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□snow drop 第十三話
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 「泰衡殿、遅いな。」

 九郎さんの言葉に、私は伽羅御所に繋がる道を見る。

 来ないんじゃないのかな。
 これから色々忙しいだろうし。

 「望美に借りを作りっぱなしは嫌だから、見送りは必ず行くと言っていたんだが…。」

 え?

 私は驚いて、九郎さんを振り返った。

 「それ、本当?」

 私が掠れた声で聞くと、九郎さんは頷いて、

 「あぁ、場所と時間も聞かれたぞ。」

 あ、会いに来てくれるんだ…。
 …理由が理由だけど…。
 泰衡さんらしけどさ。
 まぁ、私が悪いんだけどね。

 「神子。どうする?泰衡待つ?」

 白龍が話を聞いていたらしく、私に聞いて来た。

 待ってくれるなら嬉しい。
 きっと、もう二度と会えないだろうから。

 「うん、待っててくれると嬉しいかな。」

 そう言って、私は空を見上げた。

 顔を見たら、確実に嫌味を言うだろうけど。

 「望美?」

 不意に朔が話しかけて来る。

 「何?」

 振り返ると、朔は困ったように笑いながら、

 「迎えに行ったら?」

 「えっ?」

 「待っていたら、二人きりにはなれないわよ?」

 笑いながら、目だけで九郎さんたちを指す。

 !
 や、やっぱり朔も気付いて…。

 顔が熱くなる。

 うわぁ、今私絶対顔赤いよ!
 恥ずかしい!

 「ここで待っているわ。いってらっしゃいな。」

 朔の言葉に胸が熱くなる。

 行ってもいい?
 行ってもいいのかな。

 泣きたくなる。
 泣いてありがとうと言いたくなる。
 朔には言うべきことだったと思う。
 ずっと、支えてくれた。
 すっと側にいてくれた私の親友。
 それまで、私は女の友情というものに嫌悪している部分があった。
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