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□1.登城
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1.登城



美しい装飾を施された大きな扉が、目の前で両側いっぱいに開かれた。

──いよいよだ。

私の前に立つ若い騎士が赤い絨毯の上を歩き始める。
彼の足元を見つめながら、私は少し震えた足取りでその後をついていく。

緊張して顔を上げることができないけれど、この絨毯の先で待っている「あの人」の視線を痛いほど感じる。

「陛下、客人をお連れ致しました」

騎士が絨毯の上に片膝をつき、頭を下げて言う。
その後ろで、私も慌てて跪いた。

「……君がリオネか」

低くて穏やかな声音に少しだけほっとした。

「はい……」

小さく声を返したら、玉座に座る「その人」が笑いを含んだ口調で言う。

「そう硬くなるな。顔を上げなさい」

その言葉に私は恐る恐る目線を上げて、声の持ち主と顔を合わせた。

赤い絨毯の先は、私が跪いているここより数段高くなっている。そしてその真ん中には絢爛豪華な玉座が二つ。
向かって左側、「その人」は座っていた。


この人が……陛下。


「私がアスリトニア国王、アルトア・ウォルゼンだ。この城を家と思い、しばしの間ここで過ごすといい」

そう言って、「その人」──アルトア国王はにこりと微笑んだ。


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