long2

□snow drop 第九話
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 あの軍議の日から3日。
 その日は意外と早く来た。



 眠れない…。

 私は布団の中で寝返りを繰り返す。

 元の世界と違って電気がないので、起き出して何かするわけにもいかず、寝返りを繰り返しては、何もない前方を睨む。
 弁慶さんの言葉は、言われてすぐには気付かなかったけれど、あれはきっと私の作戦に乗ってくれるという意味だと解釈した。
 それもあって、眠れない日々が続いていた。

 弁慶さんが味方になってくれれば、心強いけれど、前日に知らせるって、結構辛いなぁ。

 もうどれくらいの時間がたっただろう。

 吹きすさぶ風の音が耳に不快感を残す。

 吹雪いているのかな?

 私は起き出して、外を見ようと廊下に向かった。

 襖をそっと引いてみる。
 すると、

 「うわっ、吃驚した!」

 声が上がる。
 誰もいないと思っていたので、心臓が跳ね上がる。
 見れば、目の前に将臣くんがいた。

 「吃驚したのはこっちだよ!寿命縮まった!」

 私は小声で抗議する。

 あ〜、もう心臓止まるかと思った。

 将臣くんは頭をかいて、決まり悪そうに、

 「寝てると思ったんだよ。それより行くぞ。」

 ?

 一瞬訳がわからなかったけれど、はっとする。

 鎌倉が攻めてくる?

 心臓が一瞬、強く脈打つ。

 遂に、遂に来た…!
 いや、それより…。

 「将臣くん、裏切ったんじゃなかったの?」

 思わず、空気も読まずに聞いてしまう。
 将臣くんはにやりと笑って、

 「あれはあの場を収めるための嘘に決まってるだろ。あのまま続けてたら、泰衡に目をつけられてたぜ。全く、付き合い長いのに、わからないのかよ。」

 そうだったんだ。

 なんだか、嬉しくなって、私も笑って言った。

 「迫真の演技だったから、騙されたよ。
 ちょっと待ってて。すぐ準備するから。」
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