、自分で味見して




野菜料理の勉強をし始めてから数日たった今日


「…玄冬、今日の晩ご飯に肉はないのかい?」

黒鷹にそう問われ玄冬は「ない」とキッパリ言う
もし肉料理があったとしたら黒鷹はきっとそればかり食べてしまうだろう
そうなれば今までしてきた玄冬の野菜料理についての研究が無駄になってしまう

「じゃあ今日は野菜しかないのかい?」

「野菜だけじゃない、ちゃんとパンとスープもあるだろう」

「ほとんど野菜じゃないか…」

そう言うと黒鷹は残念そうな顔をする

「大丈夫だ、黒鷹が好きな味付けにしてあるから」

そう、野菜でも美味しく食べられるようできるかぎり黒鷹の好きな味にして調理したのだ

「食べてみろ」

玄冬は黒鷹の反応が少し楽しみで早く食べるよう勧める

「しょうがない…」

そう言うと黒鷹は渋々野菜炒めを食べ始める

「どうだ?」

玄冬は胸をドキドキさせながら黒鷹に問う

「…やはり野菜は野菜の味しかしないね」

その言葉を聞いて玄冬は急に悲しくなってきた
黒鷹の身体が心配だから頑張って勉強して作ったのに、黒鷹に美味しいって言ってほしいからなるべる黒鷹の好きな味にしたのに

まるで今までの努力を全て否定されたみたい
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