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□頭領と総領
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 望美ちゃんたちが奥州に着いて、しばらくしてからヒノエくんが到着しました。
 高館で皆でお話をしていると、珍しく泰衡さんがやって来ました。

 「あれ?泰衡、久しぶりだね。」

 ヒノエくんが泰衡さんを見て言うと、泰衡さんは眉を寄せ、

 「…誰?」

 一瞬の沈黙。

 「…ヒノエ。」

 ヒノエくんが呆れ顔で答えます。
 すると、泰衡さんは頷きながら、

 「あぁ、ヒノエか、ヒノエだな。」

 と怪し過ぎる返答をします。

 「お前、本当にわかってる?怪し過ぎるんだけど。」

 冷めた目で泰衡さんを見ながら、ヒノエくんが言いました。

 「わかっているに決まっているだろう。あれだろ。なぁ、九郎。」

 表情を変えずに、泰衡さんは九郎さんを振り返りますが、

 「えっ、俺にふるなよ!」

 九郎さんは慌てて、泰衡さんをかわしました。

 「泰衡、忘れてるだろ。完璧に忘れてるだろ。」

 疑いの眼のヒノエくん。

 「忘れていないと言ってるだろう。ところで、ヒノエ?あいつは元気か?」

 「誰?」

 訝し気に聞くヒノエくんに、泰衡さんは、

 「お前が飼ってた…、あぁ、ラクダ?」

 「そんな物飼ってないよ。ていうか、さっきから疑問系使って、半信半疑?」

 ヒノエくんは腕を組んで、泰衡さんを睨みながら言いますが、

 「いや、ヒノエ。その前にラクダとか存在しないことをつっこめ。」

 と九郎さんに冷静に突っ込まれます。

 「全く、こんな物覚えの悪い総領で奥州は大丈夫なのかい。」

 九郎さんを華麗に無視して、ヒノエくんは大仰に溜め息を吐いて言いました。

 「野郎共!俺の姫君に万歳三唱!等と言う頭領が率いる熊野水軍の方が心配だが。」

 負けじと泰衡さんも言いますが、横で弁慶さんがにっこり一言。

 「泰衡殿、残念ながら似てません。むしろキモいです。」

 しかし、泰衡さんはめげません!(笑)

 「はっ!ヒノエ、キモいとか言われてるぞ。哀れだな。」

 すみません、めげてないんじゃなくて、自分が言われてると思ってなかっただけでした(死)。

 「お前が言われてるんだけど。」

 ヒノエくん、心底呆れてます。

 「で、ラクダは元気なのか?」

 真面目な顔をして聞いた泰衡さん。

 「わざとボケてるのかい?それとも、突っ込み待ち?面倒臭いんだけど。」

 ヒノエくんの言葉に、泰衡さんは不思議そうにするだけでした。



 ☆おしまい☆


 

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