転生シリーズ(歌王子)

□B
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どうやら俺は、あの事故で死んで、別の人間に生まれ変わったらしい

だって名字が前世の時と違う

桜田。それが新しい俺の名字だ

生まれ変わったのだとわかってから、俺はかなり冷静だった

だって、小説とか漫画とかでよくあるじゃん?
完全に開き直りだけどな

絶対イケイケな人生をおくってやるんだ!!

ぐらいのテンションじゃなきゃやってれないよ!

ずっと欲しかったお兄ちゃんもいるみたいだし、
両親美形だし
これは将来が楽しみだ!

イケメンに育ちますように!

とか、そんなことばかり考えてた

だからか、

「お宅の郁斗君は大人しくて良いわねー」
「そうなの、夜中も静かでグッスリ眠れるのよね」

なんて言われてしまった
なんかしゃくだったので、それを聞いた次の日から夜泣きすることにした
でも、それは、自分自身もしんどかったから、2日でやめたけど…

まあ、それはおいていて

最初俺は、ただ単に生まれ変わっただけだと思っていた
しかし、それは違っていた

ただの生まれ変わりじゃなかった

転生。

俺は前世で人気のある2次元の世界に転生してしまったらしい

自分が転生したんだと気が付いたのは、俺が5才のとき

それは何気ない普通の平日だった




「郁斗、おいで」
『うん!』

お母さんに呼ばれた俺は、リビングのソファによじ登る

『ホットケーキ!』
「そうよ、今日のおやつはホットケーキよ!郁斗好きよね?」
『うん!』
「ママ洗濯物取り込んでくるから、いい子で食べててね??」
『はーい!』

目の前には美味しそうなホットケーキが置かれている

俺がこの5年間で学んだこと、それは、

知識のないふりと、難しい言葉を使わないこと

以前(2才くらいかな?)母さんに
『ママ、ストッキングでんせんしてるー』
と言って驚かせてしまったことがある

それ以来、出来るだけ単語で話すようにしている

それともうひとつ、固形物が食べられる幸せを実感した

離乳食や、ミルクの不味さときたらもー、最悪だった
前世の記憶があるから、あの、無味さにはどうしても耐えられなかった

母さんが庭に干してある洗濯物を取り込みに行って、数分がたった

その間俺は、まだ動かしづらい手を使ってホットケーキを頬張っていた

やっぱうまい!母さんのホットケーキ最高!
最近俺の中でホットケーキブームがきている

「〜大ブレイクした〜…あのアイドルの〜…」
『ん??』

母さんがつけていったテレビからアナウンサーの声がする
ワイドショーかな??

どうやら、昔一世を風靡した大人気アイドルの特集みたいだ

やっぱどの時代にもアイドルっているんだなー
男性アイドルと言えばジャニーズだよなー

でも今テレビに映っているのはまた別のアイドルのようだ

モゴモゴと口を動かしながら画面を見つめる

「愛故に…で〜人気になったあの、早乙女光男さん〜…」

この人の名前よく聞くな
なんでも伝説のアイドルなんだとか
初めて聞いたのは3才のときだったかな??
どうやら母さんが大ファンみたい

でも俺、どっかで聞いたことあるんだよなー、この曲のタイトル…

どこだったかな??

まあ、愛故に、なんてタイトル、どこにでもありそうだし、きっと前世の歌手が歌ってたのを聞いたんだろうな



「愛故に・・・ホント、いい曲よねー」
『ママ??』

いつの間にか母さんが戻ってきていた

「〜なんと!!その早乙女光男さんが、名前をシャイニング早乙女と改め、早乙女学園なる音楽学校を設立するとのこと!」
「なんですって!?」
『!?(ビクッ)』

穏やかな表情で洗濯物を畳んでいた母さんが、急に大きな声をだしてテレビにかじりついた

び、ビックリしたあ…

食い入るように画面を見つめる母さん

なんでも、母さんが大ファンだったあの早乙女光男が、学校をつくったとか…

早乙女、学園??

「郁斗!」
『な、なあに? 』

なんだか、嫌な予感がする

早乙女学園って、絶対聞いたことある

「大きくなったら早乙女学園に入りましょうね!」
『え?』

入りましょうねって、決定なんだ

てかまって、
作ったひとの名前、
何て言った??

