Novel_
□†これももう昔のことで…†
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僕の両腕に抱かれ眠る赤ん坊 何一つ隠すものなど今のこいつには無いのだろう。
僕の胸の中でざわめくこの感情を こいつは何でしることになるのだろう。
出来る事なら……このままこうして幸せに包まれ眠っていて欲しい…。
竜崎……
僕のこの心が…欠けてしまった『何か』を取り戻すその日まで…僕を…お前の母として傍にいさせてくれるかい…?
「…月くん……」
「……おはよう、竜崎」
黒髪から漂うこの甘い香りに僕を酔わせてくれるかい…?
とても下手くそなその微笑みで、僕をどこへも行かせないで……。
「………how did you do it? Mom………」
「…it is nothing…」
甘く優しく赤ん坊の額へ口づける。 強く強く壊さないように、この両腕で抱きしめながら僕もこいつみたいに微笑んでみた………。
これももう昔のことで…だれも知らない夢物語………
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