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□16.続・閑話休題
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「私が言うこと……必ず守ってくれるね」

アルトアはリオネによくよく確認してから、「まず言っておくが」と前置きして口を開いた。


16.続・閑話休題


「シャムール一座がボルトア王国で行う活動の内容だが……反乱軍と接触し、その本拠地や軍備、敵数を確認してもらう。そして脱却する際には可能な限りそれらを破壊、反乱軍の攻防力をそぐ。
……最悪の場合、ボルトア国内の紛争はこの国まで飛び火するかもしれないからね。
現在は反乱軍が優勢なんだ。もしこのまま奴らが勝利すれば、こちら側へ侵攻してくる恐れもある。──つまり、シド達はとても重要な役目を負っているんだ」

そう低く話すと、アルトアはティーカップを両手で包みこんだ。
……恐怖で冷えた手を温めるために。

──友を戦場へ送る。
自ら、命令を下して。

アルトアは唇を噛み締めた。

すべては国のため。
……しかし危地へと赴く彼らは、血の通った良き人間なのだ。

国王としての冷徹なまでの感情、人として詫び入る心……二つは渦となって複雑に混じり合い、アルトアの胸中はかき乱されていた。

「………」

「あの………陛下?」

自身の次の言葉を待つリオネをちらと見て、アルトアは湧き起こる不安をはらうために一つ咳をした。

「まあ…問題は、反乱軍のみにあるわけじゃないんだ」

「……どういうことですか?」

「今回の反乱が起こった原因は、実はボルトア国王側にある。
約二十年前の戦で、私の父──アレストは停戦をとボルトア王国のラバール宰相と交渉に出た。……しかし、父はその直後に暗殺されてしまったんだ。
その後ボルトアはわが国に負け──あちら側は父上を暗殺した罪で、ラバールを処刑した。
彼の一族も、王都から遥か遠い地に追放されたという。……そして今、反乱軍を率いているのがラバール宰相の孫だ」


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