世界で一番恋してる

□23日
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1月23日




日付もかわり、23日深夜1時

「ただいまーっと。しんどっ」

後輩に付き合い大学にこもりきりで研究を続けていた俺
家に帰ってきたのは3日ぶりだろうか?

さすがにそろそろベットで寝たいし、風呂にも入りたい

コンビニ弁当も飽きたわ

そう思って終電で帰ってきたいうのに

「彼方ー??」

俺のただいまに、返事がない
いつもやったら素っ気ない程度だが、おかえりって返ってくんのに

「バイトか??いやでも靴あるしな」

確かバイトは夜番やって言ってたはず
それにバイトやったら俺、今日帰ってきた意味ないしやな

「彼方くーん?旦那様のおかえりやでー、なんちゃって」

リビングのドアを開けながら言うが、突っ込みはなし

でも部屋の明かりはガンガンについとる
というか、なんや酒くさない?

「ん?なんや、寝てるんか」

部屋を見渡すと、彼方がこたつで熟睡中やった

結構な声量で呼んだのに起きへんとか、どんだけ眠り深いねん

つうか

「俺にはいっつもこたつで寝るなって言うくせに」

起きる気配のない彼方の横に座り、顔を覗き込む

「おーい、風邪ひくで」
『んんん』

お、起きたか

『・・・・・』

寝がえりうちよった
ちゅうかこたつ入ったまま寝がえりとか、器用なことするな
俺、出来へんで、腰つっかえて

向いたほうに回り込んでもう一度顔を覗き込む

「・・・・・寝顔もイケメンとか・・・うらやましすぎるやろ」

寝てるときくらいしかじっくり顔見る機会ないからなあ・・・

「まつ毛長っ」

寝とるのをいいことに、そっとまつ毛に触れてみる

『んんっ』
「いてっ!」

さすがに気になったのかほっぺたをはたかれた

起きたかと思ったが、どうやらまだ起きてないみたい

「どんだけ寝てんねん」

ここまで起きへんと、もっといたずらしたく、なるやん?
それが男ってもんやろ?

「ちゅうことで、覚悟しいや彼方―」

口角が上がるのが自分でもよくわかった

とりあえず、前髪をかき上げてピンでとめる
いっつも前髪あるんしか見たことないけど、デコっぱちもええやん、似合うやん

うらやましっ

「肌きれいやな」

ニキビとかシミとか全くないやん、まあ俺もないけど
俺は毎朝晩ちゃあんとスキンケアしとるから、なくて当然やねんけど(もちろん大学でもちゃんとやってたで)
こいつスキンケアとかしてんのみたことない

「やらんでもきれいとか、ずるいわ」

人差し指で頬を突いてみる
おお、ええ弾力
ほんでやっぱ起きへんねんな

ちゅうか、唇もめっちゃ綺麗やなこいつ

男らしい、薄い唇
リップクリームとか塗ってんのか?全く乾燥してへん

・・・女優か!

ふにふにと、下唇も突いてみる

おお、薄い割には柔らかいやないか

「・・・これ口に指とか入れても起きへんのちゃう?」

浅い呼吸を繰り返すために少しだけ開いている口
指で少し開かせ、そのまま中に入れてみた

『ん』
「うわ、まじか」

さすがに起きるやろうと思ったが、俺の指を銜えたまま起きる気配はない

中の指を舌にそって奥から舌先へと動かしてみる

「お」

先端に触れた瞬間、彼方の舌がピクリと動いた

「ははっ、面白っ。先っぽくすぐったいんやろか」
『んんっ』

反応したのが面白くて、俺の指から逃げようとする舌を追いながらそこを重点的に触る

「無意識か、起きてるわけじゃないねんな?」

今度は上顎をなでてみる

『んっ』
「いたっ!?」

口の中というより、体をピクリと揺らして、思い切り口を閉じられた
当然、俺の指に思い切り噛みつく形になった

いったー、油断した・・・

人差し指にはくっきりと歯型
本気噛みやったな今の
血でてないだけええか

「なにすんねん、あほー」

あんなにしたにも関わらず、相変わらず眠り続ける彼方

「気持ちよさそうに寝よって。腹立ってきた」

おでこに肉とか書いたろかな

「おでこで思い出したけど、彼方耳もあんま出せへんよな」

思い立ったら行動が大事や
上になっている右の耳に、サイドの髪をかける

「おお、これまた新鮮」

つうか耳出してたほうがええんちゃう?

「・・・・・口の次は耳やな」

自分の口角が再び吊り上がるのがわかった

手始めに、耳たぶをぎゅっとつまんでみる

『・・・』
「なんや、無反応かいなつまらん」

耳たぶもうすいなー
そういや、彼方はピアスとかあけへんのやろか?

