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□16.続・閑話休題
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「……どうして……私が“そう”なることがシャムール一座の安全に繋がるんですか?」

私はたどたどしい口調で尋ねた。
“寵姫”なんて言葉……私にはなんだか卑猥に感じて、そう簡単に口に出せなかった。

「うん。いい質問だ」

王さまは気にする風もなく、にこりと笑った。

「シャムール一座をボルトアに入国させる為に、私は紹介状を書いたんだよ。一座が反乱軍の指揮者に接触する際にも、その紹介状は役に立つはずだ。
不可侵条約を結んでいる国から公に送られた者達なのだから、反乱軍側は……まあ、怪しみつつも客として受け入れるだろう」

「…………」

私は黙って続きを促した。
私の身の振り方で団長達の諜報活動が左右される、そんな気がしたから。

「反乱軍はおのずとシャムール一座とこのアスリトニアに探りを入れてくるだろう。真意をはかるためにね。
シド達が上手くやってくれればいいんだが……もし諜報員がこの国に来ていて、この王城に身を寄せているきみのことを知ったらどうなるか──分かるかい?」

「私はシャムール一座の人間だから……王さまとシャムール一座が懇意な関係だと、知られてしまいますね」

頭を働かせて答えると、王さまは真面目な顔で深く頷いた。

「そう。つまり、『シャムール一座は私の放った諜報員だ』と言うようなものだ。──だから、シド達の任務が終了するまで、きみを一座からの貢ぎ物、つまり寵姫だということにしたい。『リオネを献上したから、シャムール一座は王に紹介状を書いてもらえた』と思わせたいんだ」


すごいな、と素直に思った。

この人は幾重にも保険をかけて、団長達をサポートしているんだ。

本当に……すごい王さまだ。


「……分かりました。そういう理由なら……私、寵姫になります」

団長達の力になれるなら。

私はこくりと首を縦に振った。



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