世界で一番恋してる

□20日
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バイトの休憩中、蔵ノ介からメールが届いた

バイト中にメール送ってくるなんて、珍しい。なにかあったか?





【From:白石蔵ノ介
Sub: バイト中堪忍
本文:
今日から2日か3日、後輩の研究の付き合いで大学に泊まってくる
前々から頼まれとってな。
言うの忘れとった堪忍!!
せやから、飯いらん。

寂しくなったらいつでもメールしてきてええで(*´з`)。】






『誰が電話なんかするか。腹立つ顔文字使いやがって』







1月20日







21時。バイトも終わり、一人家でくつろぐ

蔵ノ介のあほ。大学泊まり込みって前々から決まってたならあらかじめ言っとけよな

こっちは何も知らずに無駄に2連休とっちまったつうの

別に一緒にどこかへ出かけようとか思っていたわけではないけれど

『暇じゃねえか。2日もなにすりゃいんだよ』

とりあえず、録画してあるテレビ番組でもみて、ご飯にするか・・・

そう思って、夕食の準備をしようとこたつからでたところで、机の上に置いてあった俺の携帯が鳴った

蔵ノ介か?





【From:真田弦一郎
Sub:(not title)
本文:
久しぶりだな。元気にしているか。
早速要件なのだが
今日は、家にいるのか?
俺の友人を1人家に泊めてほしいのだが。
無理か?もちろん白石にも許可をとってからでいい
早めの返信を待っている。】





『弦一郎?堅苦しいメール』

メールの相手は弦一郎だった





【To:真田弦一郎
Sub:元気だよ
本文;
今日白石居ないし、俺一人だから問題ないけど
誰?俺の知らないやつ?
仲良くおしゃべりは無理だぞ。】





『送信っ』

弦一郎の友達だから頭の固いやつが来そうだな
やりにくいやつじゃなきゃいいけど

そう思いながらキッチンへ向かう

つうか、いつ来るんだ?もうすぐ来るなら、夕飯二人分作っといた方がいいのか?
こんな時間だし、必要ないのか?

「♪〜〜♪♪〜」
『あ、メール』




【From:真田弦一郎
Sub:RE.
本文:
手塚、覚えているか?
中学の時、合宿で会っていると思うのだが
青春学園テニス部の部長だ】





青学テニス部??
確かに、中学のとき、手伝いで合宿には行ったけど・・・
その時一回しかあってないし、正直覚えていない
蔵ノ介からちょくちょく、名前は聞いてたけど

あ、弦一郎の釣り仲間、とも聞いたな・・・
てことは、かなりの真面目君か
そんなやつが、なんで急に俺の部屋に泊まるとかいう話になるんだ??




【To:真田弦一郎
Sub:RE.RE.
本文:
悪い、あんまり覚えてない。
つうか、何時ごろ来るの?  】




今が21時過ぎだから、早くても22時くらいか??
飲み物でも買ってくるか・・・

そう思って携帯、財布、鍵をジーンズのポケットに入れ家を出ようと玄関に向かった
その時

ピンポーン

『!?』

ちょうど扉の前に来た時にチャイムがなったため、かなりビビった

まさかもう来たのか??

のぞき穴から外を確認してみる

そこには、メガネをかけた多分茶髪の男が立っていた

・・・・正直手塚君の顔とか覚えてないんだけど・・・

ゆえに、彼が手塚君かどうかわからない

ポケットから携帯を取り出し確認してみる
が、弦一郎からの返信はまだなかった

役立たずが

携帯をしまい、玄関を開ける

『はい。どちら様ですか?』

防犯用のチェーンをかけたまま外の人物に声をかけてみる

「あ、夜分遅くにすみません。私、手塚国光と申します」
『固っ。ちょっと待って』

やっぱり手塚君だった
予想通りかっちかちの挨拶だな

一度扉を閉め、チェーンをはずし手塚君を招き入れる

『こんなにすぐ来ると思ってなかった』
「真田君、あ、いや、弦一郎君から聞いてませんでしたか?」
『聞いたのついさっきだったんだよ。もっと遅いと思ってた』
「そうでしたか・・・真田く、弦一郎君から行ってもいいと連絡があったもので。もう少し外で時間をつぶしてくるべきでした。」
『いや別にいいんだけど。って、その、敬語やめない?同い年・・・だよな?』

