世界で一番恋してる

□18日
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『買い忘れない?』
「大丈夫や」



1月18日



「遅くなってもうたな」
『そうだな・・・』
「たまには外食もええな!」
『まあ、家で食べるほうが安上がりなんだけどな』
「ええやん、作るんめんどくさかったし!暖房代はういたやん?」
『ん、確かに』

生活に必要な買い物をして、その帰りにファミレスでご飯を食べた白石と彼方
出かけたのが遅かったというのもあるが、気が付けば外は真っ暗
人の数も少なくなっていた

それもそのはず

時刻はもうすぐ12時をまわろうとしていた

「あー寒っ。店が暖かかったから余計に外寒く感じるわ」
『そろそろ雪降ったりしてな』
「あり得るで」
『もっと近くのファミレスにすればよかった』
「あそこが一番近いねんからしゃあないやん」
『そうか?向こうの信号の先にもあるじゃん?』
「あそこは、治安悪いから嫌やねん」
『そんな理由かよ。絡まれたことあるの?』
「いや、別にないけど。なんちゅーの?長居しにくいねん」
『ふーん』

他愛もない会話をしながら家までの道のりをゆっくり歩く

「それにしても、この辺暗いよな」
『ああ、街灯少ないんだよ』
「危ないよな」
『うん』
「人通りも少ないし、俺らが女やったら一発で拉致られてるよな」
『拉致られはしないだろ』
「強姦魔とか、おりそうやん?」
『わからなくもないけど』
「あんま1人で歩いたらあかんで?」
『なんで』
「強姦されるかも」
『俺、男。されるわけないだろ』
「暗かったら男か女かなんてわかれへんやん」
『襲った時に気付くだろ』
「いや。案外そのままやられたり・・・」
『ないない』
「一概にも言い切れんで!最近ではゲイが増えてきてるらしいからな」
『ゲイか・・・非生産的だよな』
「全く。無駄すぎるわ」
『ほんと・・・意味わかんねえよな・・・』
「なんや、意味深やな。あ、あれかトキヤからの熱烈ラブコール」
『あれはもう終わったことだろ』
「向こうは終わってへんかもしれんで?」
『連絡こないからもういいんだよ』
「あそう」

話題がトキヤの話になり
話を振った白石も、振られた彼方も、どちらも不機嫌になってしまった
そんな空気に耐えられず、再び白石が話題を変えた

「こういう場所って、青姦しやすそうやな」
『・・・・何言ってんだ』
「え?もしかして青姦の意味しらんの!?」
『・・・知ってるけど』
「なんやねん、なに純情ぶっとんねん」
『別にぶってねえよ。お前が突然変なこと言い出すからだろ』
「やって、思わん?ほれ、あの建物と建物の間と、か・・・」
『・・・・』

二人が建物のほうに視線を向ける
そして足早にその場を離れた

「あれ、男同士やんな」
『・・・・』
「固まんなや」
『俺は何も見てない』
「嘘やん!絶対見たやん!濃厚なチュウしてたやん!!」
『でっかい声で言うなバカ!』
「あ、照れてるん?」
『うっさい!』
「うわー。見てもうた。ホンマにおるんやな、ゲイカップルて」
『あいつらもそうじゃねえか』
「あいつら?」
『小春と一氏』
「ああ、確かに。でもな、現場見たことはないねん」
『あんなん四六時中してたら頭おかしいだろ』
「いやー、なんかショックやわー」
『・・・』
「なあ、どう思う?何がええんやろか?」
『知るかよ。恋愛なんて人それぞれだろ』
「お、ええこと言うね」
『・・・』
「女の子の唇のが柔らかくてええと思うけどなあ」
『唇なんて、女にも男にも同じようについてんだから、どっちとしても大して変わんねえんじゃねえの』
「・・・・意味深」
『ふ、深い意味はねえよ!』
「え?なんでそこで顔赤くするん!!」
『だあ!もう見るな!!』
「男としたことあんのか!?おい!こっち向けや!」
『うるさいな、何時だと思ってんだ!』
「はっ!まさか!トキヤか!あいつとしたんか!?」
『・・・』
「黙るってことは、したんやな!!」
『・・・・流れで』
「流れでってなんやねん!!あー、聞くんやなかった!」
『だったらもう黙れよ』
「え、気持ちよかったん?」
『聞きたくないんじゃないのかよ!?』
「いや、気になるやん!」
『(めんどくせ)だったらお前もしてみればいいじゃん』
「!?・・・・え?彼方と?」
『はぁ!?なんでそうなる!?適当な男とだよ!』
「え、えー・・・それはちょっと」
『なんなんだよもう、めんどくさいな』
「適当言われてもやな!そこそこビジュアルよくないと無理やし!そら、トキヤはアイドルやから問題ないかもしれんけどやな!」
『ビジュアルって。まあトキヤは確かにイケメンだけど』
「(やからキスしたんか)アイドル並みに顔いい一般人なんてそうそうおらんで」
『じゃあ諦めろ』
「俺の中の探求心がっ、諦めるのは無理や言うてる」
『じゃあ顔気にしなきゃいいだろ』
「それにやな、男とキスしても平気っちゅーやつも探さなあかんし」
『俺の兄ちゃん貸してやろうか』
「へ?彼方の兄ちゃんて、真田君?」
『そう』
「な、なんでそうなんの」
『あいつ、男にキスされるの慣れてるから』
「えっ!?真田君ゲイなん!?」
『そうじゃないけど。あいついつも俺の餌食だから』
「???」
『俺酔って何回かあいつとキスしたことある』
「なにを突然カミングアウトしとんねん!?ビックリするわ!」
『別に隠す必要もないし』
「いやあ・・・隠してといてほしかったかも」
『あれだ、手っ取り早くゲイバーとか行ってこればいいじゃん』
「・・・考えとく」















「〜スターリッシュでしたー!!〜」
「・・・・」
『あのさ、トキヤが出るたびに俺の顔見るのやめてくんね』
「・・・・(キス、したんか・・・)」
『・・・はあ(言うんじゃなかった)』






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