あなたのお家はどこですか?

□【誕生日だからってなにか特別なことが起こる訳じゃない。せいぜいケーキが食えるくらいだ!夢見るなよ!!】
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『こんにちはぁ』




【誕生日だからってなにか特別なことが起こる訳じゃない。せいぜいケーキが食えるくらいだ!夢見るなよ!!】




「あ!名前さん!どうしたんですか?」

『よぉミントン君!相変わらずミントンだねぇ、見つかったら怒られちゃうぞぉ、あ、土方さん』

朝早く屯所を訪れた俺を迎えてくれたのは、ミントン君だった
名前?忘れた

「えっ!!ふふふ副長!これは!あれ??」

『ぷぷっ、引っ掛かった!』

慌てるならやめればいいのに

「もう!やめて下さいよ名前さん!で、用事はなんですか??」

『ん?ああそうだった、コレコレ。ケーキたくさん持ってきたから食べてよ』

「ケーキ?なんでケーキ?」

『なんでって店に余ってたから』

「あ!そうなんですか!ありがとうございます!!」

『いいよいいよ気にしないでー。じゃ、俺はこれで』

ミントン君に大量のケーキを手渡し屯所を後にしようとした
そのとき


ドカーーーーーン


『「うぉっ!?」』

「総悟ぉぉぉぉぉぉ!!!」

中から爆音と土方さんの怒鳴り声
毎回毎回お約束だなぁ

『相変わらずだねぇ、君の上司等は』

「はは…」

乾いた笑いをするミントン君
しょうがないと思う、うん

「お!名前さんいいところに!!かくまってくだせぇ!!」

土方さんから逃げてきたであろう総悟君が俺の後ろに回った

『何言ってんの、総悟君が悪いんでしょ、素直に謝ってきなさいって、土下座してきなさいって』

「嫌でさぁ、土方さんに土下座するくらいならアリにした方がましでさぁ」

あ、蟻て
あんな小さな生き物以下なのか土方さん

『アリか、可哀想な土方さん』

「総悟!!テメェ、毎度毎度バズーカぶっぱなしやがって!!!あたったらどうすんだ!!!」

刀を振り回してやって来た土方さん
おっかないねえ

「なに生ぬるいこと言ってんでさぁ、毎日当てる気で行ってやす」

「てめっ!!せめて今日くらい…」

『今日なに?なんかあるの??』

急に地面に視線を落とした土方さん

「名前!い、いたのか」

嘘!気づいてなかったの!!
俺空気だったの!?

『居たのかって、総悟君より前に居るじゃない、大丈夫ですか土方さん、頭』

「クソッ、どいつもこいつも…ふん」

てっきり怒るもんだと思っていたのに、刀をしまいさっさと屯所を出ていってしまった

『あれ、なに拗ねてんの?ムカつくんだけど』

「良い歳して恥ずかしくないんですかねぃ」

『土方さんて俺より年上だよな??いくつなの??』

「野郎の歳なんて興味ないから知りやせん」

いやいや、職場の人の誕生日は知っといた方がいいよ!
絶対役にたつから!!

「たしか、今年の5月5日で…」

さすがミントン君!
子供の日かよ可愛いなぁ
ってあれ?

『5日って今日?』

「そうでさぁ、大型連休ラスト…」

「『あ…』」

「なるほど」

『今日誕生日か、だから拗ねてたのか』

ミントン君と二人で納得
二人で?

「俺は知ってやしたけどねぃ」

しれっとした顔で言う総悟君

『え?知ってたの??知っててバズーカ?』

「何言ってんでい、誕生日だからって特別扱いは行けやせん、むしろやつが生まれたこの日を俺は死ぬほど憎んでるんでさぁ」

『とかいってあれだろ?いつもの日常を送れるっていう幸せを実感させてあげる、これが最高のプレゼントなんでしょ?』

「そういう事にしておきまさぁ」

「名前さんあんたどんなけポジティブなんですか!?」

ポジティブにならなきゃ生きてけないよこんな世界で

『困ったなぁ、なんも用意してねぇや』

「名前さん甘やかしたらダメでさぁ」

総悟君はきびしぃなぁ

『ちょっと行ってくるね』

誕生日いい思い出ないからか、他人には尽くしたくなるんだよねぇ俺って

てことで、俺が時間稼ぎしてくるから、君たちはその間に誕生日会の準備しておいてね!