仕事帰りのお父さんみたいな格好してるけど

「む・・・・それもそうだ。お邪魔します」
『どうぞ』

手塚君を招き入れ着ていたコートを預かる

「え」
『??』
「あ、いや・・・・」

なぜか戸惑いながらコート渡してくる

『今飲み物入れる。コーヒーでいい?あ、こたつ入ってて。寛いでいいから』
「あ、ああ」

手塚君をリビングへ押しやりつつ、財布携帯鍵を机の上に置き、自分はキッチンでお湯を沸かす

『そのきつそうなネクタイも外したら?』
「む・・・あ、ああ」

手塚君って、会社員なのか?蔵ノ介は大学生って言ってた気がするけど・・・

大学って私服だよな?あれって手塚君の私服?スーツにみえるけど・・・

「真田君・・・携帯なっているぞ」
『ん、ありがと』

わざわざキッチンまで持ってきてくれた携帯を開くと、弦一郎からのメールだった





【From:真田弦一郎
Sub:RE.RE.RE.
本文:
さっきメールで確認が取れたと送ったから、もうすぐそっちにつくんじゃないか?】





もう来てるっつーの





【To:真田弦一郎
Sub:(non title)
本文:
ちょうど今来たところ】





それだけ送って携帯を閉じた

「俺も手伝おう」
『ん?いいって、座ってて』
「しかし・・・」
『いいから』
「むう」

むうって・・・不服そうだな
しぶしぶ部屋へ戻って行く手塚君

『あ。そうだ、俺今から夕飯なんだけど?手塚君は?どうする?』
「いや、そこまで世話になるわけには・・・外で少し食べてきたっ(グウー)・・・」
『ははっ、思いっきり腹なってんじゃん。遠慮するなって』
「・・・・す、すまない」

相当恥ずかしかったんだろうな。
メガネをカチャっと上にあげそっぽを向いた

『はい、コーヒー。砂糖とミルクはお好みでどうぞ』
「すまない」

話し方がなあ、弦一郎と似てんだよなあ
手塚君のほうがかしこまってるけど

『魚と肉、どっちがいい?やっぱ魚?』
「やはりとは・・・?」
『あいや、雰囲気?』
「・・・・偏見だ」
『んじゃ肉料理にするか?』
「ど、どちらでも・・・」
『魚にするよ』

肉といった時の手塚君の少しがっかりした表情
わかりやす

こういう反応も、なんとなく弦一郎に似てる
こういうの見ると意地悪したくなるんだよな俺
まあ、初対面の相手に意地悪なんてしないけど

『今から作るから時間かかるかも。風呂入ってくる??』
「!?いや、そこまではっ」
『外寒かっただろ?あったまってきたらいいじゃん』
「いやしかし着替えも持ち合わせていないし・・・」
『あー・・・・』

着替えかあ・・・

悔しいけど、俺より背高いし体格もよさそうだから、俺の服は無理か…
蔵ノ介のならいけるんじゃねえ???

そう思ってリビングへ向かう

「む?」
『ちょっと失礼』
「なっ!?」
『ジッとしてて』
「っ!?お、おいっ・・・」

半ば無理矢理手塚君を立たせ、
後ろから、前から、腕をまわしてみる

うん、うらやましい体格だ
筋肉とかすごいついてる

蔵ノ介よりちょっと全体的に大きいか・・・

ま、着れるだろ

『蔵ノ介の服貸してやるよ。スーツで寝るのは嫌だろ』
「蔵ノ介・・・?」
『あー、っと・・・知らない?同じテニス部だから知ってる・・・だろ?』

あいつは手塚君のこと話してたし

蔵ノ介のクローゼットを漁りながら話をする
たしか、このへんに、それっぽいのが・・・

「・・・白石のことか?」
『そうそう。白石蔵ノ介』
「なぜ白石の服がここに?い、一緒に住んでいるのか?」
『あ、そうだけど・・・あれ?弦一郎から聞いてない??』
「ああ」
『あいつ、いっとけよな。はい。これなら着れるだろ』
「・・・・勝手にいいのか?」
『いいよいいよ。あ、手塚君は嫌か?もしかして潔癖症?あいつの服なんて着たくないか?』
「いや、そんなことは・・・」
『んじゃ、はい。これ持って風呂入ってきて。下着はさすがに貸せないけど・・・』
「すまない・・・」
『ん。その間に飯作っとくから』
「あ、ああ・・・(なんだこの、くすぐったい感じは・・・)」

バスタオルと着替えを手渡し、手塚君の背中を押す

『シャンプーとか、適当に使っていいからなー』
「・・・・ああ」

キッチンから声をかけたから聞こえたか不安だったが、返事が返ってきたので、どうやら聞こえたようだ

さて、なにつくるか・・・








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