「そういうチャラチャラしたの嫌いそうやな」

でも、似合いそうやわー

「こことか」

上のほうの軟骨の部分を耳の形にそってなでる

いやでも、痛そうやな、軟骨ピアスって
千歳とか財前が確かしてたか・・・軟骨やないけど
ちゅうか、中学生でピアスとか、あいつら不良やないか
見逃してた俺も俺やけど

『んんっ』
「お、反応あり」

耳たぶの上の軟骨をコリっとしたら反応があった
ここか、ここがくすぐったいんか

面白っ

普段見られへん反応やから余計に面白い

「あ、こら隠すな」

そこばっかり集中して撫でていたら、彼方の右手が耳を覆った

せっかく楽しくなってきたのに、邪魔やわー

そう思って俺の左手で強制的にどけさせる

抵抗がないところを見ると、やっぱりまだ寝ているようや

「どんだけ眠いねん」

一体いつ寝たんや?

そろそろ俺も飽きてきた
ちゅうか腹減ってんけど
そろそろ起きてくれへんやろか

「彼方―」
『・・・・』
「おーい、久々に帰ってきたのにつまらんやないかー」
『・・・・』

耳たぶを少し引っ張りながら言うも、反応は全くない

「・・・・今度は耳に指入れんで」
『・・・』
「無視か。よおしわかった、覚悟しいや」

どうなっても知らんからな!

人差し指だと太そうなので、小指を彼方の耳の穴にそっと差し込む

「どや!」
『・・・・・』

くっ・・・そ、なんでやねん!

・・・・こうなったら

一度指を抜き、その指を未だ半開きの彼方の口に突っ込む

唾液を絡ませるように、口の中をなでまくる

『んん』
「お、起き・・・」
『・・・』
「・・・てへんのかい!」

なんやねん、一瞬焦ったやんけ!

口から指を抜き、唾液で塗れた小指を耳に差し込み、塗り込むように回す

「どや!」
『ん・・・』
「さっきからお前、唸ってばっかやないか」

・・・・・これでもだめか

「はああ、つまんらん」

完全に飽きた
しかも腹減った

今日は久々に彼方の料理食べれる思って楽しみに帰ってきたいうのに

「こんなことやったらもう一泊してもよかったなあ」

まだ研究終わってへんし

「・・・・まじで起きへんの」

そう聞いてみても、スースーという規則正しい寝息が聞こえるだけ

「ああーもう!!」

視界に入るのはさらけ出られたままの彼方の耳

「・・・直接なめたらさすがに起きるやろか」

なーんて
冗談やん
さすがにそこまでは・・・

「起きろやー。最終警告やでー」

顔の横に肘をついて、彼方の耳に接近する

「・・・・(ゴクッ)」

思い切って軟骨部分を一舐め

『ん』

もう一舐め

『っ』

体を捩って反対側を向こうとするのを阻止して、穴の部分に舌先を突っ込む

『んんっ!はっ』

はは、やっぱダイレクトやと効くようや

ようやく反応したのが面白くて、
舌先をとがらせて奥のほうに差し込んでみたり、穴の周りをなめたりいろいろしてみる

『っ、んっ・・・んんん!』

なんや、彼方喘いどるみたいやな
もしや、こいつ、耳性感帯か??
おもろい情報ゲットした

押さえつけとる彼方の右腕に力が入ってきた
なんやこれ、超楽しいやないか

我を忘れ夢中でなめまわす

『んんっん、や・・・死ね!』

ゴンッ!

「あいっ!?っー・・・」

調子に乗って周りが見えんくなってた俺のこめかみに、彼方の左手の拳がクリティカルヒットした
その拍子に舌も噛んだ

痛すぎる!
手加減なしか!

「堪忍、ちょい調子乗りすぎたわ・・・せやけど、声かけても起きへん彼方が悪・・・」
『・・・・・スー』

うそやろ!?
まだ寝てんのか!?
今起きたんちゃうの!

・・・・もうええわ

頭と舌の痛みにもうちょっかいかける気もおきん

未だ眠り続ける彼方をこたつから引っ張り出しベットへ移動させる

されるがままかいな

今日何回思ったかわからんけど、
ホンマ
どんだけ眠いねん!

「料理する気も失せたー」

カップラーメンでええか
結局今日も大学とかわらへんやんけ!









『んん、変な夢見た(犬に顔なめられて・・・)・・・俺こたつに居なかったっけ?まあいいか』
「・・・・」
『あれ、蔵ノ介帰ってきてんじゃん』
「・・・・」
『帰ってるなら起こせよな』
「・・・」
『・・・こたつで寝るなっていつも言ってんのに』
「・・・」
『(一緒に住んでるはずなのに、久々に蔵ノ介の顔みたな・・・)おかえり』
「んん・・・」


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