転生シリーズ(歌王子)

□I
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【七海春歌side】






気になります
すごく、気になります・・・

先ほど先生が教室に入ってきて、今はホームルームの真っ最中なんですが・・・

私が気になっているのは、その話の内容ではなくて・・・

「・・・」

チラッと隣の席を盗み見る

やっぱり、かっこいいです!

そう、隣の席の男性がすごく気になるのです

とても整った容姿・・・
HAYATO様も素敵ですが、それと同じくらい・・・
いえ、それ以上でしょうか

真剣に先生の話に耳を傾けている彼
その瞳はまっすぐで、吸い込まれてしまいそうです

髪もサラサラで柔らかそうです
隣にいるだけで、いい香りもしてきます
香水の香りではなく、なんでしょう、もっと優しくて甘い香りです

髪の色は、全体的に明るい茶色で毛先だけ金色のグラデーション
少し派手ですが、とても似合っています

彼のことが気になっているのはどうやら私だけではないみたいで
先ほどからクラスの何人かが彼のことをチラチラと見たり、噂したりしているみたいです

でも、その容姿と、クールな雰囲気にみんな話しかけられずにいるみたいです
もちろん、私も・・・

時間は少し戻って、ホームルームが始まる前

みんなが彼に話かけられずにいる中、ある人物が彼に声をかけました

神宮寺さんです

神宮寺さんもすごく素敵な方で、二人並ぶと、とても絵になります!

「ふっ、つれないな・・・」

それはそうと、今私の真横でとても大変な光景が繰り広げられています
神宮寺さんの指が彼の頬を滑って・・・

「(神宮寺・・・)(ヤダなハニー。レンって呼べよ)(こんなみんな見てるところで触るな・・・)(誰も居なかったらいいってことかな?)(っ・・・)(恥ずかしがってる顔も可愛いな、もっと俺に見せて)(レン・・・)(名前呼んでくれて嬉しいよ)」

そして、二人の唇が静かにかさなr・・・

はっ!私は何という妄想を!
いけません!

これから一緒に学んでいく仲間だというのに!

それにしても・・・

イケメン同士の絡みは最高です

あ、突然すみません!
もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、
私は、その・・・

大きな声では言えないのですが

腐女子なのです

今隣で行われているようなことが、大好きなのです

隣の席の彼が気になるのも、もちろんそういう理由です
不謹慎ですよね、すみません!!

神宮寺さんも捨てがたいですが・・・

私は・・・

チラッと一ノ瀬さんの様子を伺う

思った通りです
神宮寺さんたちを遠くから怪訝な顔でみています

やはり、一ノ瀬さんも彼のことがきになるのでしょうか

私の理想は、一ノ瀬さん×彼

でしょうか

一ノ瀬さん+HAYATO様×彼

の三つ巴も捨てがたいです!

これを実現するためにはまず彼の名前を知らなければですね

そんなことを考えていたら、次に彼の前に現れたのは来栖君でした

そういえば彼とは門のところでお会いしました
小学生と間違えてしまって、とても不愉快な思いをさせてしまったんです

でも本当に来栖君は小さくて可愛いです

「嫌だって言えねーなら、あんまレンには近づかねーことだな」

来栖君、とても顔が赤いです

「(つーか!俺様意外と楽しそうにはなしてんじゃねーよ!)(別に楽しそうにはしてない)(楽しそうだっただろ!)(ふーん?やきもち焼いてんだ?)(なっ!誰が!)(可愛いな翔)(っ!お前、俺様にそんななめた口ききやがって・・・後でお仕置きだからな!)(・・・望むところ)」

そしてそのまま二人は使われていない空き教室に消えていくんですね

一見来栖君が受け、と見せかけて、ホントは彼が誘い受けなんですね!
素敵!

そんなことを考えているうちにいつの間にか教室に先生が入ってきて、ホームルームが始まりました

いけないいけない!
集中しなくちゃ!

