あなたのお家はどこですか?

□【当店おさわり禁止です。手もダメ!?グラスもらうときにたまたま触れ合っちゃう指!それもだめ!?】
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『い、いらっしゃいませー・・・』






【当店おさわり禁止です。手もダメ!?グラスもらうときにたまたま触れ合っちゃう指!それもだめ!?】





「へえー、君本当に男の子なのー?いやー、見えないねえー!」

『あはは、ありがとうございますー』

仕事帰りのサラリーマンの隣に座ってお酒をつぐ

このやりとり今日何度目だろう

「えーと。オカマバーだし、男の子だからさあー、触ってもいいんだよね?」

『あはは、おさわりは禁止なんですー』

このやりとりも一体何度目なんだろう・・・

なんでどいつもこいつもそんなに触りたがるんだよ!
可愛いっつったって男なんだぞ

両手ワキワキさせながら鼻の下伸ばしやがって変態が!

「ちょっとぐらいいいでしょー!」

『ちょっ!ダメですってば!!』

肩をグッと押されて、太ももに手を置かれる

あー!もう!気色悪い!!!

「はあーい、お客さんそこまでー」

『あ、あれ。銀さん?』

俺にセクハラを働く客の手を止めたのは、何故か銀さんだった

さっきまで向こうのテーブルでお酒飲んでたと思ったのに

「い、いててて!何すんだ!」

「何すんだはそっちでしょーよ。ここはおさわりパブじゃないのよ」

「っ!女装して金とってるような変態に拒否する権利なんてねえんだよ!!」

『なっ!?』

ひっど!なんてこというんだこいつ!
俺だってなあ!好きでこんな格好してんじゃねーよ!

「その変態に欲情してんのはどこのどいつだよ変態」

「っ!!くそっ!帰る!二度と来るかこんな店!」

「おー、帰れ帰れ」

『銀さん・・・』

顔を真っ赤にしてその客は店を出て行った

「大丈夫か名前くんっ」

『あ、ああー・・・うん、俺は大丈夫・・・だけど・・・』

いや実際助かった。ホントに。正直スゲー嫌だったし
帰ってくれてよかったと思ってる
俺はね・・・
俺はよかったって思ってるよ・・・
けど・・・

「おいお前ら、今ので何人目だと思ってんだ」

『ひっ!?』

西郷さんはそうは思っていないようで・・・

俺と銀さんの目の前に鬼の形相をした西郷さんが君臨した

女装してんのに、口調が完全に男に戻ってる

こ、怖い!

「何言ってんだ、ガラの悪い客を排除してやってんだろ、この店の治安の為にっ」

「頼んでねえよ!!」

『銀さんっ!!』

パアーンという乾いた音とともに、俺の視界から銀さんの姿が消えた

そう、西郷さんの張り手に吹っ飛ばされたのだ

「で、何人目だ」

『あ・・・えっと・・・ご、5人目です・・・』

「5組目だろ、計10人だ」

『ひっ!すすすすみませんんんん!!』

なんだこれ、怖すぎて体の震えがとまらねえ!!
これが生死の境というものか!

「はあ、これじゃ逆効果だわ」

『・・・・』

なんか俺スゲー怒られてる?
てか、よく考えたら客返してんの全部銀さんじゃね?

俺、何にも悪いことしてなくない?

「だったらもういいんじゃねーの?名前君解放しろよ化け物」

「そうね。名前ちゃんじゃ可愛すぎて、ここにはふさわしくないわ」

『え・・・じゃあ』

か、帰ってもいいってこと??

「給料はちゃんと相手した客の人数分しか出さないわよ」

『やったー!』

終わった!ようやく地獄から解放される!!

「よかったな名前君!んじゃ、銀さんと一緒に帰ろうか!その格好のまま!」

『え、なんでこの格好のまま?着替えるけど・・・』

「はぁ!何言っちゃってんの!勿体ない!」

『も、勿体ない・・・?』

たしかに、もうこんな格好する機会ないから勿体ないっちゃ勿体ないかもしれないけど・・・

「誰が帰っていいって言った!!」

「『!?』」

これまた怖い顔で言う西郷さん

え?まだ帰れないの・・・?

「銀時、アンタも働いてもらうわよ」

「はっ!?何言ってんだ!人数は足りてんだろうが!」

「名前君が抜けるでしょうが、その代わりよ」

「ちょ、まてよ、俺やらねえよ?」

「問答無用よ。とりあえずアンタが返した客分は働いてもらうわよ」

『銀さんファイト!お疲れさまです!』

「誰が帰っていいって言った?」

『え・・・?』

笑顔で銀さんに手を振りバックヤードへ帰ろうとする俺の着物を
俺よりも笑顔の西郷さんにグイっと引き寄せられる

え、なん、え?
帰れるんじゃないの??

