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□和製デンジャラス・ビューティー
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「おい、知盛!」
「なんだ?」
うるさそうに顔をしかめて知盛さんは言いました。
時は朝。場所は有川家。
「さっさと就職先決めてこい!いつまで俺の家に世話になってるつもりだ!」
知盛さんに檄を飛ばすのは将臣くんです。
「それより、源氏の神子は今日も学校とかいう所か?」
知盛さんは、将臣くんの部屋の窓から見える、望美ちゃんの家を眺めて言いました。
「それよりってなんだ!それに源氏の神子って呼ぶのはやめろって何回言ったらわかるんだ!?」
「今まで、そう呼んでいたんだ。急には変えられない。」
「いいから、就職先決めて来い!」
「おい、有川。俺の質問に答えろ。」
「随分な態度だな。追い出すぞ!」
知盛さんは将臣くんの話を無視すると、部屋を出て望美ちゃんの家に向かいました。
知盛さんは望美ちゃんの家に着くと、無断で上がりこみ、望美ちゃんを探しました。
「う、うわ!知盛!何してるの!?」
望美ちゃんはリビングで朝食をとっていました。
望美ちゃんのお父さんとお母さんも知盛さんを見てびっくりです。
「今日も学校か?」
知盛さんは望美ちゃんの隣の椅子に無断で座ると聞きました。
「知盛?人の話聞いてる?」
望美ちゃんは知盛さんに聞きました。
「聞いてるぞ。」
脈絡もなく言った知盛さんに、望美ちゃんは怒りました。
「この世界にはね!不法侵入っていう法律があるの!無断で人の家に入ったらいけないんだよ!?この世界に来た時、一通りのことは教えたでしょう!?どうして覚えてないの!」
そんな望美ちゃんを無視して、知盛さんは望美ちゃんが食べていた食パンをじっと見つめていました。
「食べる?」
望美ちゃんは知盛さんにお説教は無駄だとさとり、息を吐いて言いました。
「あぁ。」
知盛さんはそう言って、食パンを頬張りました。
「どう?」
望美ちゃんはニコニコしながら聞きました。