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□snow drop 第五話
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銀のことが気になる…。
伽羅御所に行って、泰衡さんに真相を問いただそう!
付いて来ると言ってきた白龍と一緒に、私が玄関で靴を履いていると、その当の本人、泰衡さんが姿を現した。
わっ、本人が来た!
ラッキー!と思って私が声をかけるより早く、泰衡さんは私を通り過ぎて中に入って行こうとした。
こらこらこらこら!!
「ちょっと待ってよ、泰衡さん!」
煩わしそうにしながら、私の声に泰衡さんは振り返る。
「俺は忙しい。あなたと話す暇はない。」
何よ!
「ひどい!昨日のお礼を言おうと思ったのに!!私が泰衡さんにお礼を言うなんて金輪際ないんだよ!いいの!?」
本当は銀のことを聞こうと思ってたんだけど。
「そうか。では聞こう。」
私の言葉に、泰衡さんは重々しく頷いて、次の言葉を待った。
冗談だっつーの!
と思いつつ、泰衡さんを口惜しげに睨めば、泰衡さんはふと勝ち誇ったような嫌味な笑みを浮かべた。
くそ!諮ったな!
「それより、どうして高館にいるの?珍しくない?」
「話を逸らすな。」
「さっき、譲くんがご飯作ったんだけど食べてく?譲くん、料理上手だよ?」
「今日は話があってな。」
「え!?譲くんと!?」
「違う!」
声を荒げた泰衡さんに私はにやりと笑う。
よ〜し!話逸らし成功っ!!
私の笑みに気付いた泰衡さんが、冷たい視線を投げるけれど全然平気!
もう、駄目だな〜、私がこういう性格だって早く理解してくれないと!
私は人事のように思いながら、
「わかってるって。九郎さんでしょ?呼んで来ようか?」
銀のことはその後に聞こうと思ってそう言うと、泰衡さんは首を振り、
「九郎ではなく、弁慶殿に話があるんだ。」
ん?珍しいな〜。