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□覗いてはいけません
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 覗くなって言われても気になる…。

 倫ちゃんは、通された部屋でそわそわしながら、辺りを見回します。

 あの大石さんの料理??
 しかも上手??
 信じられない!!

 倫ちゃんは好奇心を抑え切れずに、覗きに行くことに決め、部屋をそろりと抜け出しました。



 違う意味でどきどきしながら、台所に忍び込む倫ちゃん。
 ひょいと中を覗きました。

 すると、台所から大石さんの嬉しそうな声がします。

 「クク…、いいねぇ、この感触…。」

 きもっ!(死)

 管理人の心の声をよそに(こら)、倫ちゃんは驚いて目を見開きます。

 !?
 ま、まさか屯所内に不逞浪士でもいて切り伏せたんじゃ…!

 新撰組屯所に忍び込むのは馬鹿のみです(死)。

 倫ちゃんは止めなければと思い、中に踏み込みました。

 「大石さん!何をやって…、」

 そこまで言った瞬間、倫ちゃんの思考は止まります。

 …。

 凍りつく倫ちゃん。
 余程恐ろしいものを見たようです(死)。

 倫ちゃんの声に、大石さんが振り返りました。

 「あぁ、倫。どうしたのさ、そんなところで。」

 「…。」

 何も言えない倫ちゃん。

 大石さんは、日本刀を片手に魚を捌いていたのでした(死)。

 暫くして、やっと思考が動き出した倫ちゃんは、

 「な、何してるんですか、大石さん!!!!」

 はっと我に返り、大声で叫びます。

 「何って?見てわかるだろう?魚捌いてるんだよ。」

 ククと喉で笑う大石さん。

 日本刀を片手に魚を捌くのは、世界中探してもあなただけです(死)。

 「どうして刀で捌いてるんですか!?包丁ないんですか!?」
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