転生シリーズ(歌王子)

□H
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皆が席についたのを確認して、先生が話始める

やっぱさっき講堂の入り口で見たのは日向龍也だったんだ

いやー、イケメンですね
ほんとに

てか、俺のクラスの担任日向先生だったんだ
厳しそうだな・・・
林檎ちゃんがよかった・・・

「俺が担任の日向龍也だ」

うわ、声までイケメン
初めて聞いたかも
・・・声優誰だったんだろう
そういや、先生たちはキャラソン出てないよなあ

「一年間お前らの面倒を見る・・・が。俺は教師であると同時にシャイニング事務所のタレントでもあり、事務所の役員でもある」

みんな真剣に先生の話に耳を傾ける

すごいな・・・
まだ20代でこのキャリア
尊敬するわー

「あんましなめた態度とってると、どんだけ歌がうまくても、現場にはださせないから、そのつもりで礼儀には気をつけろよ」

礼儀か
そりゃ当然大事だよな

俺、月宮先生のこと、林檎ちゃんって呼ぶことになっちゃったけど
大丈夫かな

俺の林檎をちゃん付けで呼ぶとはいい度胸じゃねえか

とか言われたらどうしよう

・・・・・うは、それちょっと聞いてみたいかも

「それと、みんな、もう知ってると思うが、この学園はアイドル養成学校ではあるものの、特に“歌”に力を入れている」

もちろん知ってる
だから俺は今日まで歌の練習頑張ってきたんだ

「今時、ルックスだけのアイドルじゃ売り方も限られてくるからな。それに、見た目だけでいいなら育成する必要がない。ウチが求めているのは、“歌”を基本に、演技やパフォーマンスができる人材だ」

歌には自信がある
けど
演技に、パフォーマンスか・・・
その二つ、俺にはハードルが高そう…

いや、ここまで来たんだ、やるしかない

「最初の目標は、CDデビュー。そのためには曲も重要だ」

ああ、なるほど
そのための作曲家コースってわけか

「そこで、アイドルコースの奴と作曲家コースの奴をあえて同じクラスとし、アイドルと作曲家がコンビを組み一緒にデビューを目指す」

きた
これだよ、俺が一番心配してたのは

どうしよう、誰にも選ばれなかったら・・・
最後まで残っちゃってさ・・・
残り物同士でくっつくことになるんだよ

はあ・・・

「そういうシステムにしているってわけだ。で、今からその相手を探してもらうわけだが・・・。一度決めたら基本的に変更は聞かない。自分の未来を託す相手だからな。適当に選ぶんじゃねーぞ」

あー、だめ
お腹痛くなってきた

「しっかり、吟味して、こいつなら背中を預けられるって奴を選べよ」

日向先生の最後の言葉に、自分の眉間に皺が寄るのがわかる

俺が作曲家コースだったなら、迷わずトキヤを選ぶのに
いや、それはそれでトキヤに断られて終わりか…

音也・・・がいいな・・・
無理だけど

「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
『え?』

隣に座っていた女の子に急に声をかけられた
あれ、この子・・・もしかして

『七海春歌・・・?』
「え?」
『あ、ごめん!えっと・・・なにか?』

急に俺が名前を呼んだせいで、ビックリさせてしまった

この子見たことある
うたプリの主人公ちゃんだ

この子が・・・
王子様達に愛されるわけか
6人?いや、もっとか
すさまじいハーレムだな
うらやましい

「なんだか、辛そうでしたので・・・具合でも悪いのかと・・・」

心配そうな顔でそう聞かれた

な・・・
なんていい子なんだ

普通この状況だったら自分のことだけで精一杯のはずなのに
俺なんかのこと気にかけてくれるなんて!!

んー、さすが乙女ゲームのヒロイン!ハイスペックだ・・・

『ありがとう、大丈夫だよ』

あ、自然に笑えた
ここに来てから音也以外で初めてかも

「そうですか、よかった」

ニコリと微笑まれた

うん、可愛い!

俺、この子とペア組みたい!!!