でも、やっぱり・・・

隣の彼が気になります





「しっかり、吟味して、こいつなら背中を預けられるって奴を選べよ」

日向先生の言葉に、ペアを組まなければいけないことを思い出しました

アイドルコースの方とペア・・・いったい誰になるんでしょう・・・

出来れば私は隣の彼が・・・

でもきっと無理です
さっき作曲家コースの皆さんが、彼と組みたいって言っていたのを聞いてしまったので・・・
とても人気者みたいです
そんな彼が、私のことなんて選んでくれるわけないです

もう一度彼をチラッと盗み見る

あれ?

「あ、あの・・・大丈夫ですか?」
『え?』

さっきまでの真剣な表情が少し崩れ、なんだか顔色が悪いような
心配になって、つい声をかけてしまいました

『七海春歌・・・?』
「え?」

じっと見つめられたあと、彼の口から出てきた言葉は・・・

私の名前?

『あ、ごめん!えっと・・・なにか?』

聞き間違いでしょうか?

「なんだか、辛そうでしたので・・・具合でも悪いのかと・・・」
『ありがとう、大丈夫だよ』

低すぎないトーン、耳にスッとなじむ感覚
とても優しく柔らかい声色
なんでしょう、この感覚
彼の声がもっとききたくなるような・・・

それから、クールだと思っていたのはどうやら間違いだったみたいです

とても綺麗に微笑まれました

目を奪われるとはこのことでしょうか

きっとこの方はとても優しくて温和な方なんでしょう

「そうですか、よかった」

さっきの神宮寺さんへの態度は緊張していたんですんね
わかります、私も神宮寺さんにあんな風にされたら緊張してしまいますから

「あの、お名前・・・」
「んー。ピピッと来ました。YOUはこの子と組みナサーイ!!!」

私が彼に名前を尋ねようと思ったら
急に学園長先生が現れ
パートナーを決めはじめました

「学園長!?急にどこからっ!?・・・って、人がせっかく説明してんのに、さっそく直感で決めてんじゃねーよ・・・」
「ミーの直感は絶対デース!変更は認めマセーン!!」
「・・・ったく・・・。不条理だが仕方ねぇ。うちじゃ社長の言うことは絶対だ。前言撤回してすまないが、社長の指示に従ってくれ」

先生が決めてくださる方ならきっと大丈夫です

私のパートナーはどなたでしょうか・・・
それから、彼のパートナーは・・・

一ノ瀬さんや神宮寺さんとは同じアイドルコースだから一緒にはなれないんですね・・・
少し残念です

「遺伝子的最強の相性はこの人デース!!運命に導かれた完璧なコンビデース!鬼に金棒!」

私の目の前に現れたのは、なんと

一ノ瀬トキヤさんでした


『一ノ瀬トキヤ・・・』

隣で彼が一ノ瀬さんの名前を呟いた気がしましたが・・・気のせいでしょうか・・・






【日向龍也side】




どこからともなく突然現れた社長は、なんの前触れもなく、1人づつパートナーを決め始めた

教室に入ってきた気配、全くなかったぞ
つーか今の俺の話が全部台無しじゃねえか

ほんと、この人のすることは訳が分からない
まあ、もう慣れたんだけどな

そんなことを思っていたら、一人の男子生徒の前で動きが止まった

「ムムム・・・YOUは・・・」
『・・・っ』

真っ黒なサングラス越しにマジマジと見つめている

アイツは確か・・・
林檎と一緒にいた・・・

それにしても、整った顔してるな
俺が見たところ、このクラスの中では一番いいんじゃねえのか?
アイドル向きだな
クラスの奴らも、何人か彼のことが気になっているようだ
特に女子
恋愛に発展しないといいが・・・

「不思議デース・・・何も、見えない・・・」
「・・・・お手上げデース!YOUは誰でもいいデース!後回しにシマース!」
『ええっ!?』

男子生徒にそう告げて、次の生徒のところへと向かう社長

め、珍しい!
社長が諦めるなんて!

