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□15.閑話休題
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玉座の間において、書記官が紙面を読み上げた。

「──して、くだんの事柄において陛下の寛大なる裁断のもと、サヴィルリス・ウォレスは警備兵長の任を解き、新たにユースタスへ赴くことを任ずる」

この時、城下町の“元”警備兵長、ウォレスは国王直々に処分を下された。
先日コルトとリオネ、そしてカームに対し、手荒な真似をしたかどによってのことだった。



15.閑話休題



「……ではウォレス、異存は無いな?」

書記官を脇に下がらせたアルトアは、玉座に深く腰掛けながらそう言って微笑みかけた。

当人のウォレスは絨毯の上に跪き、苦々しいといった顔つきで微かに頷く。

(へん、ユースタスだと。ボルトアに間近い、大田舎の村じゃねえか)

胸中でそう毒づいたが、アルトアはそれを見透かした様に笑い声を上げた。

「そんな顔をするな、悪い土地ではない。安穏とした場所ならば、お前の気性も穏やかになるだろう。……それと、お前に一言だけ詫びなければならん」

「へえ?」

意外な言葉に顔をあげると、アルトアは真顔に戻っていた。

脳裏に焼き付けるかの様にウォレスの顔をじっと見つめ、やがてゆっくりと頭を下げる。

「……コルトが城を抜け出すたび、お前たち警備兵には苦労をさせた。私の配慮が至らなかったこともあるだろう。この様な結果になり、残念だ」

それはウォレスにとって、虚を突かれる光景だった。


「……陛下」


そしてこの時彼は、確かに“陛下”と呟いたのだった。




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