という思いを込めて二人にウインクを投げてこの場を去った

「…………名前さん」

「チッ面白くないねぃ」






数十分歩き回り



『土方さぁん』

やっと見つけた

「何しにきた」

団子屋の長椅子に座ってタバコをふかしていた
その隣に腰かけて顔を覗き込む

『なにイジケちゃってんですか、可愛くもなんともないですよ』

「誰が!あっち行け」

『ありゃりゃフラれちゃった』

「別にふったわけじゃねぇ!!」

何故か顔を赤らめ怒鳴る土方さん

『じゃあちょっと付き合って下さいよ、どうせ暇なんでしょ?』

「チッ」

舌打ちしながらも渋々腰を上げてくれた




またまた歩くこと数十分



「で、なんでお前の部屋なんだ?」

土方さんを俺の部屋によんだ

『俺が部屋に呼ぶってことは、ヤること一つしかないだろ』

雰囲気一杯に土方さんを壁に追い詰める俺

「お、おい」

『期待してますよ、ひ じ か た さん』

耳元で囁く

「……どうなっても知らねぇぞ」

観念したのか全身の力を抜き
俺の肩に手を置く

『もう、めちゃくちゃにして』

そうして最大の殺し文句

「ゴクッ」

土方さんの生唾を飲む音が聞こえた

緊張してるんだ、
でも俺だってものすごく緊張して…

そのとき俺の視界の端で何かが動いた

『出た!はい!コレ持って!!!!』

来た!ついにヤツが姿を表した!

俺はスリッパを手渡し土方さんの背を押した

「はぁ!?」

さっき言っただろ!!
めちゃくちゃにしてやれぇぇぇぇ!

『そこっそこっ!!ヤツが飛ぶ前に早っギャァァァァ!』

「ご!ゴキッ」

『その名を言うなッ!!頭文字Gって言え!』

「い、イニシャル!そこかっ!!」

『イケ!いけ土方!!やっちまえ!!』

逃げ回るGに叩きまくる土方さん

「くそっ!ちょこまかと!」

『ギャア!来た!無理!!!』

あろうことかGは俺の方の羽ばたいてきた
たたた助けて土方さん!

「こ!こら!引っ付くな!!やれねぇだろ!!(顔が近い!!)」

とっさに首もとに絡み付く俺

『だってこいつ俺に向かってくるんだもん!!!』

「だぁ!もうテメェ外出てろ!!!」

『ひ、土方さんを残して一人だけ逃げるなんてできない!!俺も一緒に戦う!!』

「足手まといなんだよ!」

『はっ!!土方さん、そうやって突き放して俺を守ろうと…』

なにこの戦場の友情みたいなやつ!かっこいいー、憧れてたんだよなぁ俺

「さっさと出ろ!」

『ラジャ!!』

怒られちゃった
後は任せた!!!

「ったく」







相変わらず中からは騒音

お、静かになった

「おら、やったぞ」

少し着流しが崩れた土方さんが出てきた

『おぉ!!勇者様!!』

よくやってくれました!
かっこいいよ!今までで一番かっこいいよ土方さん!

「報酬は」

『はい??』

なんですか、その手は

「クエストの報酬はねぇのか」

『………俺んちマヨネーズあったかな、ってその手に持つティッシュの塊は…』

ま、まさか

「欲しいか」

ニヤッと笑う土方さん

『い!いらない!!』

「そんなに欲しいか、仕方ねぇなぁ、ほれ」

土方さんはめちゃめちゃいい笑顔で白い塊を俺の方の投げてきた

『ギャァァァァ!投げるとかおまッ!鬼!!あれ?』

ティッシュだけ??

「ははっ」

『騙したなコノヤロー』

「可愛い反応も出来んじゃねぇか」

かっこよくタバコを加えながら笑顔でそんなこと…

『なっ!!…キザやろぉ』

べ!別に照れてねぇし!

「で、もう用事はねぇのか」

タバコに火をつけ言う

『んー、そろそろいいかな』

もう三時間くらいたったし、準備も出来てるだろ

「あ??」

『いや、屯所まで送って下さい』

お願いしますと、頭を下げて右手を差し出す俺

「一人で行けよ」

『行く道で襲われたらどうすんの!』

「確かにお前はかわぃ、いや、自覚あったのか」

『ゴリラとかライオンとか来たら俺一撃よ!!』

なすすべなしよ!

