Novel_

□☆†merry-go-round†
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両親、親族、社会から見放された子供達。

理由は様々だが皆、天涯孤独の身として生きる事を命じられた子供達。


そんな者達に彼は手を差し延べた。



まだ生まれて数年しか経たぬ子供達を、世界中に設立した施設へそれぞれ招き入れ『父』として彼は活動した。




この少年もまた、いわゆる【孤児】と称されここ『ワイミーズ・ハウス』に連れられて来た。


洋館を思わせる造りの建造物を少年は首を大きく反らし見上げた。



建物の入口へ伸びる道が走る庭には、既にこの施設に送られた少年・少女達が歓声を上げ遊びに興じていた。



今まさに施設の門を潜ろうとする小さな少年の手を、世界中から集められた子供達の父親である彼に引かれゆっくりと歩み出す。



「…貴方は今日からこの家で暮らすのです」



少年に優しく語りかけるこの男は少年を施設の一角にある広間に連れて行った。




「……さあ集まって………皆に新しい家族を紹介します」


男は施設の子供達を集め先程から手を引いていた少年を自身の前に立たせた。



「…この子も貴方達と同じように家を、世界を無くしました………ですが今日この日から、皆さんがこの子の『家族』になります……さあ…自己紹介を」



少年は一度男を見上げ、もう一度目の前に集まる施設の先輩達を見つめるが自身が湛える白い髪のくせ毛を指でいじるのみでいた。


男は皆に向かって名前を言うよう促すが、沈黙は破られない。



幾つもの囁きが重なり合い辺りが徐々に騒がしくなった頃ようやく少年が固く結ばれた口を開いた。



「……………ニア……」


一言、少年は呟いた。



その声に辺りは一瞬で静まり返る。



男はよく出来たと少年の両肩に置いていた掌で肩を撫で微笑む。



「…どうか幸せに、明るく楽しく日々を送れるよう願っていますよ……」


男は眼を細めそんな言葉を放った。



ニアと名乗った少年は男に連れられ皆が集まった広間から小さな寝室へと移動した。


「ここが貴方の部屋ですよ。自由に使ってください」


ニアはこじんまりとした部屋の中をじっとりと眺め回し辺りの確認を取った。




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