当然男子生徒は驚いたような顔をしている

えーと、名前は・・・

チラッと名簿を確認する

桜田郁斗・・・か

「あー。桜田・・・落ち込むなよ?学園長は気まぐれなんだ」

固まっていた桜田に声をかけてみた

『あ、はい・・・』

放心しているのか、素っ気ない返事が返ってきた

相当落ち込んでるなこりゃ

見た目はクールそうなのに、案外打たれ弱いのかもしれない

「あれだ、裏を返せばお前は他の奴らと違う。特別ってことだ」
『特別・・・ですか・・・』

生徒には厳しく、とは思うのだが
何故か、こいつはほっとけない、思ってしまった

気付くと、半ば無意識に桜田の肩を抱いていた

「桜田・・・よし!じゃあ、お前の相手は俺が決めてやろう!!俺だって人を見る目はちゃんとある!お前にピッタリの最強の相手をっ」

桜田を励ますつもりで言った俺の言葉は

「その必要はないですよ先生」
『「?」』

1人の生徒によって遮られた
こいつは・・・

「君の相手は俺。よろしく!」

たしか、藤波だったか
テンションも高いし、キャラも濃いから覚えていた

「なんだ、もう決まっちまったのか」
「俺が君と組みたかったから、学園長に無理言ってパートナーにさせてもらっちゃった!」
『え』

にっこり笑ってそういう藤波

黒い髪。一見おとなしそうに見えるが、楽観的でノリが軽い
こいつも顔はいいほうだ
それに、社交性もある
作曲家にしとくのが勿体ない。どっちかというと、アイドルコース向きなんだがな

だが、どうも俺はこいつのこと好きになれん
笑顔が胡散臭いというかなんというか・・・
腹黒そうというか・・・

いや、仮にも俺の生徒だ。偏った目で見るもんじゃないな

「彼が言い出したことですが、YOUたちこそ相性ピッタリデース!!ミーもYOUたち二人をパートナーにしようと思ってマーシタ!何も見えなかったもの同士、どうなるのか、ホントのホントに楽しみデース!!」

心底楽しそうにいう社長
だが、社長のいう「何も見えない」という言葉が引っ掛かる
一体どういう意味なんだ?
社長の言うことは本当にいつまでたってもわからないな

とりあえずわかるのは、なんだか嫌な予感しかしないということ
この二人を一緒にしてはいけないというか・・・
なんでそう思うのか、自分でもよくわからないが
よくない気がする・・・

考えすぎか・・・

そんなことを考えながら教卓にもどる

各々パートナー同士挨拶やら自己紹介をしている

社長のやることだ、間違っちゃいないんだろう

俺はこのクラスの生徒を立派なアイドルに育てる
まずは生徒のことを知らないとな

そう思って教室を見渡す

視界に入ったのは、桜田と藤波

「これからも、いろんな顔、俺に見せてね♪俺も、郁斗にはなんでも見せるから」

チュ

『!?』
「「「「「!?」」」」」

俺の目に映ったのは、桜田の唇?いや、ギリギリ頬か?にキスをする藤波の姿

おいおい!なにやってんだあいつ!
もちろん、教室内がざわつく
止めたほうがいいか・・・
いや、放っておくべきか・・・

「フム・・・Mr.桜田。頑張りナサーイ」

そういいながら社長が桜田の肩をポンとたたいた
・・・俺が行く必要はなさそうだ

つうか、社長はホントに何を考えてるんだ
社長のいう「頑張りなさい」には、いったいどんな意味が・・・

ダメだ。考えてもらちがあかねえ

「・・・よぉし、パートナー同士挨拶はすんだかー!ホームルーム続けっから席に着けー」

半ば諦めるように、生徒に声をかけた

全員が席に着いたのを確認してから俺は話を始めた

みんな俺の話を真剣に聞いている

卒業までの一年間
何もなく、無事に過ぎてくれるといいんだが・・・

それから、何人がこの学園に残れるのか
楽しみでもあり、不安でもある

もう一度、桜田をチラリとみてみる

アイツのことを見ているのは、俺だけじゃなかった

藤波秋矢。

にこにこしながら桜田を見ている

ほんと、何もないといいんだが・・・

俺がしっかり見張っておかないとな








I
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