世界で一番恋してる

□10日
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『頭痛い・・・』
「当たり前だ、二日酔いだろ」
『そんなに飲んだか?』
「記憶なくしてる奴が何言ってる」
『うう・・・』
「もう一泊していったらどうだ?」
『いや、夜バイト入ってるから』
「それは仕方ないな。早く帰って寝たほうがいい」
『そうする・・・じゃ、またな弦一郎』
「白石に迷惑かけるなよ」
『かけねえよ』





1月10日






大阪帰宅



『ただいま』
「おお、おかえり」
『もう帰ってたのか』
「まあ、地元やからなあ」

彼方が自宅についたころには既に白石が部屋でくつろいでいた

「てっきりもう一泊してくるもんやと思うてたは」
『そうしたかったんだけど、今日夜からバイト』
「そら大変やな。つかどないしたん?ごっつしんどそうやん」

帰宅するなり台所で水を飲み、フラフラと着替え始める彼方

『いやちょっと、二日酔いっぽい・・・寝るわ。21時ごろ起こして』
「そんな寝るんか!大丈夫かいな、薬あるで?」
『ああ。飲む・・・』
「熱は?ないねんな」
『・・・・』

彼方のおでこに手を当て熱をはかる白石
なにかいろいろ言いたいことがありそうな彼方だったが
それすらも億劫のようだ

『飯、適当に食って』
「おお、わかった。おやすみ。21時でええねんな?」
『ああ』

白石の言葉に一言だけで答え、彼方はすぐに深い眠りについた

「二日酔いて、いったいどんだけ飲んだんや」

彼方の寝顔を見ながらため息をつく白石








そして約束の21時



「彼方。大丈夫か?時間やで」
『ん・・・蔵』

ベットの横で声をかけ、彼方の肩を静かに揺らす白石

「バイト行くんやろ?」
『ああ・・・』
「どや、気分は?」
『大分楽になった。薬が効いたみたいだ』
「それはよかった」

ベットから起き上がり、白石から受け取った水を飲み干す彼方

『はあ、風呂入ってくる』
「おう」
『適当に着替え出しといて』
「へいへい」

彼方に言われたとおり、着替えを一式用意して脱衣所に持っていく白石

「ここ置いとくで」
『ああ』
「楽しかったか昨日?」

扉越しに彼方に話し掛ける
シャワーを浴びながらそんな白石の声に答える彼方

『あ?んー、』
「なんやその微妙な返事」
『いや、あんま覚えてなくて』
「は?なんやねんそれ、ほんまどんだけ飲んだん?」
『そんな飲んでない気もするけどなあ・・・』
「そういや、まだ一緒に酒飲んだことないなあ、弱かってんな自分」
『だから弱くねえっての』
「せや、今度飲むか一緒に」
『あー、今度な(弦一郎には蔵ノ介の前で飲むなって言われたけど・・・ま、いっか)』
「ほな、俺のオススメの酒調達しとくさかい、楽しみにしときや」
『ああ、あ?なんだここで喋ってたのか』
「!?急に出てくんなや!」
『いや、いると思わなくて』

ガチャっと風呂場のドアが開いたかと思ったら、腰にタオルを巻いた彼方が出てきた
急に現れた彼方に反射的に顔を背ける白石

『そういやお前、明日から学校始まるんだろ?』

髪の毛をタオルでガシガシと拭きながら部屋へと戻る彼方
半裸のまま

「早う服着いや。せや、俺明日から学校やわ」
『何時にでんの?』
「8時くらい」
『ふーん、じゃあ入れ違いだな、俺8時までだから』
「ほな朝は一人か・・・」
『寂しい?』
「めっちゃ寂しいわあ・・・って、んなわけあるかい」
『ははっ、だよな』

ドライヤーを使い、髪もセットし終え、着替えも済ませた彼方
寂しいと言いながら、彼方を抱きしめる白石
さすが関西人。ノリがいい

『じゃ、行ってくる』
「おん、しんどかったら休むんやでえ」
『ああ、』

そう言葉を交わし、彼方は家を出た
























「そういや、成人式の写真もらってへんなあ」
「まあ、帰ってきてからでええか」
「つか、俺大学始まるし、彼方深夜バイトばっかりやし。会えへんのちゃうか?」
「・・・さみしいなあ・・・って、一人でボケても意味ないか」


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