転生シリーズ(歌王子)

□G
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【神宮寺レンside】





入学式も終わり、女の子たちと教室に戻る

クラスの半分くらいが席につき、半分くらいが友達としゃべっている
もちろん俺は女の子数人と楽しく話している

「レン様、あの人知ってます??」
「んー?」

1人のレディがある人物を指さして言う

見たことのない姿

「いいや、知らないが、彼がどうかしたのかい?」
「私さっき顔みたんだけど、すごくかっこよかったの!」
「ちょっと、レン様の前でなんてこと言うのよ!レン様が一番かっこいいに決まってるじゃない!」
「まあまあ、そんなこと気にするほど小さい男じゃないから大丈夫だよレディ」

それにしても、俺といるのに、俺以外の男に夢中になるなんて
気になるじゃないか

ジッと観察するように彼をみる

ちらりと見える横顔は確かに整っているかもしれない

ジッと一点を見つめる彼
無表情が様になっている

不意にカバンから携帯電話を取り出し、開く
メールでも見ているのか?

「!」

急に彼は携帯を見つめ、ふっと目を細めた

なんて綺麗に笑うんだ

悔しいが見とれてしまった

クラスの連中も気づいたようで、次第にザワザワとしだした
俺を取り巻くレディたちからも、黄色い声があがっている

彼もそれに気が付いたのか再び無表情に戻ってしまった

トントン

気づいたら俺はその彼の肩を叩いていた

『っ!?』

ビクッと肩をはねさせ振り向く

「君、名前は?」
『・・・・・』

下から俺を見上げる彼
長い睫にくっきりとした二重
瞳も大きく、吸い込まれそうだ

これは・・・
かっこいいというより、中性的で美しいといったほうが正しいだろう

突然のことに驚いたのか、わずかに口をパクパクとさせている

「おや?照れているのかな?緊張しなくていい、君を連れ去ったりはしないから」
『・・・・・』

甘い言葉をささやいてみても、何も発しない
ジッと見つめられて、俺のほうが照れてしまいそうだ

『神宮寺レン・・・』

少し低めのその声

「ふっ、それは俺の名前じゃないか。俺が聞いているのは君の名前だよハニー」

やっと声が聴けたと思ったら俺の名前
俺が聞きたいのは君の名前だ

ニコリと笑みを浮かべてもう一度名前を聞き出す

『桜田郁斗』
「郁斗か・・・」
『なに』

怪しむように見つめられる
そんなに警戒しないでほしいな

「いや、俺の可愛いレディたちが、君の噂をしていてね」
『俺の噂?』
「ああ、とても、素敵だって」
『・・・どうも』

俺の言葉に短文でしか返してくれない
ふーん、なるほどクール系か
イッチーもクールだけど、彼はまた、少し雰囲気が違う
クールを装っている、ような

「どうだろう、モテる男同志、これから仲良くしないか?」

ポンッと彼の肩を叩きながら言う

どういう反応が返ってくるか

『・・・光栄です』

そうきたか
俺みたいなキャラは好きじゃないかと思ったんだが

不思議な子だ

なんでここまで彼に興味を惹かれるのか自分でもわからない

もっと彼のことが知りたい

「決まりだ。俺のことはレンでいい、これからよろしく、ハニー」

しかし、これ以上彼を見つめていてはいけない
と、俺の中の何かがそう告げている

『ちょ、ちょっとまった!』
「んん?」

そんな俺をよそに、グイッと制服の裾をひかれる

『友達に、ハニーはおかしいでしょ』
「・・・いいじゃないか、新鮮で。それとも、本当のハニーになりたい?」

彼の頬に指を滑らせうんと低い声で囁く

まずい

『そんなこと言ってない』
「ふっ、つれないな・・・君が男でも、俺は全然かまわないよ」

俺は何を言ってる

男でも構わない?

