拍手お礼過去文
□2009年お礼文
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「これから僕が話すことを聞いてほしいんだ…」
僕と君以外誰もいない談話室。明日から夏の長期休みに入る。
でも、今年はいつもと違う。
来年、僕はホグワーツにいない。
ハリーと一緒に"例のあの人"を倒す旅に出ると決めたからだ。
そのことを、僕の大切な女の子に話さなければならない日が来てしまったのだ。誰にも言わないと決めたけれどもどうしても君には話しておきたかった。
「何?改まってどうしたの?」
君は首を傾げて微笑んだ。
「僕は………」
一気に話した。一息も着かずに。
君がどんどん悲しい表情になっていくのも気づかない振りをして話し続けた。
「だから、僕は来年、ホグワーツにはいない。もしかしたら、もう…」
考えたくはないけど最悪の事態だってあり得ることだった。
「そんなこと言わないでよ…」
君は今にも泣きそうな顔をして小さく呟いた。
「なっなんで?!ダメよ!ロンなんかすぐやられちゃうに決まってる!!蜘蛛1匹まともに倒せないのに!!なんで、ロンが行かなきゃいけないの?!」
君はついに涙をボロボロ流しながら僕に言う。
そして行かないでと付け加えて言った。
僕は…
「ごめん…」
僕は大切なものを守るためにハリーと行くんだ。
大切な君を守るために。
「いやだよぉ…」
しゃくりあげながら言う君の声が、涙でぐちゃぐちゃになった君の顔が、僕の胸を締め付けた。
「僕のことを忘れても構わないから…」
そんなことを口では言いながらも、君を抱きしめてしまう僕は最低だと思う。
「いやよ、忘れないわ」
ぎゅっと僕を抱きしめ返した君の腕はいつもより何倍も強い。
君が僕を忘れてしまえれば、僕が君を忘れてしまえばこんな想いをさせなくても済んだのかな。
わすれな草を摘むように、僕との、君との思い出すべてを忘れてしまえれば……
「必ず帰ってきてくれないといやだからね…」
「………うん…」
END