世界で一番恋してる

□21日
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『で、お前何しに来たわけ』





1月21日





突然家に来た精市
今は俺の作った親子丼を食べているところだ

「うん、彼方の作るご飯はやっぱり美味しいね!日本に帰ってきた甲斐があるよ」
『何しに来たって聞いてんだよ』
「いやだな、恋人に会いに来るのに理由が必要かい??」
「こ!恋人っ!?」
『そんなドラマみたいなセリフが聞きたいんじゃない。あと国光、本気にすんな』
「ぬっ・・・(冗談なのか)」

ホント、何しに来たんだか・・・
さっき携帯を確認したら、弦一郎から、メールが来ていた

“幸村がそっちにいくらしい”

って、それだけかよ
まあ、弦一郎も断れなかったんだろうな
あいつ精市には頭上がらないみたいだし

「せっかく日本に戻ってきたんだし、彼方に会っておこうと思ってね」
『いつまで日本にいるんだ?』
「明日まで」
『明日って、また急だな、実家帰った方がよかったんじゃねえの』
「いいんだよ。俺は彼方に会いたかったんだから」
『・・・あ、そう』
「ふふっ」
「・・・」

ニコニコしながら俺を見る精市
そんな精市を眉間に皺を寄せながら見ている国光

「ごちそうさま、彼方の手料理、すごく美味しかったよ」
『大げさ。たかが親子丼だろ』
「ホントに美味しかったよ、こんな時間に作らせちゃって悪いね」
『腹減ってたんだろ、別にかまわねえよ』

カラになったどんぶりを、流しに持っていく

「そうだ彼方。お土産持ってきたんだ」
『土産?』
「そう。本場フランスの赤ワイン」
『ワインって。お前まだ酒飲めないじゃん』
「彼方へのお土産だから、俺は飲めなくてもいいんだ」
『・・・んじゃ、今開けるか。国光飲めるか?』
「!お、俺か・・・飲めないことはないが、ワインは飲んだことがない・・・」
「彼方に買ってきたんだけどな」
『そういうなって。一人でなんて飲みきれねえよ』
「・・・まあいいか。ありがたくいただいてね手塚」
「う、うむ・・・(幸村のこの笑顔、久々に見たな)」
『なにかつまみでも作るか・・・確かハムとチーズが冷蔵庫に・・・』

ごそごそと冷蔵庫を漁る
あ、あったあった

足りなくなったらコンビニ行けばいいか
とりあえずあるものでなにか

冷蔵庫から食材を取り出し、台所に立つ
こんな時間に酒飲むなんて、蔵ノ介がしったら怒るだろうな

「いいね、この眺め・・・」
「幸村?」
「新婚さんみたいだ」
「・・・」
「なに?」
「いや・・・」
「あの後ろ姿・・・たまらない・・・」
「・・・」
「彼方、何か手伝おうか??」
『ん?いや別に、疲れてんだろ?座ってろよ』
「そうだね、少し疲れてるかも。彼方に癒してもらおうかな・・・」
『な、なんだよ。邪魔』

そう言って俺の背後から腹に腕をまわしてくる
作業し辛い。邪魔
というか、こいつ背伸びたな・・・
うらやましい

「嫌がらないんだ。もしかして慣れてるのかな?こういうこと・・・」
『今すぐ鳩尾に肘鉄入れたい』

肩に顎を乗せて言う精市
お前こそ、手慣れてるな
海外ってやっぱスキンシップ激しくなるんだな

「っはは、変わってないね彼方」
『大人しく座ってろ』
「はいはい」

俺の言葉通り部屋へ戻って行く精市

昔より素直になったか

「手塚」
「っ・・・」
「邪魔しようとしたでしょ」
「いや・・・」
「ワイン注ぐコップはどれだ?とかそんな感じ??」
「・・・」

つまみを持って部屋へ戻ると、ワインボトル片手に固まる国光とニコニコ笑っている精市

『何やってんだお前ら?』
「なんでもないよ。彼方グラスは?」
『ああ、悪ぃ、今持ってくる』

つまみを机に置いてグラスを取りにキッチンに戻る
ワイングラス、4つあってよかった
必要ないって蔵ノ介に怒ったことがあったけど
今度謝っとこう

『ん、精市は何飲む?』
「俺、ノンアルコール買ってきたから、これ飲もうかな」
『ちゃっかりしてんな』

グラスを3つ持って部屋に戻る

『まだ冷えてる』
「急いで来たからね」
「俺が注ごう」
『ん、サンキュ』

コルクを勢いよく抜き国光がグラスに注いでくれる
飲んだことない割には慣れてるな

「俺は、彼方にお酌してほしいな」
『いいじゃん、国光で』
「彼方がいいな」
「っ・・・彼方」
『・・・わかったよ』

別に誰からだっていいだろ
女子じゃあるまいし

ノンアルコールのビンの蓋をあけ、精市のグラスに注ぐ

「ありがと、それじゃ、乾杯しようか」
「ああ」
『ん』
「久しぶりの再会に、乾杯」
「乾杯」
『乾杯』

チンっと小さな音がなる

『ん、うまい』
「彼方お酒強いよね」
『まあ』
「そうなのか」
『国光は?飲めそうか?』
「ああ、思ったより飲みやすいな」
「喜んでもらえてよかったよ」
『精市も早く飲めるようになるといいな』
「そうだね。飲めるようになったら一番最初に一緒に飲んでほしいな」

俺の左手に手を重ねながら言う精市

『時間が合えばな』
「冷たいなあ、そこは嘘でもうんって言ってほしかったんだけど」

グイッとグラスのワインを飲み干す
ホントにおいしい

『おかわり』
「ペース早すぎじゃないか?」
『大丈夫』
「・・・ならいいが」

国光にワインを注いでもらう

「ほんと、口に合ってよかった」
『うん。おいしい。精市ありがとう』
「ふふっ、どういたしまして(素直になってきた・・・もう酔ってきてるな)」
「・・・(こんな笑い方するのか)」

ああ、だんだんいい気持ちになってきた








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