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□snow drop 第三話
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 「今日はたまたまだもん。明日からは迷子になる予定。」

 「…。」

 泰衡さんもむすっとして、私の隣に腰を下ろす。
 私は驚いて、泰衡さんを振り返る。

 どうして、隣に座るのよ!?

 私は泰衡さんを睨みながら言った。

 「ちょっと、総領ともあろう者が、地べたに腰を下ろす気?」

 すると、泰衡さんは私を見て、嫌味な笑みを浮かべて一言。

 「白龍の神子ともあろう者が、地べたに腰を下ろしているのか。見ものだな。」

 何よ!

 私はむくれてそっぽを向いた。

 少し、気が晴れたかな…?

 一瞬、そう思ったのも束の間、また私の心に暗い気持ちが押し寄せる。

 「…。」

 黙りこんだ私に、金が近寄ってくる。
 心配そうな目。

 犬もこんな表情するんだな。

 私は和んで、金の首を撫でた。
 金は嬉しそうに尻尾を振った。
 ただ、それだけで私は泣きそうになる。

 駄目だ、限界かも…。

 「ここには一人で来たのか?」

 泰衡さんの言葉に、私はほっとする。
 このまま黙っていたら、本当に泣きそうだったから。

 「そうだよ。」

 すると泰衡さんは、少し眉を上げた。

 「呪詛の種もまだ見つかってはいないのだろう?少々無用心なのではないか?」

 ぐっ。

 私は言葉に詰まる。

 だって、一人になりたかったんだもん。
 一人になりたいなんて、皆に言ったら心配するじゃない。

 心配されたくない。
 例え、誰であっても。

 私は大丈夫。
 そう、まだ大丈夫だから。

 私は本心を言わないことにした。
 泰衡さんが、私を心配するとは思えなかったけれど。

 「怨霊の方が避けて通るって言ったのは、どこの誰?」

 私の言葉に泰衡さんは、浅く息を吐いて、
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