「名前ちゃんにはステージに立ってもらうわ」

『はっ!?無理無理無理!無理ですって!』

ど素人の俺がステージの上になんてたてるわけないじゃん!
何すればいいのかわからんないし!

なにより恥ずかしくて死ぬって!

「つべこべ言わずに行け」

『!?ででで、でもっ・・・なにすればいいかっ』

「扇子もってヅラ子の横で腰振ってりゃいいのよ」

『・・・前後に?』

「左右!名前君前後はまずい!それは銀さんの前だけにして!」

「お前はさっさと着替えてこんかい!」

西郷さんに蹴り飛ばされてバックヤードへ消える銀さん

冗談なのにぃ

「ヅラ子!名前君に指導してやってちょうだい!」

「むっ、ステージの上にあがるのか?ここに立てるのは総選挙で上位7位までに入った神7と呼ばれるものだけなのだぞ」

『OKM48?』

「どこのアイドルグループだ。ほら早くあがんなさい!」

『うわっ!ちょ!まだむり!俺まだ研究生だからっ!』

「研究生だろがなんだろうが、チャンスは掴まねばならんぞ名前君!そんな覚悟でこの世界で生き残れると思っているのか!」

『ヅラ子先輩・・・』

「いいからさっさとしねえか」

『はい・・・』

西郷さんの両手が今にも殴るぞと言わんばかりにボキボキなっていたので、仕方なく俺はステージに上がった

うわ・・・みんな見てるよ・・・

恥ずかしくて死にそう・・・

「いいか名前君。初めは恥ずかしいかもしれんが、慣れれば何とも思わん。むしろ快感こそ覚えるぞ」

『変態』

「まずは右手に扇子。そして左手は腰だ」

『こう?』

「おお、なかなか筋がいいじゃないか」

『あ、ありがとうございます』

「よし。次は扇子を八の字を描くように動かす。それと一緒に腰も左右に揺らすのだ」

『・・・・えっと。こう、かな?』

「おお!いいじゃないか!俺のセンターの座も危ういな!はっはっは!」

『別に狙ってませんけど』

ヅラ子先輩の動きを見様見真似でやってみた

なんだ思ったより簡単じゃん
まあ、恥ずかしいに変わりはないんだけど・・・

音楽に合わせて踊る

あ、銀さんだ

めちゃくちゃやる気のない態度で客にお酒を注いでいる

「・・・(ひらひら)」

あ、手振ってる
なんか恥ずかしくて、反射的に顔を背けてしまった

「・・・(かわいい)」

あー。これ、いつまで続けりゃいいの?

「聞いてもいいか」

『??なんですか?』

隣で踊っているヅラ子先輩に話しかけられる

音楽がうるさいから、客の方までは聞こえないから喋っててもいいみたい

「銀時とはどういう関係なのだ」

『どういうって・・・』

なんかこれ前にも誰かに聞かれた気がするな・・・

俺と銀さんってどういう風に見られてるんだろ

「やけに仲がよさそうだが」

『んー・・・お世話になった人?』

「世話?」

『うん、こっちの世界に来て不安だったときにいろいろ親切にしてくれたっていうか・・・』

「・・・こっちの世界?」

『あ!えーと、俺出身江戸じゃないんだよね!遠くの方なんだ!』

「・・・・江戸に出てきたときに親切に・・・か」

『そうそう!!』

あ、危ない危ない
トリップしてきたことは誰にも話しちゃいけないんだった!

『それより、銀さんとヅラ子先輩こそ、どういう関係なんですか?』

「(ヅラ子先輩・・・)俺と銀時は昔の戦友だ」

接客中の銀さんを見ながらそう言った

戦友・・・やっぱ戦ってたんだ・・・

一体誰と?

坂田銀時って、歴史上のモチーフ誰だろ??

桂さんは、桂小五郎・・・だよな?

えっと、てことは、敵は幕府・・・?

だめだ、俺歴史とか超がつくほど苦手だからさっぱりわからない!

『何と、戦ってたんですか?』

「天人だ」

『あまんと・・・?』

たしか秋也さんに聞いた

この世界には天人っていう宇宙人がいるって

なに、銀魂って、宇宙戦争の漫画なの?

がっつり和テイストなのに・・・?

不思議な漫画

「あの頃の銀時はすごかった・・・」

『・・・』

昔を懐かしむようなヅラ子先輩の表情

「もう一度俺たちが手を組めば・・・こんな腐った世の中すぐに変えられるというものを・・・」

『・・・ヅラ子先輩・・・』

小さな声でつぶやいたが俺にはしっかりと聞こえた

なんだか、すごい野望を持ってるみたいだ

「そうだ、名前君、俺たち攘夷の仲間にならないか」

『??攘夷??』

それもどっかで聞いたな・・・
どこだっけ?えっと・・・

「名前君が来てくれればきっと銀時も戻ってくる!そして俺と名前君はずっと一緒に居られる、一石二鳥ではないか!」

『!?いやですけど!!』

ヅラ子先輩と四六時中一緒とか絶対に嫌だ!

