Novel_

□†微熱†
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−−−−休憩時間を過ぎたが竜崎が戻らない。


夜神 月は夕日に照らされる大都会を一人歩いていた。


大規模な事件を一早く解決する為に立てられた【凶悪犯連続殺人特別捜査本部】。

通称『キラ』と呼ばれる凶悪犯罪者を追い、夜神 月と元警察だった数人の男達が竜崎指揮するこの捜査本部で日々奮闘していた。

そんな現・指揮者である竜崎が数十分の休憩時間中、何処かへ一人出掛けて行ったきり戻って来なかったのだ。

月は竜崎の立場を考え、急いで彼を探しに出た。

竜崎のお抱えの執事でもあり保護者的人物でもあるワタリから、月は思い当たる場所があると聞き早速向かった。

学校、あるいは仕事から帰って行く人達で溢れる交差点に月は立つ。
その間も彼は周りに目的の人物がいないか目を走らせ探していた。



「−−−……猫……?」
「ええ。少し小振りな体をした子猫がいましてな。彼は数ヶ月前からその子猫に出会う度、自分が食べていた菓子を与えるのです。わざわざ走る車を止めさせ、彼は必ず菓子を与えておりました」



ここ最近外に出る機会が無くなったので、彼はその子猫の身を案じ自らの足で確かめに行ったのだろう、とワタリは話した。

正直いい迷惑だと月は思ったが、とにかく竜崎を探し出して本部に連れ戻さなくてはならない。
しかも、突然の夕立に月は深く溜息を吐いた。


「……ここか………」



月が辿り着いた場所は本部がある都心から外れた郊外にある商店街で、ワタリが言うにはそこの裏通りのどこかに猫の親子が住み着いているらしい。

月は商店街の入口を潜り、裏通りに入った。

そこは表と違い人通りが無く、店が出したゴミなどが所々に置かれ業者に回収されるのを待っていた。

月は辺りを見回しながら進む。

暫く歩き建物の角を曲がった時、それはあった。



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