転生シリーズ(歌王子)

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「新学期そうそう、お盛んだな」
「!?」
『秋、矢??』

扉の前に立っていたのは俺のパートナーの藤波秋矢
なんで秋矢がここに??
もしかして、なにかの打合せとか??

「誰?なんで郁斗の部屋に入ってくるの?」

俺の上から退き、ベットから下りる音也
おお、なんでそんな怖い顔してんだよ

「それはこっちのセリフ。お前こそだれ?ここ俺と郁斗の部屋のはずだけど?」
『えっ!同室者って、秋矢なの!?』

うっそ!パートナー同士で同じ部屋とかありえるんだ!?
それって、曲作るときにものすごく有利じゃん!!

「郁斗、知ってる人?」
『知ってるもなにもっ』
「パートナーだよ、なっ」

ニコッと俺に笑いかける秋矢
うん、やっぱイケメンだわ

「郁斗のパートナー!?え!君そんな顔してアイドル志望じゃないの!?」

さっきの怖い顔はどこへやら、驚いたような顔で秋矢を見る音也

「そんな顔って・・・へえ、褒めてくれてる?ありがとね」
「うわあ、かっこいい・・・」
『音也・・・見惚れてる場合かよ』
「はっ!そうだ!俺、一十木音也!よろしく!!」
『呑気に自己紹介って音也お前って奴は・・・』

ホントどっか抜けてるな、可愛いやつ

「ふーん、二人は仲良いんだ」
「うん、幼馴染だもん!ね、郁斗!」
『あ、ああ』
「へえ、うらやましいな」

終始ニコニコの秋矢
そんな秋矢に、警戒心も解けたのか、こちらもニコニコしながら話す音也

「でしょ!でも君の方がうらやましいよ、郁斗のパートナーで部屋も一緒・・・ずっと郁斗と一緒に居られるなんて・・・」

シュンとする音也
あれ今、犬の耳と尻尾が見えたぞ

「うらやましい?そうだろうな。郁斗は俺の物になったんだから」
「え?」
『ちょ、何言って・・・』

なんだよ、俺の物って
たかがパートナーだろ

「郁斗はものじゃないよ!」
『お!音也っ!?』

そういってギュウっと俺を抱きしめる
どうした急に!?
てか、人前ではさすがに恥ずかしいんだけど!

「ははっ、いいねお前。そいつのこと好きなんだ」
「すっ!?す、好きだけどっ!」
『はは、告られた』

なにをムキになってるんだか知らないが、そんな投げやりな告白はいらん!
さっきのベットの上でのほうがグッと来たわ

「くっ、はははっ!!」
「なんで笑うんだよ!!」
「いや、お前面白いなと思って!えっと、音也だっけ?俺は藤波秋矢。秋矢でいいよ」
「秋矢・・・郁斗に変なことしないでよ?」
『変なことって音也・・・』

なんだよ変なことって
寝てる間に顔に落書きとか?
ヤダなそれ

「変なこと、ねえ・・・」
「な、なに・・・」

じりじりと俺と音也に近づく秋矢
それに伴って、俺を抱きしめたままどんどん後退していく音也
なんだか、悪役に追い詰められてる気分

そして、トンっと、背中に壁の感触

そのまま秋矢は俺と音也を挟むように壁に手をついた

おい、これってあれじゃね?壁ドンってやつじゃねえの!?

ちょっ!俺抜ける!!ちょっと離れたところから見てるから、二人でやって!!
音也、放しなさい!

「変なことって、例えばこんな?」
「へ?」
『!?』

グッと秋矢が迫ってきて、そのまま、音也の首筋に顔を埋めた

「うわあああ!!」
『ちょ!?』
「はははっ!!やっぱり面白いわー!」

そして笑いながらはなれる秋矢

おい!おい今、何が起こった!?

音也に解放された俺の目にうつるのは、しゃがみ込み首を抑える音也
何された!何されたの!?痕つけられた!?

そういうのは俺の見えるところでやってよー!!
全然見えなかったじゃん!
つうか、音也反応可愛いな!

「何すんだよ!」
「悪い悪い。っと、そろそろ出てってくんねえかな」
「え?」
「荷物の整理、全然出来てないんだわ。郁斗もだろ?」
『あ、忘れてた・・・』
「というわけだから、」
「嫌だ!」
『音也、お前も荷物整理まだだろ?そろそろ戻った方がいいんじゃ・・・』
「だって郁斗!秋矢と二人きりなんて、危なすぎるよ!!」

俺は、音也がここにいるほうが危ないと思うけどな
だって秋矢ぜってー音也のこと狙ってんだろ

「もっかいしてやろうか?」
「なっ!?」
『音也顔真っ赤・・・ほら、もう部屋戻った方がいいって』
「でも郁斗!!」

なかなか引き下がらない音也

これ以上ここに居たらまじで秋矢に食われちゃうぞ

見てみたい気もするけど、音也が可哀想だから守ってやらなきゃ

コンコンッ

そんな中、部屋にノックの音が響いた

「一ノ瀬です」
『一ノ瀬君?』
「・・・・」
「ト、トキヤ?」

扉の向こうから聞こえてきたのは一ノ瀬トキヤの声

「なに?」

ガチャっと部屋の扉を開けたのは扉の一番近くにいた秋矢だった

「こちらに音也はいませんか」
「いるけど」
「はあ、やはり・・・」
「トキヤ!!」
「なにしてるんですか。君の荷物のせいで部屋が片付きません、早く戻って整理してください」

音也を見つけるなりそういうトキヤ

「で、でもトキヤ!あのさ!」

トキヤにそういわれても、まだ部屋へ戻ろうとしない音也
どんだけ部屋行きたくないんだよ!
なに、トキヤと二人きりになりたくないの?
いかがわしいことされるから?!
俺のぞきに行ってもいいかな!

