世界で一番恋してる

□15日
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そうして曲も何曲か終わり、そろそろエンディングのよう

全員がステージ上に姿を現し、

♪―ドキドキで壊れそう 1000%Love!!―♪

会場が今日一番で歓声に包まれた

「流石にこの曲は」
『ああ。知ってる知ってる』

この曲中にも、メンバーにたくさんファンサービスを貰った
レンがな、俺の知ってる誰かに似てんねんな・・・誰やろか

「可愛いーっ!!愛してます!」
『・・・!?』

ミルクティー色の髪の、那月、やったかな?
が、 彼方 を見つけるなり、マイクを通さず、そう叫んだ

「あ!あの!なっちゃんとは、知り合いなんですか!!」
『ぜ、全然違います!彼に関しては本当に!』
「(彼に関しては?)そうなんですか・・・」

またしても、隣の女の子に疑われとる 彼方
ラストの曲も終わり、ステージの幕が降りた



「いやー!すごかったなほんま!」
『ああ、すごかった』
「ホンマにそう思っとる?」
『思ってるっつーの』
「チケットくれた彼に感謝やな!」

会場から出て外の空気を吸う
当たり前だが既に空は真っ暗や

『あのさ、蔵ノ介。俺このあと楽屋に来てくれって言われてるんだけど・・・』
「ま!まじかお前!?一体どこまで仲良うなってんねん!」
『知らねえって。どうやって行けばいいと思う・・・?』
「迎えに行くよ、ディアマイプリンスー、言われてたし、来てくれるんちゃうのー??」
『・・・・関係者以外立ち入り禁止だよな、普通・・・』
「(あ、無視された)ダメもとで行ってみるか?」
『行くだけ行くか・・・ん?』
「?どないしたん?」
『メール来てる・・・』
「誰から?なんて?」
『トキヤから。えーと
” 彼方さん、今日は来てくれてありがとうございます。私の思いは届きましたか?
良ければお話したいので楽屋に来ていただけませんか?
私の方から会いに行けたらいいのですが、少し難しそうなので・・・すみません
裏口の社員用入口からお入り下さい、
警備員にこのメール最後の番号を見せれば入れると思います
私のスタッフパス番号です。
では、お待ちしてます”
あ、番号乗ってる』
「むっちゃ長文やな・・・でもこれで入れんねや。・・・・俺は、待っといたほうがええかな・・・?」
『あー。どうだろうな・・・ん、まだ続きがある』
「お?」
『”隣に座っていらした方はお友達でしょうか?良ければ彼も一緒に来てくださって構いません”
・・・来てもいいってさ』
「おお!ほんまか!!ほな行こ!早速行こ!!」
『お!おい!』

彼方の手を引き早速裏口に向かう
まさかほんまもんのアイドルに会えるなんて夢のようや!





『本当に入れた・・・』
「俺もびっくりや」

入り口でさっきのスタッフ番号を警備員に見せたら、すんなり中にいれてもらえた

「お前スゴいな」
『なにが』
「なにがて、普通こんなことないで」
『ほんと、なんでだろうな』

シレッとした顔で言う 彼方
ホンマにこの子は、事の重大性がわかってんねやろか

「なんなん?アイドルを虜にするフェロモンでもだしてんのか??」
『なんだよアイドルを虜にするフェロモンって、男のファンが珍しいだけじゃねぇの??』
「そんなん言うたら俺かて男やし。それにしても、トキヤだけやなく他のやつからもアピールされるとはなぁ」
『アピールなんてされてない』
「レンに薔薇もろてるやん」
『これは・・・』
「君だけに投げた薔薇は、そういうことー、らしいで」
『歌うな』
「那月にも、愛してます言われとるしやな」
『あれは、あの辺のファン全員に言ったんだろ』
「いや!目線は完全にお前やった!!」
『き、気のせい・・・』

