project novel

□奥州の聖夜
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 「あ、雪だ。」

 泰衡が先に歩く。
 会話のない退屈な道中を雪が掻き消した。

 「…。」

 しかし望美の感嘆の声にも、泰衡はちらっと望美を振り返っただけで何も答えない。

 「泰衡さん、どこに行くんですか?」

 無駄かなと思いつつも、望美は聞いてみる。

 「…。」

 やはり無駄だったようだ。
 泰衡は何も答えない。

 「…、もういいです…。」

 少しがっかりしながら望美は言った。
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