Novel_

□†母親†
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夜神月−−彼の現在の役目。

1 優秀な大学生として日々勉学に励む事

2 キラ事件についての捜査協力

3−−…そして………



「月くん 月くん」

3 ゙竜崎″と名乗る男の欲望を満たす事






「……どうした?竜崎」

夜神月は、自分の側へ酷い猫背で親指をしゃぶりながら近寄って来る色白の男に言う。男はどこと無く嬉しそうな表情をしているが、表情を完全に読み取るのは難しい。
男−−竜崎は月の真横に来ると月の顔色を伺うようにしながらこう返した。
「…月くん…今は誰もいません」

彼等がいるその場所は、竜崎がどれだけあるのか予測もつかないほどの私財から建てられた建造物の中だ。
地上23階 地下2階建ての高層ビルの一室、事件の捜査本部として造られたその部屋で彼等は二人きりでいた。
他にも数人捜査員がいるが、皆竜崎からの指示でそれぞれ別行動で捜査に当たっている。
月はPC機器を乗せる長テーブル以外で置かれている家具の、白いソファと近代的なデザインの白い板と硝子板で出来たテーブルへ、竜崎を撒くように移動した。
竜崎には全く無意味な行動だが、月にはほんの一瞬でも間が欲しかった。
案の定、自分から遠ざかる月の後ろを相変わらずの表情でついて来た。
「……確かに竜崎の指示で皆外に出ている。こんな雨の酷い時に悪い事をしたな」
「はい。突然の雷雨には誰でも困ります」
この部屋からは確認する事が出来ないが、外は土砂降りの雨が激しい雷と共に街の上空から降り注いでいる。
月が嫌味を込めた意味で竜崎に話すが、指示を出した当事者である彼は、まるで他人事のように無機質に言い返した。
二人の間に重たい空気が流れる。
「…………月くん。早速ですがお願いします」
来た、と月は心の中で呟く。とうとう月に、竜崎が近づいて来た本来の目的を明かした。
「…………」
「月くん…?」
俯き黙り込む月に竜崎は軽々しい動きで彼の顔を覗き込んだ。
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