project novel
□奥州の聖夜
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「神子殿。」
高館でのんびりと過ごしている望美に、声をかける人があった。
「あ、泰衡さん、こんにちは。どうしたんですか?」
その人は泰衡だった。
泰衡は相変わらずの気難しそうな表情を浮かべながら、
「出かけるぞ。」
とただそれだけを言う。
「え?あの…。」
突然の言葉に驚いて、望美がしどろもどろに返すと、
「早くしろ。」
有無を言わせぬ泰衡の苛立った声が後に続いた。
「あ、はい。」
望美は頭に?をたくさん浮かべながら、泰衡の言葉に従った。