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 「お前は俺を信じられないのか?」



 あの時の言葉を思い出す。
 確かに九郎はそう言った。



 「龍神の力がなければ、異世界に行くことは出来ません。今、言わないでいつ言うんですか?望美さんは元の世界に帰ってしまうんですよ。」

 「この世界を中途半端なまま放っておくというのか?俺には出来ない。」

 「この世界のことは僕に任せてください。
 この世界を放っておけないのなら、引き止めるという方法もあります。」

 「大丈夫だ。行けるさ、きっと。」

 何を根拠に、そう思った瞬間、九郎は言ったのだ。


 「お前は俺を信じられないのか?」


 信じてますよ、勿論。
 だから、こうして君が異世界に行ける方法を探してるんです。
 少しでも、友の役に立ちたいと思うから。



 「ところで弁慶、お前最近書物を読み漁ってどうしたんだ?」

 「いつものことじゃないですか。」

 「いや、度が過ぎてるぞ。」

 「いつものことじゃないですか。」

 「…。
 もう、いい。」



 まぁ、もうちょっと待っててください。
 もう少しですからね。
 友の助けになるのも悪くないですから。
 でも君が異世界にいってしますと、少し寂しいですね。



 完
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