あれ?そうなると俺、トキヤやレンと恋のライバルになるってこと?
でも、別にこの子と恋愛したいわけじゃないしな・・・

んー。複雑

「あの、お名前・・・」
「んー。ピピッと来ました。YOUはこの子と組みナサーイ!!!」

七海さんが俺に名前を聞こうとしたその直後、

急にどこからともなく学園長先生が現れ
ひとり、またひとりと直感のみでパートナーを決めはじめた

おいおい、うそだろ!
そんな感じでパートナー決まるの!?
さっき、日向先生じっくり吟味して決めろって言ってたじゃん!!

てか、いつの間に?いったいどこから現れた!?教室に入ってきた気配とかまったくなかったんですけど!

「学園長!?急にどこからっ!?・・・って、人がせっかく説明してんのに、さっそく直感で決めてんじゃねーよ・・・」
「ミーの直感は絶対デース!変更は認めマセーン!!」
「・・・ったく・・・。不条理だが仕方ねぇ。うちじゃ社長の言うことは絶対だ。前言撤回してすまないが、社長の指示に従ってくれ」

渋い顔をしながら日向先生がそういう

ん・・・でもまあ
学園長先生が決めてくれるなら・・・
残り物ってこともないか・・・

逆によかった
ちょっと安心した

一体誰とペアになるんだろ
自分のことも気になるけど、この七海春歌主人公様
一体誰とペア組むんだろ
組んだ相手とフラグってことだよな・・・?乙女ゲームって

き、気になる…
レンとかあたりだとありがたいなあ・・・

だって俺・・・

こんな子と張り合って勝てるわけないもの

チラッとトキヤを盗み見る

さっきからチラチラ見ていたけど、やっぱりかっこいい

前々からずっと気になっていた
二次元のキャラで一番好きだった
痛い話だけど、リアルで恋してた

まあ、そんなことは無理だと分かっていたんだけど・・・

でも、今俺の目の前にいる
手の届くところに

実物は思っていたより全然かっこよかった
はああー、こんなイケメンと、あんなことや、こんなことが出来たなら・・・

あ、いかんいかん、不謹慎だった

そういう邪なことばっか考えてると、ろくなことないんだよな

そう、例えば七海さんの相手がトキヤで、フラグたっちゃうとかさー

「遺伝子的最強の相性はこの人デース!!運命に導かれた完璧なコンビデース!鬼に金棒!」

七海さんの目の前に連れられてきたのは

『一ノ瀬トキヤ・・・』

・・・・ほ、ほらね!ほら見ろ!
俺ってばいっつもこんなんなんだよ!

嫌だと思ったほうに転がるっていうか

遺伝子的最強って・・・
あああああ
終わった

桜田郁斗の恋はここで終わったのでした




BAD END











って、違う!



本来の目的はトキヤと恋愛することじゃないもん!

アイドルになることだもん!
どうせこの世界、恋愛禁止なんだし

そうだ!淡い期待もなくなったし、これで勉強に身が入るってもんだ!

あとは、俺のペアがいい人なら・・・

「ムムム・・・YOUは・・・」
『・・・っ』

学園長先生がマジマジと俺を見つめる
サングラス真っ黒すぎて、戸惑っている自分の顔が映る

そしてキョロキョロと教室内を見渡す
そして再び俺をじっと見る

「不思議デース・・・何も、見えない・・・」
『え』
「・・・・お手上げデース!YOUは誰でもいいデース!後回しにシマース!」
『ええっ!?』

そう言い切って学園長は次の生徒へとうつっていった

ちょ・・・え・・・

どういうことだ・・
誰でもいいって

俺、あの学園長先生にも見放された

「あー。桜田・・・落ち込むなよ?学園長は気まぐれなんだ」
『あ、はい・・・』
「あれだ、裏を返せばお前は他の奴らと違う。特別ってことだ」
『特別・・・ですか・・・』

放心する俺の肩を抱いて、優しく声をかけてくれる日向先生
やめて、俺、同情とかされると泣きそうになるから

悔しくて・・・

周りが少しざわつく
哀れみの視線を感じる

あああああ、もうやだ!帰りたい!

いやいや、こんなことで何へこたれてんだ

「桜田・・・よし!じゃあ、お前の相手は俺が決めてやろう!!俺だって人を見る目はちゃんとある!お前にピッタリの最強の相手をっ」
「その必要はないですよ先生」

『「?」』

日向先生の言葉を遮って一人の男子生徒が声をかけてきた

「君の相手は俺。よろしく!」
「なんだ、もう決まっちまったのか」
「俺が君と組みたかったから、学園長に無理言ってパートナーにさせてもらっちゃった!

