long2

□snow drop 第二話
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 私、今週の運勢、もしかして最悪?
 どうして、こうもこの人に出くわさなければならないの?



 「何故、ここにいる?」

 むっ。
 それは前にも言われたぞ。

 私は暇を持て余し、高館を抜け出した。
 そんな私が向かった先は、伽羅御所。
 目的はもちろん、金と遊ぶため!
 それなのに、またもや泰衡さんと出くわした。
 私は泰衡さんの言葉に憮然と腕を組んで、

 「泰衡さん、前に自由に出入りしてもいいって言ったじゃない?」

 すると泰衡さんは、目を剥いて、

 「ここがどこだか、わかっていて言っているのか?」

 ?
 ここがどこだか?

 私は辺りを見回す。
 伽羅御所内の一角。

 「伽羅御所でしょ。」

 「あぁ、俺の部屋の前だ。」

 マジ!?

 「わぁ、じゃあ、ここ泰衡さんの部屋!?入っていい?」

 「神子殿!」

 上がり込もうとした矢先に制止の声。

 何よぉぉ。

 「あぁ、寒いなぁ〜、泰衡さん。凍え死んじゃうよ、私。」

 別にどうしても上がり込みたいわけでもなかったけれど、私は言った。
 このまま引き下がるのは癪だから。

 「大丈夫だ。その神経の図太さなら、風邪はひかん。」

 どういう意味よ!

 大真面目な顔で言った泰衡さんに、私はむきになって真意を叫んだ。

 「金に会いに来たの!探してる内に迷ったの!」

 すると、泰衡さんは溜息を吐いて、

 「金はいつもどこかに行って、ふらりと帰ってくるから、それは無駄だ。運がなかったな。さぁ、お引取り願おうか。銀を呼ぶ。」

 えぇ!?

 私が驚いたのは、今来たばかりにも関わらず、強制送還させられそうになったことではない。

 「そんな瘋癲の寅さんみたいなキャラなの?金って。本当に飼い主に似てない!」
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