世界で一番恋してる

□15日
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1月15日




『準備できたか?』
「バッチリや!なんやドキドキすんな・・・・ホンマに俺行ってもええんやろか」
『いいだろ別に、友達と来てくださいって言われたし』
「友達・・・?? 彼方 は俺のこと友達て思ってたんか」
『は?』
「俺は、お前のこと、友達なんかやなくて恋びt『行くぞ』・・・ノれや!」
『お前のボケに付き合うのはめんどくさいんだよ』
「そないなこと言わんといてや」

俺の渾身のボケを華麗にスルーして玄関を出る 彼方
最近あんまり乗ってくへんくなったな・・・



ライブの会場までそんなに遠くないため、俺たちは家から歩いくことにした

「そろそろ車欲しいな」
『免許は持ってるんだっけ?』
「一応な」
『ペーパーか』
「林家?」
『・・・・』
「無視せんといてやー」

再び俺を無視して歩き続ける 彼方
まあ、今のはちょい無理やりやったかもな・・・

「すごい人やな」
『ああ』

会場に近づくにつれてだんだんと人が多くなってきた

「女子ばっかり・・・俺ら完全に浮いてんで・・・」
『皆すごい格好だな・・・』

周りは目一杯お洒落をした女の子ばっかり
そんな中に男二人
完全に浮いとんな・・・

「見てみて!あの男の人たちもファンなのかな!」

近くにおった女の子が俺らを見てなんやコソコソ言うとる

「珍しいよね、男性のファンって!」
「てか、イケメンじゃない!?」

今、イケメン言うたか!
やっぱ俺もまだまだ捨てたもんやないな!!

「ホントだ!!トキヤ様と並んだらいい感じかも!」
「えー?レン様でしょ!」
「翔ちゃんとか!」
「逆にいいかも!!」
「『(なんの逆・・・?)』」

後半はなんの話かさっぱりわからんかった

「いたたまれんな・・・もう中入るか」
『そうだな。なんにも買わなくていいかな?』
「なんにも?」
『ほら、みんな持ってんだろ、うちわとか、タオルとか?』
「ああ。一応買っといたほうがええんちゃうかな?ちゅうか俺、普通に欲しいわ」
『チケットは貰い物だし、グッズくらい買っていくか・・・』

ライブにタオルとペンライトは絶対必要やろ

というわけで、再び女の子の列に埋もれる

「ここまで来たら恥とかもうないな」
『そうか?』
「いらっしゃいませ」
「あ、えーと、タオル一枚と、Tシャツと、パンフレットと、ペンライトとー・・・」
『そんな買うのか・・・?』
「あと音也のうちわな!」
『うちっ!?お前そんなっ・・・』
「ええやん、もう来られへんやろうし!やっぱ全員分買ってくか?」
『無駄遣いすんなっ。今の全部なしで』
「ええええ」

彼方 に怒られ結局タオルとペンライトだけになってもうた
物販のお姉さんにも笑われたしやな

そういう 彼方 は

『ペンライトで』

ペンライト一点のみお買い上げしたよう

「ホンマに他のグッズいらんのか?」
『いらねえだろ。だいたいそんなにファンでもないんだろ?』
「ま、そうやねんけど」
『ミーハー野郎』
「そういう言い方ないやろー。しかし、トキヤにチケット貰ってんねやろ?うちわ買ったったほうがええんちゃう??」
『・・・そうか?でも、うちわなんて買ってどうすんだよ?部屋に飾るのか?』
「あー・・・そう言われるとなあ・・・」

グダグダ喋りながら、会場に入っていく

「スタンド最前列・・・これ、花道通るよな?」
『多分』
「めっちゃええ席とちゃう・・・?」
『ああ・・・なんか申し訳ないな・・・』
「やっぱうちわ・・・」
『いるかな?』

トキヤのうちわを買うべく席を立とおとした時、会場内にアナウンスが流れた

「やば、もう始まるんとちゃう!?」
『お、おおっ・・・』

周りの席もだんだんと埋まり出し、会場の雰囲気が一気に上がってきた
その数分後、会場が暗くなり、音楽がなりだした

「はじまった!!」
『す、すごい歓声だな』

彼方 の言葉通り、会場内はものすごい歓声に包まれた

さ、さすがキラッキラのアイドルグループや

そして、ドーンという音と共に、メンバーがステージに姿をあらわした


♪〜さぁ、今、ここに始まる〜メロディ、あふれる、夢の歌よ〜♪

「お!俺この歌知っとるで!!」
『俺も、聞いたことある』

曲が始まり、メンバーが歌い初めると、会場の熱気もさらに上がった

「みんな!!今日は来てくれてホンットーにありがと!!」

お!音也!やっぱ爽やかでかっこええわー!

「今日は存分に楽しんで行ってくれよ!レディーたち!」
「それじゃあ、次の曲だ!!」

音也以外は名前とか曖昧やからあんまりわからへんねんけど、
確か翔、やったかな?
彼の掛け声と共に次の曲のイントロが流れ始めた

そしてデュエットソングが数曲続いた

んー、知らへん曲多いわ・・・勉強不足やな
しかし、どれもこれもかっこええなあ

「次はソロですよー!」
「最初はー!コイツだあ!!」

翔と那月の可愛らし曲が終わり、お次はソロコーナーのよう


♪〜二人でつくりだす〜このメロディにのせて、未来が今日に重なるよ〜♪

「来た!音也ー!!」
『テンション上がりすぎだろ』

ギターを持ってセンターステージに登場した音也

やば!むっちゃ興奮する!
ギター弾きながらとかほんまかっこええわあ!

