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□snow drop 第十話
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銀と共に奥大道に行くことになった。
泰衡さんの言葉は、確かに気なったけれど、一刻の猶予もなく、少人数での奇襲を実行しなければならない私達は、それ以上に戦力が上がることに喜んでいた。
うん、泰衡さんの言葉は気になるけれど、銀がいると頼もしい。
半ば言い聞かせるようにそう思う。
そして、暫く歩いていると、
「どこに行く。」
突然、道の脇から声がかかる。
こ、この声は…!
振り返れば泰衡さんがいた。
げげげげぇぇええ!
必要以上に驚く私の横で、横で将臣くんがちっと舌打ちする。
なんなんだ、お前は!
いつもいつも、都合の悪い時に突然現れおって!
後ろには何人か部下が控えていた。
あぁ、もう、どうして!
絶対、私が変な行動を起こさないように見張ってるんでしょう!?
…。
そこまで思って、悲しくなる。
本当にそうだとしたら切ない…。
私は険しい表情で睨んでくる泰衡さんに、何か言おうと口を開く。
「いやぁ、ちょっと散歩しに…。」
我ながら、ありえない上にベタな言い訳。
しかし、泰衡さんは眉間の皺をさらに濃くさせ、私を通り越して後ろにいる銀を睨んで言った。
「銀、何故ここにいる?俺の話したことは理解しているのだと思っていたが。」
「…。」
銀が私の後ろで息を飲んだのがわかった。
驚く。
てっきり、私に文句を言うのかと思って身構えていたので拍子抜けする。
一気に場の雰囲気が重くなる。
黙ったまま俯いている銀が可哀相になって、私は助け舟を出した。
「別にいいでしょ。私が来てって言ったの。」