「シャイニング早乙女…新しい名前も素敵だわぁ〜」

どこがっ!?センス悪くないっ!?
俺、今の母さんちょっとよくわかんない


って、そうじゃなくて

シャイニング早乙女って、
あのシャイニング早乙女!?

え?俺の前世の記憶が正しかったら…
シャイニング早乙女って

うたプリの??

若本さんが声をやってらっしゃるあの、シャイニング早乙女??

シャイニング早乙女言い過ぎてちょっとよくわからなくなってきたけど…


うそ


ここってもしかして、


うたプリの世界!?

生まれ変わっただけじゃなくて、
まさかの、

転生ですか!?

まじかよ!?
じゃあ、トキヤとかレンとかもどこかにいるわけ!?

し、信じられない…


あ!愛故にって!そうか!シャイニングの曲だ!
思い出した!!
友達が言ってたんだ!!

「郁斗はアイドルになりたくないかしら?」
『…えっと…なり、たい…!』

母さんの問いかけに小さな声で答える

なりたいってか、
なるしかないでしょ

母さんの笑顔が有無を言わさない感じだからってのもあるけど、

せっかくうたプリの世界に来たんだ

早乙女学園に入らなきゃ損でしょ!
生トキヤに会わなきゃダメでしょ!!

たった今、自分の将来の夢が決まった

動機が不純??
そんなもんでしょ!!

まあ、トキヤたちの時代じゃなかったらもともこもないけど、
最悪、日向先生や林檎ちゃんにはあえるでしょ!

てか、実を言うと、うたプリってあんまり知らないんだよな…

ゲームやってたわけじゃないし
友達の話で聞いてたくらい

だから、細かい内容とかは全くしらない

故に、早乙女光男もわからなかったわけだし

主要キャラクターと、キャラソンを知ってるくらい

でも、トキヤは好き!大好き!

「じゃあ、ママと一緒にお歌の練習たくさんしましょうね!」
『する!ぼくがんばる!アイドルなる!』
「楽しみだわあ!(龍斗と二人で、イケメン兄弟アイドル…いいわ!)」

桜田郁斗 、俺、アイドルになります!!!

そして、翌日早速家にピアノが届いた

なんでも、昔母さんが使っていたものらしい

その日から俺の音楽漬けの毎日が始まった


幼稚園から現在進行形でピアノを習い続けた

才能があったのか、母さんの血を受け継いだのかは分からないが、数年でかなり弾けるようになった

中学に入ってからは、父さんにギターやトランペットを教えてもらい(昔やってたんだって)
吹奏楽部に入りフルートやクラリネットの木管楽器も学んだ

ホントはさ、サックスとかバイオリンもやりたかったんだけど、ほら、既にいるし?

あとは、ラフにハーモニカとか、古風に三味線とかにも手をつけた

とにかく色んな楽器を手あたり次第やってみた

ってもまー、ピアノ以外は独学だし、あくまで趣味程度だけどね

でも、音楽ってホント面白い

それゆえに、ここまでのめり込めたんだと思う

母さんも父さんも、ノリノリでなんでもやらせてくれた

そういや龍にぃはどうしたかって?
母さんの野望むなしく、普通の学校に進むみたい

そうして、時は流れ、今年で15才。
来年俺は早乙女学園を受験する

今はそれに向けて猛勉強中
ホントはさ、恋とかもしたかったよ

でも俺かなり奥手で人見知りだし
だいたい女の子に興味ないし
(まあ、可愛いなぁくらいは思うけど…)
男が好き、なんて間違っても知られたくないし


そうそう!俺、ちゃんとイケメンに育ちましたよ!美形遺伝子をありがとう母さん!父さん!

噂で、あの子が俺のこと好きとか、あの子も俺のこと好きとか!

自分で言うのはなんだけど学年に一人はいる、王子ポジションだったわけだ

モテモテって、こういう気分だったんだ。超楽しい

でも、一つ致命的なことが…
運動神経が悪い…
まあ逆にそれがあったから、周りから嫌味とか反感を買うこともなかったんだと思う
多分…

ま、過去の話はまた今度するとして



確実に合格するために中学を卒業してから
1年間、必死で勉強した

その甲斐あって、1年後

16才の誕生日を迎えるこの年に、無事早乙女学園に合格することができた

そして、話は最初に戻るわけだ







B
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