転生シリーズ(歌王子)

□S
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「・・・・じっとしてろよ?」
『??』

やわやわと俺の太ももを揉んでいた秋矢の掌が、だんだん下がってきた

あ、あれ??俺今、ケツ揉まれて、る??

そう思った瞬間
秋矢の指が、後ろの穴に差し掛かった

『!?』
「ははっ・・・さすがにやべえか」

とんでもない不快感に、立ち上がり秋矢を睨みつける

『馬鹿にしてんのか!?何が体出来てるか見てやる、だよ!!俺は真剣に!!』
「お、おい。冗談だって、落ち着けよ」

い、今、確実に指いれようとしたよな!?
信じらんねえ!!
いや、そういう、男同士の行為、気になってはいたけどっ
ま、まだ早いって言うか、今は妄想だけで充分っていうか
そもそも、好きでもない相手としたくないしっ

ていうか、単純に

怖い!!怖くて泣きそう!!

「(こんな反応するのか・・・)さ、さすがに悪かったよ・・・」
『・・・っ』
「!?」

急に立ち上がったせいか、それとものぼせたのか、一瞬眩暈がして、再び秋矢にもたれかかった

「あ、やべえ」

ああ、ダメだクラクラする・・・気持ち悪い・・・

「郁斗??大丈夫か?俺は大丈夫じゃないぞ」
『なんで、秋矢が大丈夫じゃないんだよ・・・』

お前なんもしてないだろ
どう考えても俺の方が大丈夫じゃないんだけど

「とりあえず、風呂出るぞ」
『・・・今動くと、死ぬ』
「っ耳元で喋るな。一瞬、はなれてくれねえか??」
『ん・・・』

フラフラする体で、浴槽の淵に手をかけ、言われた通り、秋矢の体からはなれる

というか、べつに好きでくっついてるわけじゃないし

「よし。っと」

俺の下から秋矢が這い出る
そして、脇の下から腕を通され、背中と膝の裏を支えられる

「肩に手、まわせるか」
『ん』

目を閉じているため、今どういう状況か理解できないまま、秋矢の肩に手をまわす

ザバっという水の音とともに、浮き上がる体

ボーっとする頭で考える
今俺、お姫様抱っこされてる

『た、タオル・・・』
「言ってる場合か」

願望むなしく、俺は裸体をさらしたまま運ばれた
そして脱衣場のマットの上に下ろされバスタオルを投げつけられた

『んぶっ』
「今水持ってくる」

曝け出したままだった下半身にバスタオルをかけ、一息つく

ああ、だめだ・・・クラクラする・・・
心臓もめちゃくちゃ早い
完全にのぼせたみたいだ

熱い・・・
ていうか、横になりたい

洗面台に背を預け座っているのもしんどい

ヒヤッとする脱衣所の床
床が汚いとかもうそんなんどうでもよくなってきた

欲望のままに、冷たい床に体を預ける

あ、ちょっと、楽かも
つめたくて気持ちいい・・・

「おい、どういう状況だ」
『・・・・』
「汚ねぇから起きろほら」
『む、り』

腕をグイッと引っ張られる
やめて、今、すごくいい感じなんだから・・・
このままでいたらクラクラ収まる気がする

「(息荒いな・・・)ほら」
『ん、つめ・・・た』

首筋に冷たいものがあてられた
あ、これ、すごい気持ちいい・・・

体の火照りが引いていく気がする

その間に秋矢が体をふいてくれている

情けない・・・申し訳ない
と思いながらも、怠くて動けない

「もっかい腕まわせ」
『んん』

再び浮かぶ自分の体
今度は下半身にタオルが巻かれている
ありがたい

次に下ろされたのは固い床ではなく、柔らかいベッド
どうやらベッドまで運ばれたようだ

「起き上がれるなら、水飲め」
『・・・・』

むり
と心の中で言う
声を出すのもしんどくなってきた
でも喉は乾いたかも・・・
でも動きたくない・・・動けない・・・
目も開けたくない

「・・・・ったく」

これは不可抗力だからな
という秋矢の声が聞こえる

不可抗力?なんの話?

全然頭が回らない

考えるのをやめて、ふうっと、息を吐く

そして息を吸おうと口を開いた

が、空気が入ってこない

代わりに口の中に流れ込んできたのは、生暖かい水と・・・

『!?』
「んだよ、起き上がれるんじゃねえか」

自分の口の中に入ってきたものを理解した俺は一瞬にして飛び起きた

『そんなこと言ってる場合か!?お前今!』
「だから、不可抗力だっつっただろ。起きれるんなら水飲め」
『なっ!?後で飲もうとっ』
「おい!」

大きな声をだしたらまたクラッとして、そのままベットに沈んだ

『あ、あとで飲むから、もうほっといて・・・』

恥ずかしさのあまり、両腕で顔を隠して秋矢にそう告げた

「・・・もう大丈夫そうだな。そのまま寝るなよ。お前今タオルしか巻いてないんだからな?髪も乾かせよ」
『ん』
「わかってんのか・・・絶対に風邪ひくなよ。体調管理も出来ないようじゃアイドル失格だぞ」
『わかってる』
「髪乾かしてくる」

そう言い残して秋矢は再び脱衣所に消えていった

『・・・・』

横になっていたからか、首元を冷やしてもらったからか、少し体調が回復してきた

今なら起き上がって水も飲めそうだ

水・・・

『あれ絶対・・・・』

口の中に残る生々しい感触

舌・・・だったよな

俺、口移しで水飲まされたってこと・・・だよな

口の中だけじゃない
唇にもしっかり残る柔らかい感覚

『・・・・・水飲もう・・・』

ゆっくり体を起こし、出来るだけ何も考えないように水を飲み
ベッド脇に置いてあった服を着た

うん、大分収まってきた

髪を乾かすために、脱衣所へ向かう

「あ、もう大丈夫か」
『ああ、うん。ありがと』
「・・・いや」

う、わ・・・気まずい・・・

「俺、先寝るわ」
『あ、うん、おやすみ』
「明日、授業はないが、いろいろ聞きたいことも、知りたいこともある。から、早く起きろよ」
『ん・・・わかった』

そっか、明日一日自由だって日向先生言ってたな・・・

早く起きるって、何時くらいだろう・・・

いつの間にか時間は深夜12時をまわっていた

ちょっと今日はいろいろありすぎて疲れた

特に、最後の方・・・

なんで一緒に風呂入るの断らなかったんだろう
体見せるのだって、別に風呂場じゃなくてもいいじゃん
そもそも、パンツは脱ぐ必要ないよな

そしたらあんなところに指・・・

思い出したら鳥肌が立った

怖かった・・・なあ・・・

二次元でも三次元でも、受けの子って、こんな怖い体験をして・・・

か、考えるのやめよう・・・

そうだ、あれはフィクションだから萌えるんだ
あくまで妄想だから、萌えるんだ・・・うん・・・


『髪の毛乾いたらもう寝よう』







S
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