main story
□16.続・閑話休題
11ページ/12ページ
***
「きみが私の寵姫となること、城のみなには後付けに知らせることとなってしまうが──まあいいだろう。『シドは初めからそのつもりだった』とでも言っておくよ」
だからつまり、とアルトアは重ねて言った。
「きみが寵姫であるふりをすること──これは私ときみ、カームとイベルトの四人だけの秘密だ」
「はい。──って、え?」
い、イベルト?
何で彼の名前が出て来るの?
驚くリオネをよそに、アルトアは天井に向かって声を上げた。
「分かったかー、イベルト。そろそろ出て来い」
直後にぱたん、と背後で扉の開く音がして、リオネはびくりと振り返った。
戸口に立っていたのはまさに、イベルト本人だ。
な、なんで居るの!?
「……わざわざ呼ばなくともいいだろう。面倒なことをさせるな」
仏頂面で憎まれ口を叩く彼に構わず、アルトアはリオネに説明する。
「彼は私を監視する役目を負っていてね。魔法だか何だか知らんが、私の所行は全て彼に筒抜けなんだ」
.