眉間にシワを寄せて目線を外す 彼方


そうこうしているうちに、楽屋に到着した

「一ノ瀬トキヤ様。ここか」
『ノックすればいいのか??メールした方がいいのか??』
「ここまで来たんやし、メールなんかせんでええやろ」
『そうか、じゃあ、』

そういって、 彼方 が楽屋の扉を叩こうとした、
その時

「君たち、関係者?じゃなさそうだな。ここは、関係者以外入れないはずなんだけど?」

背後から低い声が響いた

慌てて振り返る俺と 彼方

「いや、俺ら一ノ瀬さんに呼ばれて!なあ!」
『あ、あぁ、そうなんです』
「イッチーに?」

振り向いた先におったのは、神宮寺レン
ライブ中に 彼方 が薔薇もらったやつや

しかしこれまた、イケメンやなぁ

「ん?君は」
『は、はい?』

レンに顔をじっくり眺めらる 彼方
彼方 が焦ってんの始めてみるかも

「俺の気持ちは届いたかな」
『は、』
「言ったろう?"君だけに投げた薔薇は、そういうこと"って」
『(蔵ノ介と同じこと言ってる、やべ、笑いそう)歌の歌詞、でしょ』
「ふっ、さあ、どうかな。ところで、イッチーだけど、今は楽屋には入れないよ」
「?なんでなんですか?」
「ちょっとね、(君にあんなことしたからお説教中)なんて、イッチー
が可哀想だから黙っておこうかな」
「『??』」

意味深な笑みを浮かべるレン
なんや、あえへんのかいな

「(はたしてイッチーはどっちの子を呼んだのか・・・・)君だといいな」
「???」

急にレンに見つめられる
おお、なんや、照れるは

と思ったら、レンの視線は再び 彼方 へ

「君名前は?」
『あ、真田 彼方 です』
「 彼方 」
『は、はい』
「君は?」
「白石蔵ノ介です」
「君たちが来たことはイッチーにしっかり伝えておくよ」
「ほんまですか?ほな、お願いします!」
「ああ。明日まで大阪にいるから、もしかしたらまた会えるかもね」
『そうですかね・・・』
「俺は、また君に会いたいな」
『っ・・・』
「あ・・・」

綺麗すぎる笑みを浮かべながら、チュッと 彼方 の髪にキスをするレン

うわー、こんなん素でやるやつホンマにおんねんな

イケメンやから様になるなぁ、
これ、俺がやってもいけるやろか

「それじゃ、悪いけどお引き取り願えるかな?それとも、このあと俺とディナーでも?」

そういいながら、 彼方 の手を取るレン

おいおい、こいつマジかいな
完全に狙ってるやん
隣に俺もおるんやけど
アウトオブ眼中か

「おほん!あえへんならしゃあないわな!!行こ 彼方 !ほな、お邪魔しましたあ!!」

レンの態度にイラッとした俺は、 彼方 の腕を掴み、出口に向かった

『おい、蔵ノ介!あ、じゃあ失礼します!』

ヒラヒラと余裕そうな表情で手を降りながら俺らを見送るレン

それに 彼方 が振り返り応えているのにも、何故か腹が立ち、少し強引に腕を引っ張った

なんやねんあいつホンマ、
いけすかん

「ふーん、なるほど、ね」

と、呟いたレンの声は俺の耳には届かなかった




『なんだよ、なに不機嫌になってんだよ。ライブ楽しんでたじゃねぇか』
「ライブは楽しかったで、もちろん」
『じゃあ、なんで』

なんでて
なんでこんなにイライラしてんのか自分でもよくわからん

『あれか、音也に会えなかったからか?』
「んっ・・・そう・・・?」

そうなんやろか・・・
いや、そういうことにしとこ

『飯でも食ってかえるか』
「せやな、腹減った」

そういや、朝からなんも食うてへん
だからイライラすんねやろか?

彼方の提案通り、俺らはファミレスへと向かった

せっかくのライブやったのに ・・・










『あ』
「ん?どないしたん?」
『トキヤからメール』
「・・・なんて」
『(また機嫌悪くなった)今日ごめんって。あと、明日会えないかって』
「執念深いやっちゃなぁー、で?行くん?バイトは?」
『休み。取り敢えず行くかな。明後日東京帰るみたいだし』
「あっそぉ」
『なんだよ。音也のことはもう諦めろよ』
「・・・(ちゃう。そんなんとちゃうねん。でも、よくわからん)」
『?蔵ノ介??』




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