long2

□snow drop 第十話
1ページ/7ページ

 銀と共に奥大道に行くことになった。
 泰衡さんの言葉は、確かに気なったけれど、一刻の猶予もなく、少人数での奇襲を実行しなければならない私達は、それ以上に戦力が上がることに喜んでいた。

 うん、泰衡さんの言葉は気になるけれど、銀がいると頼もしい。

 半ば言い聞かせるようにそう思う。
 そして、暫く歩いていると、

 「どこに行く。」

 突然、道の脇から声がかかる。

 こ、この声は…!

 振り返れば泰衡さんがいた。

 げげげげぇぇええ!

 必要以上に驚く私の横で、横で将臣くんがちっと舌打ちする。

 なんなんだ、お前は!
 いつもいつも、都合の悪い時に突然現れおって!

 後ろには何人か部下が控えていた。

 あぁ、もう、どうして!
 絶対、私が変な行動を起こさないように見張ってるんでしょう!?

 …。

 そこまで思って、悲しくなる。

 本当にそうだとしたら切ない…。

 私は険しい表情で睨んでくる泰衡さんに、何か言おうと口を開く。

 「いやぁ、ちょっと散歩しに…。」

 我ながら、ありえない上にベタな言い訳。
 しかし、泰衡さんは眉間の皺をさらに濃くさせ、私を通り越して後ろにいる銀を睨んで言った。

 「銀、何故ここにいる?俺の話したことは理解しているのだと思っていたが。」

 「…。」

 銀が私の後ろで息を飲んだのがわかった。

 驚く。
 てっきり、私に文句を言うのかと思って身構えていたので拍子抜けする。
 一気に場の雰囲気が重くなる。
 黙ったまま俯いている銀が可哀相になって、私は助け舟を出した。

 「別にいいでしょ。私が来てって言ったの。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