main story
□8.幕間劇
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「リオネ、次はちゃんと遊ぼうね」
城の廊下を歩きながら、コルトは私にそう笑いかけてきた。
先程泣いたせいでその瞳は少し赤く、顔には疲れが浮かんでいる。
「そうだね……」
私も笑みを返し、前を行くルークの背中をちらりと見た。
イベルトの部屋を出てからというもの、ルークは終始無言だ。
私達の会話にも全く反応しない。
「リオネ?」
私の視線に気付き、心配そうな顔を向けてきたコルト。
──分かってる、大丈夫。
私は力無く微笑んで、無言のまま頷き返した。
カームの話は黙っておこう……私とコルトは暗黙の内に合意した。
第三者である私達が軽々しく口にしていい話ではないし、そんなことはカームもきっと望まない。
何だかちょっとだけ罪悪感があるけど……。
相変わらず不機嫌そうなルークを一瞥し、私は深いため息をついた。
コルトの部屋近くまで来ると、私達に気付いた近衛兵が迎えにきた。
「お帰りなさいませ、殿下。国王陛下がお呼びです。昼食後、執務室まで来るようにと」
途端、あからさまに嫌そうな顔をするコルト。
「父上が?何の用で?」
「それは存じ上げません」
近衛兵は無愛想に首を振った。
「きっと仲直りがしたいんじゃない?大丈夫だよコルト、行ってきなよ」
私はそう言ってコルトの背中を押す。
「父上が?まさかぁ……」
少しだけ渋ったものの、コルトはやがて覚悟を決めたのか頷いた。
「……分かった。行くよ」
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