Novel_

□†ショコラとミルクティー†
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月が海砂に対して竜崎が放った失言に苦笑していると、竜崎はそんな彼に言ったのだ。

情があるか無いかの違い。
月が例え話でしたショコラとミルクティーを竜崎はそう悟ったのだ。
月自身、竜崎の意見には納得する部分がある。
一部の人間には人間の好意をただの遊び感覚で接する者もいる。男女問わずにだ。それがどれだけ相手を傷つける行為なのか分かっているのだろうか。

月はそんな思考を廻らせながら、こちらをじっと見つめ今か今かと解答を待つ竜崎を眼だけ動かし見た。
何を考えているのか解らないその顔に、どこかしら何かを期待している表情が薄く伺える。
「……さあ…どうだろうな……。こういった話は人一人ひとりがそれぞれ違った考え方をするからな。さっき竜崎が言っていた事もある意味間違いではないよ。まあ、僕のした例え話とは別の意味を持つ物もある。『愛』にも山ほど意味があるんだ」
「そうですね。人間はそれぞれに、様々な考えを持つ生き物です。月くんも例外ではないのですね」
「当たり前だ。僕を何だと思っているんだ?」

竜崎−−−彼は捜査協力する月と海砂にキラ事件の容疑者としての疑いをかけている。
先程の竜崎の発言。

「例外でもない」

まるで彼は月を、大量殺人を考え犯しているのにも関わらず、意外にも人間としての心で話せるものだ、と言っているかに聞こえる。
月がそれに感づいたかどうかは解らない。だが月に不愉快な思いをさせたのは確かである。

「とにかく解答、有難うございました。色々参考になります」
「こんな事を聞いて何になるんだ?」
竜崎は再びPCの画面に体の向きを戻す。
月は眉を少し潜め問う。
「そうですね。私が今後異性と付き合う場合に困らないようにです」
「…竜崎が異性と…か」
「はい。私も将来女性と何かしら一緒になる可能性はゼロではありません。なのでその時相手の女性に失礼のないよう色々と異性との交遊がある月くんに質問しました」
「うっ…。ま、まあ僕も無いわけではないからね。………」
月の引き攣る笑顔とは裏腹に竜崎は淡々と話した。
「私はほとんどの愛情を知りません。大体が作られた愛情。皆、偽善行為を繰り返すばかりです。
そんな中でもし本当に私を愛しているという異性が現れたらとても困ります」
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