main story
□4.夜城
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「陛下、何か御用……っ!?」
扉が開く音に振り返った近衛兵はギョッとした。
王の部屋からリオネが出てきたのだ。
思わず剣の柄に手を伸ばしかけたが、リオネのすぐ後から国王が顔を出した。
「お前達、どちらかリオネを部屋まで送りなさい」
「へ、陛下……これは一体……?」
状況が全く飲み込めていない彼らを、国王は軽く睨む。
「余計な詮索はいらん」
「……失礼致しました。リオネ様、お部屋へご案内致します」
一人の近衛兵が進み出ると、アルトアはリオネに微笑みかけた。
「この兵について行きなさい。また茶でも飲みに来るといい、いつでもおいで」
「はい。……陛下、お話ありがとうございました。──おやすみなさい」
そうして部屋に戻ったリオネは、心配して帰りを待ち続けていたユリアにこっぴどく叱られるのだった……。
fin.