「それから藤波さん」
「あ?」
「なぜあなたもここにいるのですか?」
「・・・・ここが俺の部屋だからだけど?」

秋矢ってトキヤのこと嫌いなのかな
トキヤと話す時の秋矢の顔は毎回笑顔が消えている気がする

「!?・・・・桜田君と同室なのですか」
「そうだけど。なんだよ、うらやましいのか?」
「・・・・」
『っ・・・』

秋矢にそういわれてジッと俺を見つめるトキヤ
さっきのことがあるから、なんだか気まずくてつい視線を逸らしてしまった

「いえ。いきますよ音也」
「ふんっ」

フイっとトキヤも俺から視線を逸らし背中を向けた
そして不機嫌そうに鼻を鳴らす秋矢

「ちょちょちょ、ちょっとまってトキヤ!!」

部屋から出て行こうとするトキヤに待ったをかける音也
そして、俺の手を取り、

「何かあってからじゃ遅いけど、何かあったらすぐ俺に言って!!わかった!?」
『え、あ、ああ・・・』
「絶対だからね!!」
『わ、わかったって・・・』
「もう!ホントにわかってるの!!」
『お、おうっ』
「んんんっーー!!やっぱ俺郁斗と同じ部屋にしてもらう!!!」

ギュウーっと俺に抱き着きながらいう音也

『何言ってんだ音也!?無理に決まってんだろ!!』
「だってー!!!郁斗絶対わかってないんだもん!!」
「いい加減にしなさい音也。一体何があるっていうんですか」
「それはっ」
「確信もないのにそんなこと言うなんて、酷いなあ音也」
「あるじゃん!!さっき俺の首なめただろ!!」

あ、さっきの舐めてたんだ
舐めてたんだ!?
おい、見たかったよやっぱり!!

「なっ!・・・・」

音也の発言に驚くトキヤ
そらそうだわな

「あんなのおふざけの延長だろー?本気にすんなよ」
「おふざけでも、郁斗にあんなことしたら本気で許さないからな!!」
「お前も郁斗にしてたじゃん」
「!?」
『え・・・』

それって、ベッドの上でのやつ??
って、いつから見てたんだよ

「そうなのですか音也」
「え、いや、えっと・・・」
「人のこと言えないじゃん?お前と二人きりにさせとく方が危ないわ」
「そんなことっ!」

なんだこれ
どういう状況なわけ?

トキヤも秋矢も、音也のことが好き
で、俺に嫉妬してるっと
そういう解釈でOK?

「埒があきません。音也、部屋は決まってしまったのですからどうしようもありません、諦めなさい」
「んんんっ・・・郁斗っ!」
『は、はい』
「何かされそうになったら、全力で抵抗して!!そんで俺に言って!俺の時みたいに流されちゃダメだからね!!」
『べ、別に流されたわけじゃ・・・』

自分でも流されやすい性格なのはよくわかってるけど・・・

「あとお肉いっぱい食べて、ムキムキになって!!」
『は、はあ?』

肉??なに突然意味わかんねえことを・・・

「とにかく!!全力で抵抗すること!!わかった!!」
『わ、わかった』
「荷物の整理終わったらまた来るから!!」
「来なくていいよー」
「!!?絶対来るから!!」

明後日の方向を見ながら言う秋矢
そんな秋矢に目を丸くしながらもう一度強く俺にそういう音也

『わ、わかったわかった。そしたら一緒に飯いこうな』
「うんっ!!」

最後は嬉しそうな笑顔で返事をして、ようやく部屋を出て行った

うんっ、が、ワンって聞こえた・・・

てかなにをそんなに必死になってんだか
だから音也の方が危ないんだって
音也こそ、全力で拒否しろよな
する必要ないならいいけど
その時は俺にも報告よろしく

バタンっと扉が閉まり、シーンとした空気が部屋に流れた
音也がずっと騒いでたから、余計静かに感じる

「ホント、面白いやつだな音也って!」
『・・・』
「そんな顔すんなよ、取って食おうとか思ってねえから」
『あ、そう』
「(無表情にもどっちゃうのか)・・・嫉妬しちゃうなあ」
『??』

最後なんて言った?聞き取れなかった・・・

「さてと、気を取り直して荷物整理するか!!快適な部屋にしないと、作曲はかどらねえし!」
『ん、始めるか』
「どっちのベットにする?って、もう決まってるか」
『ごめん、勝手に選んじゃって』

つうか、音也が飛び込んだんだけどな

「いやいいよいいよ!んじゃ俺こっちのスペースな!」

そうしてお互い自分の荷物を持ってきて整理を始めた

はあ、なんか、疲れたな
お腹すいたし・・・
早く終わらせて音也とご飯行こ







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