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□snow drop 番外編2
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 ある昼下がり。
 いつものように、九郎さんとリズ先生と一緒に私は高館の庭で剣の稽古をしていた。
 それが終わって、屋敷の中に入ると、譲くんとヒノエくんと白龍が3人で話をしていた。
 あまり見ない組み合わせだなと思いながら、仲間に入れてもらおうとその輪に近づいた時、私は輪の中央に素敵なものを発見した。

 「ゆゆゆゆゆ譲くん!これは何!?」

 私は思わず、譲くんの肩を揺する。

 「クッキーです。作ったんですよ。」

 吃驚しながら答える譲くんに、私は驚いて、

 「えぇっ!私も作りたかった!ずるい!」

 お菓子作りは結構好きだったりするので、大抗議。
 すると、譲くんは困ったように笑って、

 「先輩、剣の稽古をしていたから。邪魔しちゃ悪いと思って。」

 「そっか…。」

 誘ってくれれば、時間繰り上げたのにな〜。

 私がよほど残念そうにしていたのか、ヒノエくんが笑って言った。

 「望美?それなら、俺が作ったクッキーをあげようか?」

 「え?ヒノエくんも作ったの?」

 私が驚いて聞くと、

 「あぁ。譲に教わってね。望美の世界の食べ物を作るのって、結構楽しいね。」

 「マジですか。に、似合わ…、」

 茶々を入れようとしたら、ヒノエくんは私の言葉を遮って妖しく笑った。

 「望美?それ以上言うと、口塞いじゃうよ?」

 「んなっ!ヒノ…、」

 驚く譲くんを尻目に、私は豪快に笑って言った。

 「あっはっはっは!ヒノエくん、セクハラで訴えちゃうよ?」

 いつものことなので、するりとかわす。

 「ふぅ。望美には敵わないね。」

 大袈裟に溜め息を吐いて、ヒノエくんは笑って言った。

 「…。」

 「あれ?譲くん?どうしたの?」

 黙りこんだ譲くんに、私は満面の笑み。

 気持ちは嬉しいけれど、自分で撃退出来るから、安心してね、譲くん!

 「い、いえ…」

 苦笑した譲くんの横で白龍が笑った。

 「神子!私のもあげる!」
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