俺は夢中でペンライトを振った
心残りなんは、センターステージから動いてくれへんかったことかな

しかし、

「ほんまええ席やな・・・」
『ああ。すげー見やすい』

センターステージは少し遠いが、さっきのデュエットん時はやたら近く通っていった
手伸ばせば触れるで、ほんま

その上、男2人なのが珍しいからなのか、やたらファンサービスも多い
その度に隣の女の子が黄色い悲鳴をあげる

「ってお前!何座ってんねん!?」
『いやだって、この曲知らねえし・・』
「ライブで座ってんのはマナー違反やろー!ほら!次、トキヤやで!せめてトキヤの時くらいは立ったれや!」
『わ、わかったよ・・・』


こいつはほんま、興味ないことに関してはこれやからあかんわ

せやからモテへんねんで

何てことを心のなかで思っとったら


♪―星はTick-tack tick-tack grace waltz 胸の 鼓動みたいに―♪


メインステージから歌いながらトキヤが登場した
ファンからは悲鳴のような歓声があがった

「す、すごい人気やな」
『お、おお』
「トキヤー!!」
「トキヤこっち来てー!!!」
「「きゃー!!!」」
「『・・・・・』」

隣の席の女の子達が身を乗り出してトキヤに手を振る

「俺らも振るか?」
『恥ずかしいわ』

メインのステージから外周を歌いながら歩くトキヤ

「えー、向こう側行っちゃったあー!」
「残ねーん!でも帰りはこっち通るよきっと!!」
「そうだよね!!!」
「トキヤー!!」

隣の女の子達の言うように、俺らの席とは反対側へ歩いて行ってしまったトキヤ
そうか、帰りはこっち側通るんか


♪―未来に行こう Dear my princess ―♪

バックステージで二番まで歌い上げ、メインのサビに向けてだんだんと近づいてくる

やば、隣の子達やないけど、めっちゃドキドキしてきた!


♪―今宵は踊りましょう 七色輝くステージ 君に 虹かけて 怖くないはず 一緒なら―♪

笑顔で客席に手を振りながら、ようやく俺らの席の近くまで来た
あー、ほんま、腹立つくらいイケメンやわあ

そしてついに目の前に来た

近っ!?これ近すぎひんか!?
俺今ガッツリ目、合ってんねんけど!?

って、若干睨まれた気ィすんの、気のせいやろか・・・?
いやいや、ないわな!向こうは俺のこと知らんはずやし、( 彼方 のことは知っとるやろうけど)
アイドルがファン睨むなんてなあ

「 ♪―迎えに ゆくよ―♪ ・・・Dear ・・・my prince・・・」
『・・・・!』
「え」
「「「「キャー!!」」」」

一体今、何が起こったのか
俺と目があったあとトキヤは明らかに 彼方 の方を向き、
歌うではなく、囁くように

”プリンス”

そう言いながら 彼方 の手を取り、チュっとその手にキスをした

もちろん目一杯驚く 彼方 と俺

そして会場からの割れんばかりの黄色い悲鳴
そして一瞬微笑み、何も無かったかのようにメインのステージへと戻っていくトキヤ
な、なんなん今の・・・

『なっ・・・』
「・・・」

ステージ上からトキヤが居なくなるまで、俺と 彼方 は放心状態だった

「あ、あの・・・」
『!は、はい?』

彼方 の隣に座っていた女の子達が話しかけてきた

「(わっ!すごいイケメンさんだった!!もしかして俳優さん!?)と、トキヤと、どういう関係ですか!!」
『え・・・?』
「今、手にキスされましたよね!!」
『え・・あー(困った)演出じゃないですか・・・?』
「知り合いじゃないんですか?」
『・・・違います』
「なんだ、そうなんですか・・・(イケメンさんだし、恋人とかだったら面白かったのにな)」

目をそらし嘘を言う 彼方

まあ、ここで、はいそうです、なんて言えんわな

そして明らかに残念そうにする女の子達
知り合いや言うたらどうなってたんやろ・・・リンチとかかな・・・怖いわー

「そちらの方も、知り合いじゃないですか?」
「俺?」
「はい!(うわっ!こっちの人も超イケメン!)」
「お友達とか・・・(この二人が付き合ってたらそれはそれで・・・)」
「ちゃいますよ。なあ、 彼方 」
『ああ』
「「「「(今の2人の相槌萌え!!)」」」」
「そうですかー、すみません変なこと聞いてー!」

そう言って何やら4人でコソコソ話始めた
会場の音のせいで何を話しているかは全く聞き取れへんけど
俺らのことを言っとるのはなんとなくわかった

『トキヤ・・・』
「・・・・・・・・」

会場を見つめて 彼方 はボソッとそう言った
うるさい会場の中だがその声はしっかりと俺の耳に届いた






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