ドリーム

□企画作品
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大好きな人がいた。



コートの中で楽しそうにボールを追いかけている姿が眩しかった。



全校集会で壇上の上でハキハキと話す姿に叫びたくなる衝動を抑えるのが大変だった。




そう、今日までは。




「跡部様彼女できたんだって!」



「知ってる知ってる!凄いお嬢様なんでしょ?」



「しかも凄い可愛いんだって〜これじゃあ勝ち目ないよね…」



「あーぁ…好きだったのになぁ…」




朝から何度聞いたか解らない女の子達の声。



それは聞きたくなくとも勝手に耳に入ってきては頭から離れてくれない。




私は違うのだ。
みんなと違う。




本気で彼が好きだったの。



本気で彼を愛していたの。





『っ………』



ほら、胸が苦しい。



『跡部…くっ……ん…』



涙があふれ出す。




『ずっと…まっ…えから…好きでしった……』




震えている声だから、聞き取れなかったかもしれない。だけど彼なら伝わったはず。




「俺様はお前みたいな奴を好きにはなれねぇ。」



そう言って私に背を向けて去った姿さえ格好良いと思ってしまう私は、なんて愚かなの。




『あり…っが…とう…』



私に夢をみさせてくれた。
そんな貴方にお礼を言って、私は髪でも切りに行こうじゃないか。





『あああの!あっ…跡部君って…呼んでいいですか?』



「アーン?勝手に呼べばいいだろ。」







あの時の勇気があれば、きっと大丈夫。






 『変われるはずだ』
愛していた頃の私にさようなら




2008.7.5
企画提出

 

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