『え』

この人が俺を選んでくれた・・・?

「彼が言い出したことですが、YOUたちこそ相性ピッタリデース!!ミーもYOUたち二人をパートナーにしようと思ってマーシタ!何も見えなかったもの同士、どうなるのか、ホントのホントに楽しみデース!!」

さっきからずっと言っているその、何も見えないって、いったいどういう意味なんだろう?
じゃあ、この人も俺と一緒・・・

てか結局残り物同士ってことじゃん

この人が俺を選んでくれなかったとしても、結局は彼とパートナーになってたってことだよな

んん。なんか複雑

「俺は藤波秋矢、秋矢でいいからね♪」

明るい口調で右手を差し出す秋矢
人懐っこい笑顔。音也みたい

『あ、ああ。よろしく・・・秋矢。俺はっ』
「知ってる知ってる♪桜田郁斗くんでしょ?有名人だもん知ってるに決まってるじゃん!」
『え?有名人?』
「ああ、美人でクールで、それでいて笑顔は超キュート。でもその表情や態度とは裏腹に、実は人見知りで甘えん坊」
『っ・・・』

至近距離、周りには聞こえないような声で囁く
なんで、そんな詳しく知ってんだ?
俺この人のこと何にもしらないのに・・・・
しかも、表には出してないようなことまで

「ふっ。これからも、いろんな顔、俺に見せてね♪俺も、郁斗にはなんでも見せるから」

チュ

『!?』
「「「「「!?」」」」」

俺の頬、しかも唇のギリギリのところに小さくキスを残して席に戻って行ってしまった

な・・・なななん、なん・・・なんなんだ・・・今の
何がおこった
俺今・・・

教室内がざわついているが、それどころじゃない
思考が停止するというのはこのことか

「フム・・・Mr.桜田。頑張りナサーイ」

ポンと学園長に肩を叩かれる

学園長の言葉でハッと我に返った

今!今俺!キスされた!!
うえ!なんで!?
好きなの!?俺のこと好きなの!?

ちょ、落ち着け俺!落ち着け!
相手は男!俺も男!!!
そんなこと、あるわけないっ!
けど


超うれしー!!!


何が起こったか理解した俺は、大好物のBLに興奮していた
しかも、自分が体験できるなんて!

よくよく見ると、秋矢
かっこいい

背は高くて、雰囲気はチャライのに髪は黒
それに黒縁のメガネをかけている
イメージカラーがあるとするなら黒・・・かな

こんなキャラ、うたプリにいたっけ??
てか秋矢。ほんとかなりのイケメンだと思うんだけど


あれ?もしかしたら
結果オーライだったのかな
イケメンだし、話しやすそうだし
彼がどんな曲を作るのかはまだわからないけど
仲良くなれればそれなりに・・・

残り物には福があるとはまさに、このことか!

よし、ちょっとポジティブになれたぞ!

「・・・よぉし、パートナー同士挨拶はすんだかー!ホームルーム続けっから席に着けー」

日向先生の号令で、みんな一斉に自分の席へ戻る

そういえば、いつの間にか学園長はいなくなっていた

「さっきのでよぉく理解したと思うが、あの人がうちのボスだ。学生のうちは、単純に学園の偉い人くらいの認識で構わんが、卒業して万が一、うちの事務所に入ったら、あの人の指示には逆らえなくなる」

真剣な表情で日向先生が説明を続ける

「あれだけ無茶苦茶な人間だ。一体どんな無理難題を吹っかけてくるのか、付き合いの長い俺ですらまったく想像がつかない」

あれ、さっきまでの真剣な表情が少し崩れた

「それでもいい、どうしてもウチの事務所で頑張りたいってやつだけついてこい。嫌んなったらすぐ辞めていいからな」

そして最後は本当に心配そうな顔で言った

なんだか、かなり苦労しているみたいだ

「ほんじゃ、そろそろ自己紹介でも始めっか。誰からいく?」

つ、ついにきた
俺の一番嫌いな時間が

・・・・なんとか乗り切れ俺
大丈夫、名前言ってそれで終わりだ!

・・・ああああああ、お腹痛い!









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