世界で一番恋してる

□プロローグ
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ガチャガチャ

『後ろすいません』

「あ、すんません」

大学からアパートに帰ってきて鍵を開けようとしている俺の後ろを人が通った

お隣さんか

…そういや始めて見るな

なんや男やったんか

つか、若いな

俺と同じくらいか?

ん?

「あれ?もしかして彼方?」

『あ?…誰?』







プロローグ







「なんや、隣の部屋彼方やったんかい!懐かしいなー」

『隣のうるさい関西人はお前だったんだな蔵ノ介』

「えっ、うるさかった…?」

『かなり』

隣の部屋に住んどったんは中学んときに知り合った彼方やった

彼は中学テニス部の夏合宿で初めて会うたんやけど、

なんとあの、立海大の真田君の双子の弟なんやて!

これがまた恐ろしく似てへん

中学んときからクールっちゅうか、大人びとるっちゅうか

とにかく顔が整っとる、決して老け顔ではないで!

かと思いきやどっか抜けてて、笑うとごっつ可愛え!

こういうんをイケメン言うんやろな!

中学卒業して以来会うてへんけど…

これまたかっこよーなってるわ

背が高くなったのと、あと、なんやろ?

色気?みたいなんがでてる気がする

「いつからここに住んでんねん?実家神奈川やろ?」

『去年の春から。実家にいるとうるさいんだよ、だから、家出てきた』

声も少し低くなってるわ

「そうなんか…てことは、サラリーマンなん?」

『いや、フリーター。今はバイトで金稼いでる。お前は?』

「俺は学生や。大学二年生。あ、コーヒーでええ?」

『うん』

2つのマグカップにインスタントコーヒーを入れてお湯を注ぐ

実は今、彼方は俺の部屋におる

久しぶりに会うたんやし、少し話でもしようっちゅーことで

『弁当あるけど、食べる?晩飯は終わったか?』

「いやまだ。もろてええの?」

『ああ、バイト先の廃棄でよかったら』

「おおきに」

見慣れたビニール袋からオニギリ3つとパスタが出てきた

「コンビニでバイトしてんの?」

『ん?ああ、ちょっと行ったところの』

「で、家賃とかも自分で払ってんの?」

『まあな』

ほー、大変やな

『お前は?どうしてんだよ』

「俺は、学生やから仕送りやけど…遊ぶ金までは全くないな」

『だよな』

「俺もバイトせななー!」

それから彼方にもらった弁当を食って、いろいろ話をした

なんやろ、この、気ぃ使わんでもええ心地よさ

5年も会うてへんはずやのに

男同士だからやろか?

『なあ蔵ノ介』

「ん?」

『お前、生活厳しいんだよな?』

「まあ、余裕はないな。なんでや?」

『…一緒に住まねえ?』

「ブッ!?」

俺はコーヒーを盛大に吹き出した

『きたねっ!!』

「き、急に、ななっなんやねんっ!」

あかん、なんやめっちゃ動揺してもうた

『だって、お互い金ないだろ?同じアパートに二部屋借りてるのって勿体ないと思わねえ?』

「ま、まあ、確かに…」

『このアパートそこそこ広いし、一緒に住めば、家賃も半分で済むわけだ』

「せやな…つまり、ルームシェアっちゅーことか?」

『うん』

なんやそういうことか
そんならそうと先に言ってくれ

あんな紛らわしい言い方

勘違いするわアホ

「確かに、家賃半分はありがたい。スペースも十分ある。…ええで」

『ほんとか!』

「おお」

『はあ、よかった。助かる』

「ほなどっちの部屋にしよ?」

『俺の部屋家具とか少ないから、俺がこっちに来ても良いか?』

「ああ、ええよ」

『じゃあ早速明日、荷物移動させるから』

「バイトは?」

『休み。学校?』

「おん、じゃあ俺が学校行ってる間にやっといてや」

『わかった、ありがとうな!』

「いやいや、こちらこそ、おおきに」





こうして俺らのルームシェア生活が始まった

ま、男同士やし、気も合いそうやし
そんな問題ないやろ



たぶん……













『ベッドでかくね?』
「キングサイズやからな」
『……余裕で2人寝れるな』
「!?」


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