「そうだな瞬殺だな」

『そう思うなら連れてってよ!』

「ったく、今日にかぎってめんどくせぇ」

『よし行こう!!!』

なんやかんやで付いてきてくれる土方さんはやっぱりいい人なんですね







そうしてまたまた歩くこと数十分



「出なかったな、ゴリラもライオンも」

『よかったよかった!』

出るわけねぇだろ

「じゃあな」

おいおい!入ってくれなきゃ意味ないよ!!!

『待って!!まだ安心じゃない!俺この先にゴリラが待ち受けてる気がする!しかも隊服きてカモフラージュしてる気がする!!』

ガシッと土方さんの着流しを掴んで止める俺

「それ近藤さんだアホ!」

『あれぇ?そうだっけ?違うよゴリラだよ』

「いや、ちがくねぇよ!」

『いいから入れよ!』

「おまっ!しょうがねぇな」

やっぱりいい人だ

「で、なんで調理場??」

『いいからいいから!!』

俺もわかんねぇ、なんで調理場??

「??」

意味の分からない顔で調理場の戸を開けた

瞬間

「「「誕生日おめでとぉぉぉぉぉう!!!」」」

クラッカーの音と隊士達の声



ドカーーーーーン!!!

けたたましいバズーカの音

「なっ!?」

『わぷっ!?』

直撃の俺と土方さん
死んだ!俺死んだ!

「驚きやしたかぃ、特性バズーカ土方スペシャルでさぁ」

「…………」

『くさっ!マヨ!マヨまみれじゃん!』

死んではいなかったが全身マヨまみれになった
なにこの嫌がらせ!!

「嬉しくて言葉も出ないですかぃ」

「総悟…………」

ぷるぷる震えている土方さん
あれ?もしかして嬉しかったとか?
うそう…

「トシィィィィ!ハッピーバースデー!!」

『うわっ!』

ケーキ片手に突っ込んでくる近藤さん

ドパンッ!

「…………」

顔面でそれを受け止めた土方さん

『あ!ちょっと!!俺のケーキ!!!』

それ俺が持ってきたやつじゃねぇか!!!

「テメェら………嫌がらせにしか見えねぇぞコノヤロー!!これのどこがハッピーだぁぁぁぁ!!!」

やっぱり怒ってた!
そうだよね!嬉しいわけないよねこれ!!

土方さんも両手にケーキを装備して

ビチャ!!

総悟君の顔面へ

「やりやしたねぃ…くらえ!!」

「おっ!よし俺も!」

そうして始まったケーキ投げ大会

『ちょっと!食いもん粗末にするなって!っわぷ!!』

俺の視界がケーキで埋まった

「ははっ!顔面クリームまみれだぞ名前!」

指をさして高笑う土方さん

『テメェよくも…土方コノヤロー!!!』

こうしてケーキが尽きるまでケーキ投げは続いた



その後は皆で風呂

良いのかねぇ、こんなことしてて、みんな仕事はどうした

結局まともなケーキいっこも食えなかったし
クリーム舐めただけだよ





「おい」

風呂からもあがり、屯所を後にしようとした俺を土方さんが引き留めた

『なんですか』

日も傾きかけてるし早く帰りたい

「プレゼントはねぇのか」

『あぁ、今日知ったもんで、なんも用意してないんです、すんません』

「あるもので構わねぇ」

『何でも良いからくれってか図々しいなぁ土方さん。何もないってば』

誕生日だからって調子のんなよ

「じゃあ勝手に貰う」

『へ?』

グッと顎と左腕を捕まれ唇が重なった

目の前には黒髪のイケメン

チュッというリップ音をたててイケメンは離れていった

「続きは来年にでも貰うとする、ありがとな」

爽やかにそう言い背を向け屯所内に戻っていった



『…………何してくれてんだ土方コノヤロォォォ!!!』

それに腹が立ち背中に飛び蹴りを食らわした

「なっ!!今の感じで終わっとけば甘かっただろうが!!」

『甘ぁ??んなもんいらねぇよ!!!ギャグサイトだここはぁ!!!!』

「バカおまッ!落ち着け!」

『問答無用ォォォォォォ!』

甘くなんてしてやんねぇよ!!!

まぁでも誕生日だし?おめでとうってことで、今日だけ3分の2殺しで勘弁してやるよ!

だ!だから、照れてねぇし!










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