なんか、すごく大変そう!

ていうか変態だし、やだ、無理!

「なぜだ!危険な目には俺が合わせないと約束しよう!おぬしのことは俺が守る、共に攘夷活動をっぶっ!?」

『うわ!?』

「ヅラてめえ、なに勝手に名前君口説いてんだ、厚かましい!」

『銀さん!』

俺に迫るヅラ子先輩の顔面に灰皿がクリーンヒットした

おいおい、流血してんじゃん!痛い痛いって!

「ふっ、男の嫉妬はみっともないぞ銀時」

『だ、大丈夫ですかヅラ子先輩!』

「ああ、少しフラフラするが、なに、これしき、なんの問題もないっ」

『ヅラ子先輩!』

大丈夫っていう割にはフラフラなんですけどっ!

「だー!!名前君にさわるんじゃねえええええ!!」

「名前君・・・俺はもうだめだ・・・」

『ヅラ子先輩!!!』

倒れこむヅラ子先輩を咄嗟に抱き留める俺

「叶うのなら、最後は・・・名前君、おぬしの中でイキた・・・」

「なにいってんだあああああああ!!!」

『ヅラ子先輩!しっかりしてください!』

「名前君・・・センターは、おぬしに任せた・・・」

『ヅラ子先輩!嫌だ!死なないで!まだっ。まだ先輩からなにも教えてもらってない!先輩のあとをついでセンターなんて、俺にはまだ無理です!俺、嫌われてるしっ!だからお願い!行かないでヅラ子先輩!』

「名前・・・」

『ヅラ子先輩・・・』

そっと囁くように名前を呼ばれ、頬に手がかかる

その手に自分の手をそっと重ねる

「ちょ、え?ちょっと名前君?え?なにしてんの?え?」

「お前ならもう大丈夫だ・・・俺がいなくとも、立派にセンターを務められるはず・・・」

『無理です!』

「弱音を吐くな。卒業しても、いつでも俺はお前を見守っている」

『ヅラ子、先輩・・・』

「餞別だ、受け取れ・・・」

そういって顔を引き寄せられる

重力に従い俺の顔はヅラ子先輩に近づきそして・・・

「あああああああああ!!!!!!」

銀さんの悲鳴をBGMに、唇が重なった

「これでもう、なにも怖くないはずだ」

『はい・・・もう、泣きませんっ』

「いい顔になったな・・・あとは任せ・・・た」

『ヅラ子先輩!!』

俺の腕の中で、ガクッと力尽きるヅラ子先輩

『っ・・・みなさん、聞いてください』

「んっ?なに、なにこれねえ?なんでみんな普通の顔してみてんの?ねえ!この状況に違和感感じてんの銀さんだけ!!ねえってばあああああ!!」

『私のことは嫌いでも、OKM48のことは嫌いにならないでくださいっ!!』

「何言ってんの名前君!!どこ見てんの!?誰に向けて言ってんのそれええええ!!」

「わあああああ!!」

「感動した!!」

「嫌いになんてならないよ!頑張れ名前君!」

「センター応援するからねええ!!」

『ありがとう!ありがとうみんなあ!』

「なにこの拍手の嵐!!俺も拍手してっけどさあ!」

会場が拍手と歓声に包まれた

俺、やるよ
ヅラ子先輩にも負けないセンターになってみせる!!

グッと拳を強く握る

『それでは聞いてくださいっ、ヘビーローテーショッ「ゴンッ!!!」ンっ!?』

「はい、お粗末さまでしたあ、どうぞ、お酒の続きをお楽しみくださいー」

西郷さんから脳天に鉄拳を食らった俺と、さっきからとっくに意識のないヅラ子先輩は、引きずられながらバックヤードへと強制連行された

い、いたい・・・

「・・・名前君・・・ぎ、銀さんも応援するからああああ!!」

会場から銀さんの叫び声が聞こえた





『なんでこんな目にぃ・・・』

「調子に乗りすぎよ全く」

『自分でもなんでこんなことしたのか理解できません』

「ヅラ子も伸びちゃってるしもう」

『俺、一人でも舞台やり遂げて見せます!』

「何言ってんの、クビよクビ」

『ですよねー』

「もう帰っていいわよ」


結局俺が帰ったあと、俺とヅラ子先輩の代わりに銀さんがステージに立っていたらしい

「何で俺があああああ!!」

『(あ、石増えてる・・・)』















次回
【男でも女でも、拘束プレイとか手錠プレイとかって憧れるよね】

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