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□snow drop 第六話
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 「見つからないな。」

 敦盛さんの何気ない一言に、私は力なく頷く。

 最後の呪詛…。

 私達は毛越寺に来て、最後の呪詛を探していた。
 別に最近は具合悪くなってはいないから、気にしてはいないけれど、やっぱり呪詛が残っているのは気持ち悪いので、探しに来ている。
 私の意見はそうだったけれど、皆は私の万が一の時の為に探していた。

 「今日はもう帰りましょう。」

 曖昧な笑みを浮かべて弁慶さんが言った。

 「そうね。望美も疲れているみたいだし。」

 朔が言う。
 別に疲れているわけではない。
 この間のことが気になって、ずっと黙り込んでいただけだ。

 『俺はもう決めた。
 もう道を選んだ。』

 泰衡さんの見せた笑み。
 胸に残るほど悲しげな、自嘲的な笑み。
 言い知れぬ不安。

 『安心しろ、じきに銀はあなたの前から消える。』

 そして、本当に銀は私の前に姿を現さなくなった。

 どうして…?
 意味がわからない。
 どうして泰衡さんは…。

 「先輩?帰りますよ?」

 はっとする。
 気がつけば、皆先に歩き出し、譲くんが心配そうにこちらを振り返っていた。

 「あ、うん。今行く。」

 そう返事して、私は皆の後に続いた。
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