転生シリーズ(歌王子)

□㉛
1ページ/1ページ





『はあ』

憂鬱だ
ついに来てしまった

体育とはまた別のこの授業

アイドルたるもの、歌って踊れなけらばならない

作曲家コースと分かれてのこの授業は、AクラスSクラス合同で行う

そう

ダンスの授業だ

「郁斗!!」
『音也』
「一緒に授業受けれるなんて、すごく嬉しいよ!!」

ジャージ姿の音也に飛びつかれた

相変わらず元気だな

「おーい音也。郁斗困ってるだろー」
「えー?そんなことないよねえ??」
『いや、うん、まあ』

翔の呆れながらの言葉と、俺の歯切れの悪い言葉に、ガーンという効果音が聞こえそうな顔で俺をみる音也
人目がな、気になるから。嬉しいけど。


「今日はよろしくお願いしますね、ふーちゃん」
『なっちゃん。そうか、なっちゃんもアイドル志望だった』
「そうですよー!キラキラなアイドルになりますよー!」

キラキラな笑顔で言うなっちゃん
本当にかわいいなあ

「那月、苦しいっ・・!!」

音也ごと抱きついてなければ

「情熱的だね。俺も混ぜてほしいな」
「混ざりたいかあれ」
「おちびちゃんにはまだ早いかな」
「その呼び方やめろ!!」

翔ってレンにおちびちゃんって呼ばれてるんだ
かわいい

「賑やかだな」
「まったく・・・」
「あ!マサにトキヤ!!」

真斗にトキヤ・・・
やばいみんな勢揃いじゃないか

「・・・」
『っ』
「・・・・」
『・・・』

トキヤと目が合い
つい逸らしてしまった
はあ、いつになったら自然に接することができるんだろう

逸らした先にいた真斗とも目が合い、さらに目を逸らしてしまった

真斗ともなんだか気まずいままだ

はあ、仲良くなりたいのに

「ふーちゃん?大丈夫ですか?」
『え?』
「真斗くんも、トキヤくんも、怖くないですよ?」
『あ、うん、そうだね』
「・・・郁斗」

なっちゃんを心配させまいと笑ってみたものの
ぎこちない笑顔はどうやら音也にはバレてしまったようだ

「・・・はじまりますよ」

もうストレッチを始めていたトキヤに呆れながら言われた

「アイドル志望同士仲良くするのはいいが、ライバル同士だってことも忘れるなよ」

仲良くしてるように見えるらしい俺たちを横目で見ながら日向先生が部屋に入ってきた

ああ、始まる・・・




「今日は一回目だからな、練習前のストレッチの仕方と基礎トレーニング、あとはそうだな、、、時間があれば最初のステップまで行くか」

日向先生の話を膝を抱えながら黙って聞く

基礎トレーニングとステップ

あんまり得意じゃないんだよなあ
ちゃんとできるだろうか

不安がばれないように、抱えた膝に顔を埋める

「じゃあ、まずはストレッチから始めるぞ。二人ずつでペアを組め。できるだけ体格が同じ奴同士で組むんだぞ」

ペア

そっか二人でやるんだ

えっと、こんな時ばかりたよりにして申し訳ないけど・・・

膝から顔をあげ音也を探す
いた!

『おとっ』
「音也!一緒にやろうぜ!」
「翔!うんいいよ!」

あれ?うそ??

え?

まって

え??

『・・・』
「真斗くん、一緒にどうですか?」
「ああ」

俺はもう絶対、100%音也とペアを組むものだと思い込んでいた

だって、始まる前、一緒の授業嬉しいっていってたし

まさかそんな

翔と組むなんて!!!!
裏切者!!

い、いや別に音也が誰組もうが全然いいんだけど
むしろ翔と音也ってかわいい組み合わせだから
みたい
むしろみたい
グッジョブ翔

と心から思いたい

思いたいんだけど

やばい

それどころじゃない

どうしよう

俺はいったい誰とペアを組もう

最初のペア決めを思い出す

あ、余りたくない!!

焦る気持ちとは裏腹に、体が固まって動けない

無難なところで、なっちゃん、と思ったけど
もう真斗に声かけてペアになっちゃってるし、それに対格差がありすぎる

神宮寺は取り巻きがいっぱいいて近づけない

・・・・

もう、誰でもいいから

声かけてください!!

けど、現実はそんなに甘くなくて

周りはどんどんペアを作っていく

「・・・あー、桜田」
『!!』

無言でつったっている俺を見かねた日向先生が声をかけてくれた

「それと、一ノ瀬!」
「はい」
「お前らでペアを組め」
「!」
『・・・?』

は?

「はい」
『え』

動揺が声に出てしまった

俺のペアがトキヤ??

これは、夢??

トキヤがこっちに向かってくる

「よろしくお願いします」
『!?・・・ああ、こちらこそ・・・』

すごく久しぶりに話した

今のは話したうちに入るのか微妙だけれど

「よし、全員決まったな!次回からのペアも何か問題がない限りこのまま行くからな」

嘘でしょ

これから先のこの授業、ずっとトキヤと一緒にやるの!?

考えてもみなかった

ただでさえ苦手な授業なのに、こんなことになるなんて

試練が増えた






よければいいね(拍手)お願いします。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