確かに彼は美しい

もっとじっくり見ようと
彼の顎をすくい、軽く持ち上げる

『俺は構う。離れて』

至近距離で彼の声が響く

これ以上はよくない、と自分でもわかる
でもとまらない

彼のこの無表情を変えてみたい

「いいじゃないか、ね?」

グッと距離を縮める

このまま、唇に触れたら、彼はどんな反応をするんだろう
驚くだろうか
拒絶して、軽蔑の眼差しをするだろうか
それともこのまま無表情か・・・

あるいは

顔を真っ赤にさせて、その綺麗な瞳に涙を浮かべたり・・・

確かめずにはいられない

もはや抜け出せなくなっていることは、自分で嫌というほどわかる

「いいわけねーだろ!!!」

このままキスしてしまおうと顔をさらに近づけたが
それは顔を真っ赤にして止めに入ってきた翔に阻止されてできなかった

「邪魔するなよおチビちゃん」
「おチビちゃんっていうな!!ほら!女子が呼んでんだろ!さっさといけよレン!」
「はいはい、じゃ、続きはまた今度ねハニー」
「いいからいけって!!」

翔に追い出され彼の前から移動する

邪魔するな、なんて言ったが
正直少し感謝している

あのまま誰も止めに入らなかったら
俺は彼に・・・

「男でも、構わない・・・か。そんなわけないだろ」

ああ、俺が好きなのは女の子

興味はあるが、そういう対象ではない

でも

「・・・なんだか・・・気になるね」








【来栖翔side】




視界の隅に入るレンと、そのレンに迫られている男

最初は関わるもんかと、見ないふりをしていたが
どんどん近づく二人の距離に
なぜか居てもたっても居られなくなり
二人の間に割って入っていた

人目が気にならねえのか、このナルシスト野郎は!!

半ば強引にレンを女子のところへ返した

「大丈夫かよ?嫌だったらちゃんと言わねーと、あいつやめねーぞ?」
『そういう経験があるのか』

椅子に座っているため俺を見上げながら意味の分からないことを聞いてくる

「は?」
『あ、いやなんでもない』

ごめん、と謝りながらふっと視線をそらされた

その仕草に、なぜか顔がカッと熱くなった

「嫌だって言えねーなら、あんまレンには近づかねーことだな」
『・・・・』

べ、別にレンと仲良くしてほしくないからこんなことを言ってるわけじゃない!
断じて違う!

あくまで俺様は、あのエロ魔人の餌食にならないようにと心配してやってるだけだ!

って、俺は誰に言い訳してんだ・・・

「おい」
『あ、ごめん』

こいつ人の話聞いてるのか?
さっきから謝ってばっか・・・

っ!?

ごめんといったその少しあと、俺様の顔をじっと見て、ヘラッと笑った


なっ、
なななっ
なんだその顔!!

さっきまでの無表情からは想像もできないほどゆるい笑顔

安心しきってるというか
俺だけに心を開いてくれたというか

なんで急にそんな顔するんだ!!

再び顔に熱が集中する

あーーーーー!!!違う違う!!!
なに男相手にときめいてんだ俺!!
しっかりしろ!来栖翔!!
相手は俺とおんなじ男だぞ!!
俺と同じもんついてんだぞ!!

・・・そう考えたらちょっと熱が引いた

「・・・俺様は来栖翔!!お、お前がどうしてもっていうなら、仲良くしてやってもいいっ」
「おーい席付けー!」

俺の言葉を遮り、先生が教室に入ってきた

「っ!!」

な、なんてタイミング!
せっかく勇気を振り絞ったのに、最後まで言い切れなかった

気合入れただけに、死ぬほど恥ずかしい

それ以上何も言わずそそくさと席に戻った

あー!!しまった!名前すら聞いてねえ!!
何やってんだよ俺!

チラッと彼の席を見る

俺の席からは後姿しか見えないが
少し長めの柔らかそうな髪
そういや、いい匂いしたな

もしかしたら、女っていう可能性も

・・・・・女だったらなんだよ!!
付き合えたのにってか!!

完全に制服男物じゃねえか!
声だって女子にしては低すぎる!
背だって、俺より高いに決まってる

あー!!!!やっぱ関わるんじゃなかった!!
物凄く叫びたい!

ホームルームが始まった今、そんなことはできるはずもなく・・・

俺は机の上で頭を抱えた


一目ぼれとか、

ありえねええええー!!!!!












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