転生シリーズ(歌王子)

□Q
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『うわあ、食堂も広くて綺麗・・・』
「何にするかな」
「俺ここのオムライスすごく好きなんだよね!」
『なんだよ、もう食ったことあるの?』
「うん、前来た時にね!」
『ふーん・・・俺もそれにしようかな』
「あーでも、カレーも食べたいな・・・」
「俺B定食にしよ」

券売機の前でうーんと悩みだす音也
音也、後ろ詰まってるんだから早く・・・

『音也、俺のオムライスと半分ずつにしよ。俺もカレー食べてみたいし』
「ホント!!じゃあそうしよう!!やった!ありがと郁斗!」
『おう』

キラキラと瞳を輝かせて喜ぶ音也
食べ物ごときでこんなっ
なんだこいつ、なんでこんなに可愛いの
反則なんですけど

「そんな顔も出来るんだ」
『!?』

耳元で秋矢が囁く

「顔緩んでる」
『うるさい』

顔には出さないように気を付けていたんだけどな
こいつ、どんだけ俺のこと見てんだよ
やめろよ恥ずかしいな

「よく見ると全然クールじゃねえな」
『う、るさい・・・』
「可愛い」

そう言いながら俺の耳もとにキスを・・・

『やめろって!』

グイッと秋矢の顔を両手で突っぱねた
音也の見てないところでこいつは

「郁斗?」
『あ、な、なんでもない』
「ははっ」

とりあえずさわやかに笑う秋矢をにらんでおいた

そして待つこと数分頼んだ料理が出来上がった
うわあ、美味しそう
お腹すいた・・・早く食べたい

「トキヤどこ行っちゃったんだろう??」

カレーの乗ったトレイを持ってキョロキョロと食堂内を見渡す音也
やっぱり一緒に食べるんだ
気まずいなあ・・・

「気まずいって顔に書いてあるぞ。なんなら俺と一緒に別のところで食うか?」
『なんでわかるんだよ。見るなってば』
「あ、いた!!トキヤー!!」

近くに行ってから声をかければいいのに、わざわざそんな大きな声で呼ばなくても
ほら見ろ、トキヤ嫌そうな顔してこっち見てんじゃん

「行こう郁斗!」
『お、おう』
「残念」

2人で食べたかったなー、という秋矢
どう考えても、この状況で二人で食べるのは無理だろ

そして先に行く音也の後をついていく

「俺トキヤの隣ー!郁斗は俺の前ね!」
『はいはい』

音也に言われた通り、音也の正面の椅子に座る

「んじゃ俺郁斗のとなり」

そして秋矢は俺の隣、必然的にトキヤの正面になる

「・・・」
「睨むなよ一ノ瀬。仲良くしようぜ」
「別に睨んでいません」

気まずいなあ・・・
この二人を一緒にしちゃいけないんじゃないのか

「なんで二人はそんなに仲悪いの??何かあったの?」
『音也。いいから食えよ』

お前な!思っててもそういうこと言うなよ!!
空気凍るだろうが

「??お腹すいたー!いただきまーす!!」

音也の話を軽くスルーして、食べるように促す

「んん!美味しい!!どうどう郁斗!オムライス美味しいでしょ!!」
『あ、うん。うまい』

確かに美味しい、玉子フワフワでトロトロだし、デミグラスソースもいい感じ

「でしょー!!俺のおすすめだもん!!」

ニコニコしながらカレーライスを頬張る音也
ハムスターみたいだ

「郁斗、一口もらってもいいか?」
『は?・・・別にいいけど』
「あーん」

食わせろってか?
俺あんまりこういうことするの好きじゃないんだけど・・・
口開けたまま待機されたらやるしかないよな

『・・・』

そう思って、無言で秋矢の口にオムライスを放り込んだ

「秋矢ずるい!」

それをみた音也が身をのりだしてきた

「郁斗、俺にもやってやって!」
『・・・』

1人やったら2人も同じだ
無言で音也の口にもオムライスをいれた
あ、こいつら今間接キスじゃん

「ん、やっぱり美味しい!!郁斗が食べさせてくれたから余計に!」
『・・・恥ずかしいやつ』

だからそういう、漫画みたいなセリフはいらないんだって!!
でもこいつは素で言ってるんだろうなあ

「郁斗にもはい!あーん!」
『お、俺はいいよっ・・・』
「えー?そう??残念」

自分がするのはまあいいとして
流石に人にされるのは恥ずかしい
そう思ってやんわり断っておいた

音也は俺が一度断るとそれ以上はこない
それは今も変わってないようだ

「んじゃ俺が。はいあーん」

今度は隣の秋矢がから揚げを箸でつまんで口元に持ってきた

『だから、いいってば』
「遠慮するなって、ほら口開けろよ」
『遠慮してるわけじゃ・・・』
「んじゃ早く食えって。無理矢理突っ込むぞ?」
『なっ!?』

なんてこと言うんだ!
卑猥なセリフにしか聞こえなかったんですけど!?俺だけ??

秋矢のセリフに驚いた声を上げた隙をついて、秋矢が俺の口にから揚げを突っ込んできた

『んぐっ』
「ど?うまいっしょ?俺のから揚げ」
『・・・うん』

俺のから揚げってなんだよ
うんまあでも、確かに美味しい

「ずるい、俺のは食べてくれなかったのに・・・」
『音也、今の見てなかったのか?食べたんじゃなくて、食べされられたの』
「俺のも食べて郁斗!!」
『お!おい音也やめろ!こぼすって!』

カレーをスプーンにのせて、ぐいぐい俺の方へ持ってくる音也
音也と俺の間には結構距離があるから、こぼれるって!
てかそんなに動かしたら、食いたくても食えないっつーの!

「全くあなたたちは、静かに食事もできないのですか」

そんな俺たちを呆れたように見て溜息をつくトキヤ
うわ、また、みっともないところ見せちゃった

「だってトキヤー」

郁斗が俺のは食べてくれないんだもん!と、頬膨らませていう音也

「はぁ、ごちそうさまでした。私は先に部屋へ戻ります」

きちんと手を合わせて挨拶をするトキヤ
いつの間にか綺麗に食べ終えていた

「え!?もう行っちゃうの!?もっと一緒にいようよ!」
「何の為に?これ以上ここに居ても、無意味です。でわ」
「そんなトキヤ・・・」

音也がトキヤの服の裾を掴んで言うが、冷たく言い放って席を立って行ってしまった

つか、音也に裾掴まれて、一緒にいてなんて言われて、よく平常心でいられたもんだ
俺だったら無理
襲ってるね

音也→トキヤか・・・うん、悪くないかも

というか、いつも気になってたんだけど
最後の最後に俺のこと見るのはなんでなの?
いつも、なにか言いたそうな空気は感じるんだけど・・・
気のせいかな・・・
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