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 言の葉にすることで自分に言い聞かせる


 『私は穢れているから』


 自分はここにいてはならない存在
 それでも、それでもなお…
 何故か、ここにいてもいいような気がする
 例え八葉に選ばれていなかったとしても
 神子は
 この仲間達は、私を仲間として受け入れてくれるのだろう



 勝浦に辿り着いて、自由時間が出来た。
 敦盛は皆と離れて、海岸に来ている。
 浜風が心地いい。
 浜辺近くでは市も開かれていて賑やかだ。
 その賑やかな様子が、今それぞれ自由時間を満喫しているであろう仲間達を、敦盛に思い出させた。
 各々それぞれの時間を満喫しているであろう。
 優しく、頼もしい仲間達。

 何故、皆は私に親切にしてくれるのだろう。

 不意に思う。
 自分は怨霊。
 この世にいてはならない存在。
 理から外れた人外。

 皆、それを知らないからなのか。

 風が吹く。
 潮の匂いがした。

 例え、知ったとしても変わらないのではないか。

 そうも思う。

 それとも、それは自分の希望なのだろうか。

 波の音が心地いい。
 考えても詮無きこと。
 敦盛はくるりと踵を返す。

 「神子?」

 すると、そこに望美がいた。
 望美は罰の悪そうな顔をすると、

 「えへへ〜。敦盛さん、何してたんですか?」

 そう笑って、敦盛の前に立つ。
 どうやら、敦盛を見ていたらしい。

 「いや、少し海を…。」

 「勝浦の海は綺麗ですよね!」

 望美はそう言って、敦盛の隣に立つ。
 紫苑の髪が風に遊ぶ。
 敦盛も望美に倣って、もう一度海を振り返った。
 遠くに鴎の鳴き声がした。
 しばらくそうしていると、

 「敦盛さん、後悔してるんですか?源氏に来たこと。」

 突然望美が聞いてきた。

 「神子、いきなり何を…。」

 驚いて望美を振り返る。
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